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やはりそうだったか、令和大嘗宮の違和感──宮内庁さま、経費節減はまだしも政教分離違反では?(2019年12月08日)


前から気になっていたことがありました。大嘗宮周辺の地面の色です。

遠目で見ると廻立殿と大嘗宮の周りだけが白く見えます。プレハブ幄舎の屋根のように、白いビニールを敷いたのか、まさかそんなことはないだろうと疑っていました。

それで方々に話を聞いてみたところ、前回同様、細かい白い砂(砂利)を敷いたというのです。もともと芝生があったところなどは、「歩くとフワフワする」ようです。

でもヘンなんです。中途半端なんです。白砂の部分が一部に限られているのです。で、やっぱりそうだったんです。


▽1 一部にしか白砂利がない

前回はどうだったのか、工事に関わったという社寺建設業者のサイトを見ると、幄舎のビニール屋根の違和感は同じですが、地面はというと、外周垣まで一面に白砂利が敷き詰められていることが分かります。
〈http://www.daibun.co.jp/photo/work-h02-2.html〉


それなら、今回はどうなのでしょう。

大嘗宮の儀の前日に撮影されたという新聞掲載の画像を見ると一目瞭然ですが、板葺屋根の違和感だけではありません。幄舎のほか膳屋や斎庫その他に、無機的なビニール屋根が侵食しています。そして地面です。

柴垣内すなわち悠紀殿と主基殿および廻立殿の周辺だけに限定して白砂利が敷かれているようで、柴垣の外すなわち膳屋や幄舎周辺は色違いの砂利になっています。違和感を覚えざるを得ないのはそのためです。自然な統一感がないのです。
〈https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019110902000269.html〉

政府は前例踏襲を基本方針の1つに掲げたはずですが、それならばなぜ全面に白砂利を敷かなかったのでしょう。

都立図書館に木子文庫があります。明治の初期に宮中の作事に関わった宮大工で、帝国大学で教鞭をとったこともある木子清敬さんの関係資料が所蔵され、そのなかに明治の大嘗宮の透視図があります。
〈https://intojapanwaraku.com/travel/48605/〉


これを見ると、今回と基本構造が酷似していることが分かります。近代の巨大化した大嘗宮の原型なのでしょう。

かつては紫宸殿の南庭に建てられたのが大嘗宮です。南北40メートル、東西60メートルに収まっていたということです。いまはほぼ2倍の1ヘクタールあります。

巨大化の原因は幄舎です。もともと人に見せることを予定しない大嘗宮の儀なのに、1000人にも及ぶ内外の要人を参列させようとしたからです。欧米諸国と張り合おうとした結果でしょう。


▽2 皇居宮殿東庭では駄目なのか

明治22年の皇室典範では即位礼、大嘗祭は京都で行うこととされました。現行の皇室典範ではそれはありません。皇位継承儀式は都で行うことが原則であるなら、皇居宮殿東庭に大嘗宮を建てることは不可能でしょうか?

幄舎を建てないなら4500坪の広さは十分のはずです。問題は全面に敷かれた安山岩の石畳です。一時的に撤去するか、土砂を敷き入れるか、対策が必要です。

もし可能なら、参列者は寒くて暗い屋外の幄舎ではなく、宮殿内でビデオ解説を見ながら大嘗宮の儀の進行を見守ることになるでしょう。少なくとも外周垣の外はアスファルトむき出しという無粋な光景は避けられるのではないでしょうか?

ちなみにですが、砂利というのは、1立米あれば5センチの厚みで20平米に敷くことができるようです。とすると、1ヘクタール=10000平米なら、500立米で足ります。仮に1立米1万円でも、500万円です。実際はもっと安いし、3センチの暑さなら33平米に敷けます。大嘗祭が済めば再利用も可能でしょう。
〈http://www.takagikenzai.com/syouhin_tuti.htm〉

大嘗祭は宗教儀式だというのが政府の見解で、だから政教分離の観点から、国の行事ではなく、皇室行事とされました。それなのに、経費節減を口実に、やれ茅葺ではなく板葺だ、なんだと不当に介入することは、それこそ政教分離違反ではないでしょうか。裁判をも辞さないと構えているキリスト者たちなどは、ぜひ政府を批判してほしい。

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