ディズニー映画全部見る3・ファンタジア

ファンタジア/Fantasia(1940・124分)

 白雪姫、ピノキオに続くディズニー映画のファンタジアは前2作と異なり基本的にセリフがありません。8本の短編から構成されており、クラシックの名曲に乗ってアニメーションが展開されます。必ずしも原曲の主題を再現したものではなく、アニメーター達が曲から得たイメージから作られたオリジナル映像も多いです。

 パークではアトラクションとしてよりショーやパレードとしての登場が多いです。ミッキーのフィルハーマジックやファンタズミックに登場する魔法のホウキや魔法使いの格好をしたミッキーはファンタジ中の1編、魔法使いの弟子からの登場です。トゥーンタウンのごみ箱に魔法のホウキの絵が描かれている事は有名なトリビアですね。

トッカータとフーガ ニ短調(J・S・バッハ)

 セリフ無しかつアニメーション自体にもストーリーが無いので何とも解説しがたい短編です。見たほうが早い。10分くらいだし。これを8作の最初に持ってきたのが強気だなぁと思います。LSDの幻覚を再現したかったと言われれば納得する。ディズニー映画全般がそうと言えばそうなんですが……。

組曲くるみ割り人形(チャイコフスキー)

 先ほどとは一変、四季の移り変わりを表現したわかりやすいストーリーが展開されます。初めて聴いたくるみ割り人形がファンタジアという人も多いんじゃないでしょうか。四季の妖精や動植物がバレエダンサーのように踊ります。セル画手書きの時代に異常なほど滑らかに動く。アニメーターの狂気を感じさせてれますね。ちなみにくるみ割り人形は登場しません。

 約15分のアニメーションが金平糖の踊り、中国の踊り、葦笛の踊り、アラビアの踊り、トレパック、花のワルツで構成されています。アラビアの踊りを演じてくれる金魚にはどことなくピノキオに登場する金魚クレオの面影があります。トレパックを踊る花達はエレクトリカルパレードのダンサーとして今も活躍しています。中国の踊りに登場するキノコは昔のパレードに登場していました。また見たいですね。(懐古厨並みの感想)

魔法使いの弟子(デュカス)

 ミッキーが主役。ファンタジアの中で一番有名。約10分の作品なので単独で放映される事も多いです。

 魔法使いの元で小間使いをしているミッキーは主人である魔法使いに大釜を水で満たすよう命じられます。井戸と釜を何度往復しても終わらぬ作業に飽き飽きしたミッキーは主人の留守を良い事に魔法の帽子をかぶってホウキに命じます。水を汲めと。するとホウキからにょっきり手が生えて、ミッキーの思惑通り水汲みを始めました。

 これで楽ができると居眠りをするミッキー。その間にもホウキはどんどん水を汲み、既に釜はいっぱい、床は水浸しです。目が覚めてミッキーは慌ててホウキを止めようとしますが、魔法で下した命令は魔法でしか取り消せません。止める魔法を知らないミッキーは最後の手段と斧でホウキを叩き割ります。

 しかしそれで終わる魔法ではありませんでした。バラバラに壊れたホウキは破片のひと欠片からプラナリアのごとく再生し、再び水を汲み始めます。なすすべもなく大量の水に呑み込まれるそうになるミッキー大ピンチ。そこに異変を察知して現れた魔法使いがミッキーの魔法を止めてくれ、何とか一命をとりとめる事ができました。バツの悪そうな笑顔で主人に魔法の帽子を返すミッキー。怒った魔法使いはミッキーの尻をホウキで叩いて部屋から追い出してしまうのでした。おしまい。

春の祭典(ストラヴィンスキー)

 生命の進化を現した作品。25分程で銀河創生から恐竜時代の終わりまでを描いています。ディズニーランドのウェスタンリバー鉄道で過去にトリップするトンネル内の恐竜たちはファンタジアからの登場です。

サウンドトラック紹介

 4分程の短いパート。この部分だけクラシック音楽とは関係ありません。アニメを作るうえで欠かせないもの、サウンドトラックを視覚的に解説してくれます。現在は存在しないアトラクション、ミッキーマウスレビューではプレショーとしてこのアニメが使われていました。

田園交響曲(ベートーベン)

 ギリシャ神話の世界、オリンポスでの暮らしが描かれています。色とりどりのペガサスやユニコーン、ケンタウロスなどの美しい生き物たちやバッカスなど神話の神々が登場します。ディズニーランドの昼パレード、ドリーミングアップではペガサスがフロートの装飾品の一部として登場しました。

時の踊り(ポンキエッリ)

 朝昼夕夜と時間の経過をダチョウ、カバ、ゾウ、ワニのバレエダンサーの踊りを通して描いています。田園交響曲のペガサスと同じく昼パレード、ドリーミングアップのフロートの装飾品として使われていました。

はげ山の一夜(ムソルグスキー)、アヴェ・マリア(シューベルト)

 ワルプルギスの夜、チェルノボーグが目覚めると魑魅魍魎が跋扈する魔物たちのサバトが始まる……。主題が主題なだけにアニメーションもおどろおどろしく、小さい子には怖いと思います。ディズニーランドの今は無きアトラクション、シンデレラ城ミステリーツアーにはこの作品の一部がそのまま映像に使われています。個人的に一番好きなアトラクションです(懐古厨)。

 魔物たちの宴が盛り上がる頃、教会の鐘の音が鳴り響き朝日が昇り始め、チェルノボーグはまた眠りに就きます。朝靄の中、巡礼に向かう人々の向かう先には朝日……。光が闇に打ち勝つ壮大なラストです。ファンタジアの最後を飾る作品としても相応しいでしょう。

小ネタ

・魔法使いの名前はDisneyの逆さ読み

 あいつ名前あったの? あります。イェンシッド(Yensid)です。

関連作品

・ファンタジア2000

 ディズニーによる新しいファンタジア。続編というよりは別作品。いずれ改めて記事にします。

以上、ファンタジアでした。次はダンボについて書きます。

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