2022/01/30(日)
僕が昼絵をしている間、彼女は映画を一本とドキュメンタリーを一本観ていたらしい。
「おもしろかった?」
と、聞くと、
「んー、分かんなかった。」
と、応えられた。
僕は、「どうことなんだろう。」と思った。わからないってどういうこと?
曰く、映画の方はおもしろかったしなんなら一緒に観たいと思うほどだったらしいのだが、”わからなかった”のはドキュメンタリーの方だったらしい。
僕にはそれが尚更分からなかった。分からないドキュメンタリーってなんだ?それはドキュメント的なのか。
「まぁ、教えてくれた人に聞いてみる。」
と、言って彼女はキッチンへと消えた。
僕はそんな彼女が素晴らしいと思う。
分からないままでいい、それはそれとして観たものをそのまま持っておくということ。
大らかで懐の深い技だ。僕はすぐにあーだこーだ組み立てて引っぺがしてベタ付かせてしまう。
流れる川の冷たさや、頬を撫でる風の爽やかさをただ感じていられる彼女を羨ましいと思った。
晩御飯はカレーだった。
とても美味しかった。具材はまた細かく刻まれていた。僕は、
「とっても美味しいね。」
と、言った。
事実、本当にそれは美味しかった。彼女は、
「でしょ。そうよ、それでいいのよ。」
という顔をした。
川が爽やかに、風が優しく僕を包んだ。
・・・
今日も夜が来ました。
Good night.
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