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御代替わりの儀式──践祚、大嘗祭そして改元まで

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平成の御代替わりでの議論は徹頭徹尾、政教分離がテーマでした。そして令和の御代替わりもまたしかりでした。天皇がなさる儀礼には宗教性があるということなのですが、それは如何なるものなの…
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#違憲訴訟

「昭和天皇の忠臣」が語る「昭和の終わり」の不備──永田忠興元掌典補に聞く(「文藝春秋」2012年2月号)

「昭和天皇の忠臣」が語る「昭和の終わり」の不備──永田忠興元掌典補に聞く(「文藝春秋」2012年2月号)

 昭和から平成への御代替(みよが)わりから20年あまりが過ぎた。今上陛下は78歳(当時)。推古天皇以後では、江戸期の霊元天皇と並ぶ、歴代第4位の御長寿となられた。歴代天皇は若くして退位されており、75歳を超えてなお皇位に就かれているのは、昭和天皇と今上天皇以外にはない。

 陛下はまだまだお元気だが、ご高齢なうえにガンを患われ、療養中だ。15年には前立腺ガンの手術をお受けになり、20年には不整脈を

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問われているのは民主主義のあり方だ──御代替わり儀礼違憲訴訟はどこまで正当か 3(2019年3月24日)

問われているのは民主主義のあり方だ──御代替わり儀礼違憲訴訟はどこまで正当か 3(2019年3月24日)

 ずいぶんご無沙汰ですが、昨年暮れに御代替わり儀礼違憲訴訟を東京地裁に提訴した市民団体の言い分は妥当なのか、検証を続けます。誤りがあるなら、何が原因なのか、深く掘り下げるのは意味があることだと、私は考えています。

 ご存じのように、この訴訟は裁判所によって二分され、国費支出の差し止めに関しては、門前払いとなりました。東京地裁は口頭弁論も開かないまま、2月上旬、納税者として支出差し止めを要求できる

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靖国訴訟原告団が作成したパンフレット序文の「偽善」──御代替わり儀礼違憲訴訟はどこまで正当か 2(2019年1月4日)

靖国訴訟原告団が作成したパンフレット序文の「偽善」──御代替わり儀礼違憲訴訟はどこまで正当か 2(2019年1月4日)

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

▽1 正面から向き合い、学ぶ姿勢は立派

 さて、昨年12月、御代替わり儀礼違憲訴訟を東京地裁に提訴した市民団体の言い分は妥当なのか、吟味を続けます。

 前回は、提訴の前に13人の「呼びかけ人」が原告団への参加を広く一般に募った「委任状」の文章を材料に、原告らが、古来の天皇のあり方を否定し、日本国憲法の規定に厳格な解釈・運用を要求

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憲法は宗教の価値を否定してはいない──御代替わり儀礼違憲訴訟はどこまで正当か 1(2018年12月23日)

憲法は宗教の価値を否定してはいない──御代替わり儀礼違憲訴訟はどこまで正当か 1(2018年12月23日)

 今日は天皇誕生日です。今上陛下には宝算85、先帝に次ぐ歴代2位のご長寿となりました。そして、平成最後のお誕生日でもあります。

 お誕生日に当たり、例年どおり記者会見のお言葉が公表されました。平成27年以来、代表質問は一問のみとなり、今年は「現在のご心境」がテーマとされましたが、陛下はいつものように、まず災害の犠牲者や被災者に深く心を寄せられました。

 その上で、「譲位の日」まで、象徴天皇とし

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