ゲイと流氷
はじめに
こんにちは。さいとうです。
みなさん「流氷」ってご存知ですか? ご存じない向きはぜひ下のリンクを辿ってみてください。
「流氷」は字のごとく、海を流れプカプカと浮かんでいる氷のことを指します。北海道の冬の風物詩としても有名です。しかし、北海道であればどこでも流氷が見られるわけではなく、北海道の中でもオホーツク海に面したエリア(北海道の右上側)でしか観測できません。ロシアから流れてきた氷が海流に運ばれる先が、北海道のオホーツク海沿岸であるためです。
筆者さいとうは札幌出身のため、25歳になっても実際に自分の目で流氷を見たことがありませんでた。しかし、今回は友人から道東観光に誘ってもらい、生まれてはじめて流氷を見ました。今回は、そのあたりのお話を書き連ねます。
旅の記録
出発:札幌
札幌のタイムズレンタカーで車を借りて出発しました。結構大きめの車でした。自分でも運転するつもりで来ていましたが、その車体の大きさに若干怖気づきました。車の運転苦手なんですよね。
往路は、友人の運転で連れて行ってもらいました。他の人が運転する車に乗るのってなんだかワクワクします。運転する人の個性も出るし、単純に誰かが運転する車に揺られるのが好き。
休憩:道の駅
道中コンビニに寄り、旭山動物園で有名な北海道の一大都市「旭川」を抜け、道の駅しらたきへ。
マリメッコっぽいマスクを着用し、感染対策も万全。おや、よく見ると鼻マスクになっていますね。
完全に余談ですが、男の鼻マスクってちょっと魅力的じゃないですか? どことなくだらしない見た目が、己の性癖に刺さります。この話、いろんなゲイに喋っているんですけれど、一回も共感を得たことがないんですよねー。
到着:紋別
なんだかんだで、高速使って4時間後ぐらいに紋別に到着。北海道でけえ。
海洋交流館
こちらが海洋交流館。観光船ガリンコ号の乗り場がある、観光施設です。
入り口にはオホーツク海洋研究室の看板が。こんなところにも北大。
フードコート
中にはフードコートがあります。今回はアヒージョとたこ焼きをいただきました。
アヒージョは多分カニとかタコが入っていました! パンをつけて食べると美味しい!
まだ腹に余裕があるように思えたので、追加でたこ焼きも食べました。美味しい。大好き。
アザラシランド
出港までやや時間があったので、併設されていたアザラシランドに立ち寄ってみました。
アザラシかわいい。写真を撮っていなかったのですが、アザラシランドの建物内にあったアザラシフローチャートに惹かれました。いくつかの質問にYES/NOで答えていくと、自分と同じタイプのアザラシがわかるというもの。作った人の努力がしのばれる。企画・展示がかわいいので、ぜひ見てほしいです。
ガリンコ号
いよいよ流氷を見るために、ガリンコ号に乗船します。前情報では流氷は見られるとのことでしたが…?
ガリンコ号は初代から3代目まであるらしく、そのうち3代目に乗船し、エンジンから出る轟音を耳にしながら、離岸した。
進めど進めど、流氷が見えるどころか、茫々たる寒色のオホーツク海がどこまでもつづき(ここには本当に流氷があるんだろうか?)と半信半疑になる。
(うーん、今日は流氷もないみたいだし、このまま遊覧して戻るのかな)と肩を落としていると、どうも沖合の水平線が銀細工で縁取りされたように浮き上がっている。(まさかあれか?)と疑いつつ、船首がガラス屑のような白沫を飛ばしているのを眺めていると、海原の向こうにゴツゴツとした質感のそれが遠くで白色の中に陰影を落としているのが見えた。船内の乗客の空気感がピンと張り詰めて高揚していく。きっと間違いない。
接近してみると、果たして流氷であった!
船のドリルで流氷を破砕するときには、さほどの衝撃を受けないことに驚く。ただ、ひとたび船室の外に出ると、やはりエンジン音に合わせてガリガリという轟音がきこえる。氷の海原を船で切り割って通り抜けていく。この海を割っていくと、一体どこにいけるんだろう。
ガリンコ号で再び出発地に戻り、下船。すこしばかりお土産を買った。お土産屋さんは Café de Okhotsk.
