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「永遠の世界とともに」

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詩人、益山弘太郎さんが、ぼくの写真集『感動』を見て詩を書いてくれています。益山さんは、『幻聴妄想かるた』で有名な、就労継続支援B型事業所「ハーモニー」に通っています。 幻聴や妄… もっと読む
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記事一覧

「A STAR WAR S」 第11詩

「A STAR WAR S」 第11詩  詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 こちら国際地球防衛隊 こちら国際地球防衛隊 異星体飛行物体 侵入 異星体飛行物体 侵入 緊急アラーム 緊急アラーム ウ~ウィ~ン ウ~ウィ~ン バキバキバキ メキメキメキ ヒ ュリリ ヒ ュリリ ビョンビョンビョンビョ  ンビョン どうだ地球人の棲息しな いあたりに着地したか 間違いありません 密林です

「Fire Emblem 」 第10詩

「Fire Emblem」 第10詩  詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 おい ダチ公 お前の胸にはまだ燃えてるか 俺達のFire Emblem Motorbike Tourring Motorbike Tourring 吹き荒ぶ風 俺達は斬って駆った あの雪の日の朝 お前は転倒した それっきり このざまだ 車椅子にべったりだ 一言も口を訊かなくなったお前 それでも お前はダチ公 お前はお前であり続ける Fire Emblem Fire 

「悲哀歌」 第9詩

「悲哀歌」 第9詩  詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 おはよう   じゃあ行って来るね    そう言って君は出て行った    あの朝    道端の花があんなに    輝いていたのは何故か    雑草を踏みしめると    足が痛かったのは何故か    あれから    君は帰って来ない           いま君は    大好きだった丘の上の    木陰に休む    君の後ろを船が通る    白い船が通り過ぎる    そうさ    丘の向こ

「愛の世界」 第8詩

「 愛の世界」 第8詩  詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 ねえねえ いるかさん   あなたは私の孫にそっくりよ   いるかさんは何処から来たの?    僕は海の底から来たのさ   秘密の扉から   お婆ちゃんに会いに来たんだ   お婆ちゃんは何故そこにいるの?    神様からメールがあったのよ   「庭に出てみなさい 綺麗なお花といるかさんに会えるよ」  ってね   だけどいるかさん   秘密の扉ってなあに?    僕はただ游いでただけだよ  

「生命の樹」 第7詩

「 生命の樹」 第7詩  詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 俺は観た   母の胎内で破水した時   フラッシュが撮かれるのを   その映像は   俺の脳髄に残った   今でも時折   記憶の海馬から姿を現す   それは巨大な生命の樹   様々な果実を   たわわに実らしている       ところで お前   そんな所で   何をしてるかだって   そうさ  こんな暑い日は   堤防の土手で   上半身  裸で   風に吹かれているのさ

「ヴィーナス」 第6詩

「 ヴィーナス」 第6詩  詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 流れ星が私を   この星に連れて来た   地球は蛍光灯のように   光り輝いていた   百合の花が流れ星に   声をかけた   私はオレンジ色の百合   その子をTERRAに   置いてゆきなさい   流れ星は答えた   駄目です   この子はVENUSへ   連れてゆくのです   私は美しいが   寂しい百合の花   APOLLOが命じているのよ   その子をTERRAに  

「町角のかぐや姫」 第5詩

「 町角のかぐや姫」 第5詩  詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 愛と眠りに着く   善良き人々よ   朝 目覚めてみる   自らを信ずる   素晴らしき日々よ           憎しみと目覚める   懲りなき人々よ   今日も執着してみる   迎える夕べも   煩悶するだけだ           さあ出かけよう   町の中へ   竹藪にも似た町の中へ   かぐや姫は   きっとそこに居る   絶え無き月の世界から   喜びと悲しみを

「回転木馬」 第4詩

「 回転木馬」 第4詩 詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 名も無き町に生まれ   名も無き父に愛され   名も無き母に育まれ   人生は虚ろに漂い   若き日々は遥か遠く   今還暦を前にする   誇大妄想だった少年時代   世の中を舐めていた自分   我が身の悩みに閉じこもり   競争を避けて来た   そんな奴が詩集を出版し   生まれて初めて決闘が姿を現す   吐息を吐いてみる   こんな奴の自己顕示欲が   社会に通用する筈が無い  

「 episode」 第3詩

「 episode」 第3詩 詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 漆黒の黒曜石が沈む夜の海    星の光と混じり合い    水面は揺れる    いつしか人の心に獣が棲み    善と悪の動機を湛える    季節は冬最中    人の世には枯葉が舞い    海は沈黙を続ける    その時 私には見えた    漆黒の海に無数の眼が    彼等が呟く    我々に時間は無い    時間の次元を超越している    これまでに生じた事も    これから起き

「人間って何者 ?」 第2詩

「人間って何者 ? 」 第2詩 詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 ああ神様   ああ神様   お願いだ   もうこれ以上   すり鉢で   ゴマをするのは   止めてくれ   俺達の愛も   俺達の想い出も   俺達の友情も   何もかも全てが   すり鉢の底に空いた穴から   宇宙の外へと   出ていっちまうじゃねえか   ケーキ職人が   ホイップクリームで   最後の仕上げに   お菓子の文字を   書くような事は   止めて

「浮遊と希求」 第1詩

「浮遊と希求」  第1詩詩・益山弘太郎 / 写真・齋藤陽道 宇宙の軸   何物   波音   存在   霊魂   中心   連続   声色   放射状   自画像   恋情   遠望   吸収   混在   至高   静寂   放電   失楽園        白魚の様に泳ぐ雲    西空に輝く太陽    家路を急ぐ人々    この星は    今も活きている        君はどこから来た    君はいつ母を知った   

詩人・益山弘太郎さんのなれそめについて

☆詩人・益山弘太郎さんのなれそめについて★ 世田谷に、就労継続支援B型事業所「ハーモニー」というところがあります。幻聴や妄想の体験をかるたにした『幻聴妄想かるた』を作ったところとして有名です。 『幻聴妄想かるた』タイトルを一瞥すると、キツめなブラックユーモアのように思うかもしれませんが、でもじつは、幻聴も妄想もその人と地続きのものとしてあることをやわらかいユーモアといっしょに教えてくれるかるたです。ぼくはこのかるたの冊子の撮影で関わるようになってからもう4年くらいです。