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自分と違う考えの人に対して「表に出るな」と言うのは危うい&さらなる調査を求めるなら、太田光に持論を語ってもらったほうがいいと思う。

昨日読んだこの記事について。

11日の放送では、岸田文雄首相が国会の閉会中審査で、安倍晋三元首相と旧統一教会の関係について「本人が亡くなられた時点で、その実態を十分に把握することには限界がある」と発言したことを紹介。(略)
ジャーナリストの鈴木エイト氏も「安倍派に切り込みたくないという形跡が見える」などと語った。
だが、太田は「安倍さんがどこまで意識していたのか、そこもちゃんと詳しく考えないと、安倍さんが濡れ衣というか、逆効果になって国民の反感をかってしまう」とコメント。
過去に問題となった森友学園についても、公文書の改ざんについて「(指示したのが誰だったかなど)そのへんを全部うやむやにするから、余計安倍さんが全部指示したんじゃないか(という話になる)」と言及した。
そのうえで「岸田さんは、何が何でも関係がある人は排除するんだと、複雑な問題なのに簡単にしちゃって、事なかれ主義になっているような気がする」などと発言している。
一連の発言にネットではさまざまな声が寄せられた。批判派の多くは「#太田光をテレビに出すな」というハッシュタグとともに、太田への異論を唱えている。(略)
《このところ、太田さん、政権は擁護するし、統一教会は擁護するような印象ですしね》

(上記記事より引用/太字は引用者)

番組は見ていないが、この記事を読んだ限りでは、太田光は「阿倍さんのために、岸田政権はもっとちゃんと調査しろ」と言っている。
江川紹子もそう受け取ったと言及していた。

この日放送されたTBS系情報バラエティー番組「サンデージャポン」で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と7月に銃撃され急逝した安倍晋三元首相の関係についてMCの爆笑問題・太田光が発言した内容を受け「太田さんも、統一教会と安倍氏の関係はしっかり調べた方がよい、というご意見のようですね」などと私見をつづった。

(上記記事より引用/太字は引用者)

「『#太田光をテレビに出すな』がトレンド入り」の記事では、鈴木エイトと太田光の発言の間に「だが」を挟むことで、二人が真逆の意見を言っているように、印象を与えている。
しかし記事を読んだ限りだと、この二人は言い方が違うだけでまったく同じことを言っている。

鈴木エイトは「岸田さんは安倍派を恐れて、『安倍さんが亡くなっているからわからない』ということを言い訳にそこに踏み込もうとしない→もっと調査すべき」と言っており、
太田光は「岸田さんが調べないから、全部安倍さんのせいみたいになっている。→もっと調査すべき」と言っている。

「このままでは全部安倍さんのせいになってしまう。それでは安倍さんが可哀想だから、もっと調査をしろ」という理屈は、「安倍さん=これまでの自民党政権」という前提だとその理路がまったく理解できない。(正直、自分もこの理路自体はよくわからない)

理解は出来ないが、「(岸田)政権擁護」はしていない。むしろ、

岸田さんは、何が何でも関係がある人は排除するんだと、複雑な問題なのに簡単にしちゃって、事なかれ主義になっている

(上記記事より引用)

と「簡単に済まそうとするな」と批判している。

太田光の考えだと、むしろ「安倍さんのために調査すべき」なのだ。
岸田政権が調査しない理由として上げている「亡くなっているから調査しようがない」という言葉に「岸田さんたちは、亡くなった安倍さんにすべてを押し付けて終わらせようとしている」という謎のストーリーが付与されている。(太田光の認識はこうなのだろう)
「安倍さん擁護」は擁護かもしれないが、早くこの問題を終わらせたい人にとってはむしろこの論理は厄介だ。

鈴木エイトが「大竹まことのメインディッシュ」で語っていた、「安倍さん周辺が疑惑の本丸」というのが本当なら、安倍さんにとってこれほど獅子身中の虫はいない。
正真正銘心の底からこう思っているなら、逆にすごいなと感心するが、それはともかくとしてこれかもどんどんこの調子で話して欲しい。
さらなる調査を求めるなら、「安倍批判」とはまったく違う論理で「もっと調査を」と言う太田光に持論を語ってもらったほうがいい
調査が進めば安倍さんは教団のことはよく知らなかった、ということも有りうるかもしれない。(さて、どうかな)