Café de の部分はきっとフランス語ですね。Okhotskの部分はどうなんだろう? 随分変わった綴りをしている。調べてみると、やはりロシア語 Охотск から来ているらしいです。 そのままラテン文字転写したんですね。「バツ印」を kh で転写するあたり、キリル文字とギリシャ文字との関連を想起させます。ギリシャ語の χ は kh ないし ch でラテン文字転写されますよね。Christmas (cf. Xmas) , カイ (χ) 二乗検定 (chi-squared test) なんかもその例です。
カニの爪。昔は海上にあったらしいから驚き。
到着:津別
流氷を楽しんだあとは、宿に向けて出発。そして、ランプの宿「森つべつ」に到着。お部屋にはウェルカムまんじゅう。これもおいしい。
夕食
そして、この宿の夕食がすごかった。
美味い! 肉も魚もめちゃくちゃ美味い。言葉で伝えられないのが悔しい。ぜひ食べてほしい。
温泉
宿の温泉にも入ってきました。とろりとした温泉です。露天風呂の周りには雪が積み上がっていました。夜空の星を見ながら、肩まで湯に浸かります。ゆったりおしゃべりをしているうち、気がつくと、髪がパリパリに凍っていました。振り返ってみても、あの瞬間、間違いなく幸せだった。
風呂上がりにはゲームを楽しみました。(他のゲームもそうですが)推論系のゲームになるとポンコツすぎて、己の適性の無さに笑ってしまう。
翌朝も朝風呂に入り、客室でゲーム。朝食をとり(これも美味しかった)車に乗って出発。
到着:網走
2日目は網走に行きました。網走といえば網走監獄が有名です。行ってきました。
北海道開拓への囚人たちの貢献はいかばかりか。
前髪系看守。前髪系は好きですがこういうのではない。
教誨堂にも足を運んだ。
この額は、教誨堂の出入口の上に掲げられていたものです。敢えてこんな場所に残しておくなんて、きっとただの額ではないはずだ。どうも気になったので、写真を撮ってきました。
中身としては前段は「不臨深谿不知地之厚」と書いてあるようですが、後段がちっとも分からない。「不(遊?)文(編?)不(誠?淺?)畜之源」でしょうか……? 読めない…… そして当然ながら出典もわからない(有識者の方、教えてください)。
前段の内容は「深い谷を下ってみなければ、大地の厚みはわからない」といった内容です。『荀子』の最初に出てくる「出藍の誉れ」のもとになっている一節にあるようです。ここでは谷の比喩を用いて、物事を知ること、延いては修養の必要性を説いています。荀子といえば性悪説ですね。人の本性は悪であり、修養によって克服しなければならない。これが網走監獄の教誨堂に掲げられていることに、その重みを感じます。
網走監獄の教誨堂に掲げられているこの額は、いままで何を見てきたのでしょうか。
お昼は監獄食堂の監獄カレーを食べました。ちょっと麦が入っているんですね。おいしい。
札幌:帰還
網走監獄からは、筆者さいとうが運転しました。不思議なことに自分で寝ると眠くならない。高速の路面の凸凹でタイヤ擦ったら全員起きた。事故ったと思ったんだって。ウケるね。
札幌に到着したあとは、ステラプレイスの鼎泰豐で小籠包・チャーハン・酸辣湯を食べました。
おわりに
旅行後、週明けに仕事をしていると、旅行のことを思い出してふっと多幸感に包まれる瞬間がありました。じんわりと広がる幸福感。温泉に入った後に、自分の身体から熱気が放射されているような、心の芯から温まる感覚。これを求めに友人と旅行に行くのかもしれません。
新型コロナウイルス感染症のために時間、空間、経験の共有がしづらくなった数年間でしたが、それって人間関係をつくる・維持するためにとても大切なことでしたよね。今年はコロナ前の生活をもっと取り戻せたらいいな。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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