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「自分の萌えと人の萌えをすり合わせるのは難しい」カクヨムで書いた短編小説の反省会。


カクヨムで

レニ&リオ ~皇国の女帝ですが夫の寵姫(男の娘)を好きになったので、帝位を捨てて二人で駆け落ちしました~

https://kakuyomu.jp/works/16816700428056291418

という話を書いたので、その反省会。

書く前にある程度考えた「予測を立てて行ったことについて、その通り結果が出せたか」「出なかったとしたら、それは何故か」を考えたい。


この話は、フォローしているよしきさんの紹介で知った、ハルヒスキーさんのYouTube動画「DL同人教室」を見たことがきっかけで書いた。(*物の考え方の話なので、DL同人にまったく興味がない自分が聞いてもすごく面白い。チョイエロ絵を色塗りをしながら話すので、そういうのが気にならない人であれば是非)

確か第21回だったと思うのだけれど、

①大規模ジャンルを避けてニッチな場所を狙うのは余り意味がない。DL同人においては、「そのジャンルからは一作しか買わない」という人は珍しいので、実はそのジャンルの人気作とは競合していない。むしろ大規模ジャンルにはそれだけ人がいる、人気作は人を連れてきてくれていると考えたほうが良い。
②「売れたいなら他人が求めるものを描かないといけない」と言うと「自分の好みのものを描いてはいけない」ととられがちだが、自分の好みと売れ筋を融合することは十分可能。

という話が出てきた。(正確な内容は実際に動画をご覧ください)

これを聞いて「なるほど、やってみよう」と思って書いたのが「レニ&リオ」だ。(←すぐに影響を受ける)


カクヨムで最も人気があるジャンル「異世界ファンタジー」で「自分の好みと読んでもらえそうなもの」を最大限すり合わせて書いてみる。

こういう目標を立てて書き始めた。


その中でいくつか小目標(関門)を立てた。

①タイトルとキャッチコピーで、どれだけ興味を持ってもらえるか。(開いてもらえるか)

書籍小説とWeb小説はそもそも作りが違うと考えているので、タイトルとコピーは中身の説明(宣伝)と考えている。
動画やDL同人などに例えるとサムネに近い。
「自分がこの話を楽しんで読んでもらえると想定している層」の中でなるべく多くの人に興味を持ってもらえるように、興味のフックとなる情報を入れられるよう考えた。

②キャラや背景設定の描写にあたる三話までで、どれだけ話やキャラに愛着を持ってもらえるか。

「世界観の説明から始めると離脱される」「読者は設定資料を読みにきたわけではない」ということはよく聞く。
確かに設定資料が大好きな自分でも、スマホでそれを読みたいかと言われると読まない……(というより、読めない。)
三話までは、話を展開するのに必要なキャラの情報を伝えて、主人公二人に興味や愛着を持ってもらえることを目標にした。

③二人の恋愛(関係性)に萌えてもらえるかどうか。

短編小説なので、内容は二人の関係性(恋愛)に絞った。
二人のキャラという入り口にはとりあえず興味を持ってもらえたと仮定して、次は二人の恋愛模様に萌えてもらえるかどうか。
性描写が若干多めなので、対象としては「十八歳以上の女性」を想定した。


結果、どうだったか。

①②は自分なりには

「タイトルで興味を持って開いてもらえた」
「一話を開いた人に、三話まではそれなりに興味を継続してもらえた」

という手ごたえがあった。

三話→四話でPVが下がっているのだけれど、三話から世界観が入ってくるので、ここが離脱ポイントになるのは仕方がないと考えていた。

四話から先をずっと読んでもらえれば成功、それ以降に継続してくれる人が少なければ失敗だと考えていた。
結果は「思ったほどはうまくいかなかった」というところだ。

話数を更新するごとにリアタイでPVの推移(読まれ方)を見ていたのだけれど、自分が「ここは萌える」と思って気合を入れて書いた場所ほど次からPVが下がる。(ショック…orz)

逆に「自分はそれほど好きな展開ではないが、こういうほうが好まれるかな?」と思った展開だとPVが落ちない。

自分の力不足もあるかもしれないが、(これは一話からの前提なので、仕方がない)PVの推移を見るとやはり展開の影響が大きいのではないかと思う。


これについてはもうひとつ、「タイトルと内容がミスマッチを起こしているのではないか」と考えた。

「皇国の女帝ですが夫の寵姫(男の娘)を好きになったので、帝位を捨てて二人で駆け落ちしました」
「元女帝の女の子と優しく献身的な従者の男の娘。両片思いの二人が旅をする話」

このタイトルとこのキャッチコピーに惹かれて「とりあえず読んでみるか」と思った人が、何を期待するか。

二人がラブラブイチャイチャしながら旅をすることを、想像ないしは期待するのではないか。

またタイトルとキャッチコピーが女の子(レニ)が主体なのだから、レニが話の核心(男の娘リオの献身にまったく気付かない)の外側に留まって終わるのも、ミスマッチの一端であり、意外とこれが大きいのではないか、と思った。


「タイトル(から想定される話)と実際の内容のミスマッチ」が問題点のひとつだとすると、解決方法は

①タイトルを変える
②内容を変える

どちらかしかない。


考えてみたが、内容を変えるのは難しい。

この話は自分が好きなパターンの「NTR」である

基本ベースとしては「BはCが好き。だからこそAと関係を持つ」というパターン(心理)が好きだ。
「B(男)はCが好きだからこそA(男)と関係を持つが、Cはそのことを知らず『BはAのことが好きなんだ…』くらいに思っている」

を書いた。

「リオはレニのために自分を犠牲にするが、レニは何も知らず、リオはサイファーを好きになってしまったのか、とやきもきする」

つまり、リオ(男の娘)がレニ(女の子)のためにすさまじい犠牲を払っているが、レニはその事実もリオの内心も、何ひとつ知らない、この認識の差が自分の中では萌えポイントなのだ。(「ワンダと巨像」パターン)


こういうパターンが好きな人もいる(自分と萌えが被っている人。そんなにニッチな好みではない、と思う。たぶん)ので、そういう人たちにリーチするためにタイトルを合わせるべきだった。

「献身的な男の娘が、好きな女の子を守るために自分の全てを犠牲にする話」

こういう方向性のタイトルならば、入り口は狭まるけれど、ミスマッチは起きづらかったのではと思う。

自分の中では現在のタイトルで十分書いた内容を包括するのだが、他の人にとっては違うのではないか、ということまでは考えなかった。

内容を宣伝できる長いタイトルは便利なようでいて、「タイトルから想定する内容のイメージを限定してしまう」という難しい部分もあるのだな、と今回学んだ。


一応、最善は尽くしているつもりだけど、内容が面白い、面白くないは書いた時点ではその時の能力の限界がある。

ただ「タイトルと内容のミスマッチ」のように、事前にもう少し考えたほうが良かったのでないかということについては、悔いが残る。


プロにとっては当たり前なのだろう、自分の考え(萌え)と読む人が好むのではないかと思える萌えをすり合わせるのは思ったより難しいと感じた。

書くこと自体も楽しいし、こういう「書いて反省」の試行錯誤の繰り返しも楽しいので、末永く続けていきたい。

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