もうひとつその後に出たこの記事。

太田は自身がMCを務めるTBS系「サンデー・ジャポン」(日曜午前9時54分)の8月28日放送で、自民党が所属議員に対し旧統一教会との関係についてアンケート調査を開始したことをめぐり、「統一教会は反社だって確定するんですかって僕は岸田(首相)さんに聞きたい。だって今の段階では宗教法人として認められた宗教なわけで、『関係をどんどん調査していきます』っていうのは、まるで暴力団の関係と同じですよね。(略)岸田さんは旧統一教会をどういう団体だと思っているのかをまず明確に発言しないとほかの議員もみんな混乱する」と自身の考えを述べた。

(上記記事より/太字は引用者)

これは「ご尤も」と思った。
政権は今まで「宗教法人」として認めていた団体を、急に「関ってはいけない団体」にした理屈は何なのか、ということを説明していない。
今までの教団の問題行動を詳しく精査した形跡もなく、ただただ「世間が騒いでいるから」その風向きを見て、自分たちが今まで「宗教団体」と認知していた団体との関わりを切ろうとしているように見える。
唖然とするような事なかれ主義と無責任である。

「世間が騒いでいるか、興味があるかないか」という理由だけで、「宗教団体」と「関わってはならない団体」が切り替わるなら、そんな人たちには政治は任せられない。

こういう意見まで「旧統一教会擁護だ」と言って封じようとするなら、むしろそのことに危惧を覚える。

太田光の発言の中で安倍さんに感情的に入れ込んでいるような発言、特に公文書改竄問題については強い疑問を感じる。
だがメディアから自分と異なる意見、気に入らない意見を言う人を排除しようとすれば、メディアも専門家も世間からの反発を恐れて口をつぐむようになる。

「メディアが面倒臭がって、反論がきそうな意見は言わない、報じない」
それは正に鈴木エイトが「旧統一教会がここまで、与党政権に入りこんだ理由」として上げていたものだ。

大竹「取材して来てもその取材内容が、色んなところで発表出来てこなかった、という理由は何ですか?」
鈴木「世間の関心もそうですし(略)あとメディアが自主規制によってこういう団体を扱うと面倒くさいとかクレームもくるってことで(略)腰の引けた対応をしてきたことによって、面倒くさいことは触れないでおこうという風潮があったんですね」

(「大竹まことのメインディッシュ」9月2日/8:25あたり/太字は引用者)

「大竹まことのメインディッシュ」の5月20日の放送では、「報道の自由度ランキング」について取り上げられていたが、日本は先進国の中で最低レベルの71位だった。
まがなりにも報道の自由が保証されている日本がこういう結果になったのは、日本の報道機関は「忖度」「自己検閲」を働かせていることが大きいという結果が出ている。

自分とは違う見方、自分には理解できない意見、自分には興味がない情報でも、世間の風向きによって勝手に自己検閲をしないで報道するようなメディアを守らなければならない。
そういう姿勢を支持しなければ、メディアは「視聴者に受けないこと」「面倒くさいこと」はすぐに避けるようになる。

批判は構わないと思うが、「表に出すな(意見を言うな)」という圧力やましてや中傷には反対だ。


自分はこの問題については、「自民党がなぜ旧統一教会と(いわゆる)ずぶずぶの関係になったか」その経緯が重要だと思っている。そこをなあなあで済まさず要因を突き止めないと、今度は別の団体で同じことが起こる。

もっと詳しい調査で全貌を明らかにして欲しいと思うので、多少自分と考えが異なる部分があっても、調査を求める人にはぜひテレビで持論を語り続けて欲しい。

9月2日の「大竹まことのメインディッシュ」で、鈴木エイトがこれまで調べたことや経緯をかなり詳しく語っている。30分足らずで聴けるので興味のあるかたはぜひ。
さらに詳しくは9月26日に「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」という本が出版されるようなので、購入して読む予定。

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