無投票当選による弊害と打開案

 どうも。今回は選挙についての記事を上げます。先月統一地方選挙が行われました。投票率は軒並み低調でしたが、それよりも大きな問題に直面しています。それは「無投票当選」です。今回の統一地方選では町村議会の約3割が無投票当選、全国25市の市長選で無投票当選、また東京都の中央区区長選でも現職が無投票当選するなど各地に拡がっています。
 ではなぜこのような事態が発生しているのか。無投票当選が続いた場合、どのような事が起きるのか、そして打開策についても記事にまとめていきます。

なぜ「無投票当選」が起きるのか

 そもそも「無投票当選」が起きるのかというと大きな原因として上げられるのが、報酬が低い点です。市議会が全国平均42万3千円(令和4年12月31日時点)[1]に対し、町村議会の全国平均21万4千円[2]とその差は20万円。財政規模小さい町村議会では報酬が不十分ではないかという指摘のほかにも、地方に行けば行くほど高齢化率が高くなり、なり手が高齢者ばかりで世代交代ができない点。過去の選挙戦によって地域が分断されたなどさまざまな要因で立候補者が少なくなり、無投票での当選が増えています。

 別に出馬している人がいなければ「無投票当選」でもいいのではと思ってしまう方もいると思いますが、その考え方はかなりまずい事態を誘発する恐れがあります。実際に「無投票当選」が発生した地域での弊害が起きた事例について見ていきます。ここからはある意味過激な論調になりますが、ご容赦いただきたいです。

「無投票当選」の弊害

 今年2023年4月、香川県まんのう町にある「ことなみ未来館」という文化施設の指定管理者が外され、町営になるというニュースが一部で話題になりました。この施設にある談話室は指定管理者が定められ、その管理者が運営を任されていました。町民の皆さんにも反響が良く、町内外から来館者が訪れる施設となっていました。しかし昨年2022年秋に指定管理者解除の通知を受けました。つまり23年4月以降の運営に携われないことになります。その後有志での署名活動が行われましたが、町側から撤回の回答は得られずに今年の4月に撤退することとなりました。

 私もネット署名に参加しましたが、驚いたのが署名を町長がスルーした点です。部外者とはいえ声が可視化されたにも関わらず、その重みを軽視したと個人的には感じました。
 ではこの件と「無投票当選」がどういう関係があるのか。それは現町長は二回目の当選以降無投票で当選を果たしています。本来であれば選挙によって現町政の信任投票も兼ねていますが、そのような機能も果たせず、町政の緩みに繋がっているのでは私は思います。
 この指定管理者団体の問題は香川県まんのう町以外でも発生しており、サーモンパーク千歳テナント立ち退き問題の千歳市も市長は無投票当選だったり、高知県土佐市の観光交流施設「南風(まぜ)」 という施設でも指定管理者と施設内事業者と対立している話がtwitter上で流れおり、土佐市長も二回目以降「無投票当選」とこじつけに見えるほど、この共通点がありました。

 ただこれは氷山の一角に過ぎないです。ほかの問題でも「無投票当選」による行政・政治の弛緩、つまり緩みが発生していると私は考えます。本来であれば選挙の洗礼を受け、住民から支持を受けた正当性を担保しなければならないところが「無投票当選」によって民主政治が歪められ、そして地域の衰退まで引き起こしているのではと思います。
 ではこのような状態を打破するのにはどうすればいいのか。

信任投票を行いませんか

 地方自治は二元代表制で行っています。首長の権限が議会より力が上回ることがあります。そこで首長選で立候補者がいない場合、そのまま無投票当選で選挙戦はおしまいではなく、せめて信任投票を行い、正当性を担保することを提案します。
 公職選挙法では記号式投票を認めており、候補者一名だけであれば丸をつけるか、つけないかで投票ができます。また電子投票システムでタブレット端末使って、投票できれば書き間違いなどのミスもないと思います。公職選挙法での無投票当選の条文を削除また改定を行えば、できると考えます。

地方自治や議会民主制の行方

 今回の統一地方選挙での「無投票当選」について書いていきましたが、もっとも生活に関わる部分から近いのが地方自治になります。
 誰もが100%満足できる自治や政治を目指すのは厳しいかもしれません。しかしそれぞれが納得し合えるものは自治や政治はできると私は思います。その為には住民同士が意見し合える関係性や意思表示をしていくことが大事です。その一つの案として「信任投票」を推しました。
 この様な状況が変化していくことを節に願います。

引用資料
[1]全国市議会議長会 「市議会議員報酬に関する調査結果」

総務省資料
[2]町村議会の現状と抱える課題

https://www.soumu.go.jp/main_content/000642041.pdf


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