2022年参議院選挙公約比較(医療・高齢者政策編)

 どうも、来月7月10日に投開票を迎える第26回参議院通常選挙。コロナ禍が始まってから初の参院選になります。また高齢者(65歳以上)の人口が3640万人と、統計を取り始めてから過去最高を記録しました。例の見ない高齢化社に突入とコロナ禍の異常事態がセットとなっている状況下で各党はどのような政策を打ち出しているのでしょうか、見てみましょう。

自由民主党

・新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、将来の危機に備えた司令塔機能の強化
・歯科健診の機会の拡大など、国民の生涯を通じた歯科健診の充実(国民皆歯科健診)を図る
・熱中症対策推進法を制定
・医療DXを強力に進め、全国医療情報プラットフォームを整備し、ゲノム医療や電子カルテ情報の標準化の推進
・高齢者が社会の担い手として活躍できる「幸齢社会」を実現する
 自民党の公約で気になるのは国民皆歯科検診制度を作る点です。うがった見方をすると自民党の圧力団体の一つに日本歯科医師会があるんですがそれに配慮した政策なのかと感じます。

公明党

・認知症基本法を早期成立を目指す
・医療・介護・福祉分野におけるICT・AI・ロボットなどの活用を促進し、 AIホスピタルのような新しい技術を導入し、現場で働く人たちの負担軽減やサービスの質の向上を図る
・パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の取り組みを強力に推進し、データに基づく個別化された診療や介護サービスの提供、個人の健康増進を進める
・感染拡大時などの有事でも「医療崩壊」を招かないよう、日本版CDCのもと、医療体制強化を迅速に行えるにする
 公明党で注目したいのが個人の生活習慣を診療や介護サービスに反映させるパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の取り組みを推進する点です。これは食事内容や睡眠時間も提供し、それを診療や介護サービスに反映させるというものですが、頭に過ぎったのは生活習慣によって保険の点数に変化がつけられてしまうのではと思いました。いずれにせよ選挙後どういう形で具現化するか見ていきましょう。

立憲民主党

・重症化リスクが高い人などが、確実に医療を受けられる「コロナかかりつけ医」制度を創設
・かかりつけ医を「家庭医」と位置付ける「日本版家庭医制度」を創設
・「コロナ対策調査委員会」を国会に設置
・後期高齢者の医療費窓口負担割合引き上げ(1割→2割)を撤回
・「地域医療構想」を抜本的に見直し
 立憲民主党は票田でもある高齢者層に対して配慮し、後期高齢者の窓口負担引き上げを撤回しています。

日本維新の会

・新型コロナ感染症の位置づけを5類感染症とすることで、早期発見、治療を可能にし、国民の命と健康を守るとともに、社会活動の正常化を目指す
・開業医(かかりつけ医)が診察や健康管理を行うことを原則とする体制を構築
・「日本版CDC」を首都圏と関西圏に1か所ずつ整備
・医療保険に保険料割引制度(健康リスクの低い被保険者などの保険料を値引きなど)を導入
・介護サービスでの地方分権と規制改革を行い、ニーズを適時・的確に把握できる体制をつくる
 5類相当を明確に公約で出しているのは維新の会だけで踏み込んだ内容になっています。また医療費割引制度を打ち出しているのは小さな政府志向の維新らしい公約となっています。

国民民主党

・高齢者の積極採用を企業に促す
・「地域医療介護構想」を実現させる
・最低保障機能を強化した新しい基礎年金制度への以降を検討
・持続可能な年金制度を設計するためにも統計をチェックする「経済財政等将来推計委員会」を国会内に設置
・「デジタル接種証明証明書」の活用、普及
・移動制限や感染症2類相当、マスク着用の見直し
 国民民主党はコロナ規制の抜本的見直しを公約に掲げています。また玉木党首が財政官僚としてのキャリアがあるからこそ経済制度の公約が多いと思いました。

日本共産党

・物価高騰下での年金削減を中止
・非正規雇用の正社員化で、保険料収入と加入者を増やし、年金財政を安定化させる
・75歳以上の医療費2倍化を中止
・介護保険料・利用料の減免、保険給付の拡充、特養ホームなど介護施設の拡充
・「地域医療構想」の名での急性期病床削減計画を中止し、拡充
・保健所予算を2倍に、保健所数も職員数も大きく増やし、国立感染症研究所・地方衛生研究所の研究予算を10倍化。
 日本共産党はこれまでの介護政策や年金政策、医療政策の抜本的な見直しを公約で迫っています。

れいわ新選組

・感染症と災害の対策司令塔としての防災庁の設置による予算と人員の充実を図る
・医師・看護師、保健師など人材の増員を国が責任をもって行う
・地域医療構想は行政的医療の拡充を図るために、根本的に見直し(21年公約集より)
 れいわは防災庁という組織をつくり、災害とセットで対応しようとしています。

社会民主党

・公立・公的病院の統廃合(地域医療構想)には反対

NHK党

・屋外など感染リスクの低い状況においては積極的にマスクを外すように奨励していく
・検査の意義を考慮した上で、無駄な検査や害となりうる検査の拡充については警鐘を鳴らしていく
・日本版CDCのような組織の設立を国会で提案
・ナース・プラクティショナー制度(看護師がより幅広い医療行為を可能とする資格を与える制度)の導入も提案
 NHK党はマスク規制の撤廃やコロナ検査の意義を提案するような公約になっています。

まとめ

 ここまで紹介していきましたが、コロナ禍によって医療制度に混乱きたす状況や高齢化により増大する社会保障費は国の財政を圧迫するものとなっています。各政党はそれぞれのスタンスで公約を掲げています。それぞれを見て自分がよりマシなものを選んでもらえればいいかと思います。


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