第1話 映画との出会い | Saito Daichi
幼い頃、人生を決める出会いがありました。
私は実家のリビングで放映されていた映画に釘付けになりました。
当時は基本的に映画は映画館か、近所のビデオ屋でVHSをレンタルして観賞するのが常識でした。
ネットも普及しておらず、DVDもない。必然的に、テレビを利用するしかない環境。
その中でも『午後のロードショー』は無料で映画が観れる手段の1つでした。
画面の中で、白人の少年がバイクにまたがり、巨大な用水路のような窪みで息切れしている。
次の瞬間、大型トラックが一般道から用水路へとダイブ。
車体の破片を撒き散らしながら、少年とカーチェイスを始めました。
――何だこれ?
実写なのか?
CGには見えないぞ。
それはアメリカのハリウッド映画で、SFアクション作品である『ターミネーター2』でした。
当時から映画は好きでした。
自分から観るというより、親が借りてくるから自分も後ろから眺めているという感じでした。
レンタルしてくるのはいつも洋画中心だったので、分からない単語やシーンの意味はその都度質問し、覚えていきました。
しかし、『ターミネーター2』は別格でした。
アクションや脚本の組み立てもそうですが、初めて映画で泣きました。
初めて映画というものを意識した作品が、一流の創作物だったという理由もあるかもしれません。
守護者であるアーノルド・シュワルツェネッガーが溶鉱炉に身を沈めなければならない。
というよりかは、ジョン・コナーが理解者を失ってしまった事実に、自分を重ねたのだと今となっては思います。
ジェームズ・キャメロン監督が悪夢にうなされながら綴ったこの脚本に不思議と惹き付けられ、初めて自分からレンタルを親に頼んだタイトルとなりました。
その理由は、当時の学生生活にありました。