見出し画像

【コラム】経営者への最短ルート?サーチファンドを調べてみた

こんにちは。
T&Aフィナンシャルマネジメントのさいとうです。

最近、「サーチファンド」という言葉をよく耳にします。

2021年7月14日の日経新聞にも記事で紹介されるなど、米国ではトップエリートのキャリア戦略として定着しているサーチファンドについて調べてみました。

≪T&Aフィナンシャルマネジメント≫
T&Aフィナンシャルマネジメントはベンチャー企業に特化した経営財務支援、クライアント目線に立った中小規模M&Aのご支援をしております。
また、上場企業をはじめとする大企業~中堅企業の経営企画をはじめとする経営管理部門のサポートなど、幅広なご支援をご提供しております。

サーチファンドとは?

サーチファンドを検索すると、「経営者を目指す個人が主導して中小企業をM&Aし、自ら経営に携わる活動」と説明されています。

昨今の団塊世代の大量リタイヤによる事業承継問題や地域経済の活性化といった文脈からその存在が注目されているようです。

具体的にサーチファンドの仕組みを説明すると、M&Aを行い、経営者を目指す人のことをサーチャーと呼び、M&Aのためのファンドを組成します。

そのファンドでM&Aによる買収先を見つける期間(サーチ期間)に少額の出資を外部から受け、M&Aによる買収先が見つかった際、大きなM&A資金の調達を行うという仕組みです。

1984年に米国スタンフォード大学のビジネススクールで生まれ、現在までに数百件のサーチファンドが組成され、世界的に加速している手法とのことです。

サーチファンドが必要とされる意義

経営者には2種類の人が存在すると思います。

一方は事業をゼロイチで作り出し、それを成長させる人

そしてもう一方は、既存の事業を更に磨き上げ、成長を加速させる人

一般的に起業家は前者を指すかと思われますが、世の中には後者に適した人もたくさんいます。

サーチファンドはゼロイチで事業を作りだすのではなく、既存の企業をM&Aで買収し、そこの経営者として経営を行うのですから、後者のタイプになります。

サーチファンドの存在により、若くして事業意欲に燃えている優秀な人材が、自らもリスクを負って企業経営ができるようになります。
そして、経営される企業は、優秀な後継者がなかなか見つからずに売却されるわけですから、これは売り手・買い手ともにwin-winかつ、社会的意義があると思われます。

また、M&Aを推進していると直面する問題ですが、ある企業がM&Aを行い被買収企業を買収するのですが、一般的にM&A案件推進中は、買収企業の誰が将来的な経営を担うのかは明らかにされません(というか、M&Aが現実的に成就するまで、被買収先の経営体制は決まっていないことが大半です)。

これは売り手の現オーナーにとっては悩ましい問題で、自分自身が作り上げてきた事業がM&A後、具体的にどのような体制で運営されるのかわかりませんし、手塩にかけた従業員さんたちがどうなるかが実際のところ心配になったりします。

その点サーチファンドでは、M&A後に実際に経営するサーチャーと買収交渉を行うわけですから、売り手にとってどんな人格の人で、どんな能力を持った人が自社を買収したいといっているのか?という点について精査することができます。

画像1

サーチファンドのゴール

サーチファンドは外部投資家からM&A資金などの資金調達を行っていますので、M&A実施後、数年間経営した後にIPOや第三者へのM&Aなどでイグジットする必要があります。

IPO後や売却後も経営者として対象企業に残る選択肢もあるのかもしれませんが、イグジットによって得た大きなお金を使って、新たなビジネスを立ち上げる人も多いようです。

サーチファンドの支援機関

サーチャー一人で諸々の活動を独力で行うのは難しいです。

日本では、そんなサーチャーの支援機関(&投資家)としてSEARCH FUND JAPANJapan Search Fund Acceleratorが有名です。

両社はサーチ活動からM&A後の運営まで、一気通貫でサーチファンドの支援をしているのと同時に、サーチファンドに必要な資金を投資家という形で出資することもしていますし、M&Aによる買収先の紹介なども行っているようです。

これからのサーチファンド

冒頭にもご説明した、事業承継や地域活性という文脈において、これからサーチファンドはさらに脚光を浴びるものと思っています。

一方で、サーチファンドの立ち上げには一定量の自己資金の投入も必要でしょうし、自ら経営を行うわけですから銀行借り入れの際には保証人として人的保証を差し入れる必要などもあり、まさに経営者として勝ち残ってゆく気概がないとできません。

ただ、年功序列や新卒一括採用が瓦解するのでは?と言われながら、根強くのこっている日本企業の慣行に息苦しさや閉塞感を感じている優秀な人材にとっては、大きなチャンスと言えるのではないでしょうか?

これからもサーチファンドに注目してゆきたいと思っています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?