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食品ロスとクレーム

 どうも、今回は食品ロスをテーマに書いていきたいと思いますが今月の節分も恵方巻きがコンビニやスーパーなどで販売されてました。一部のお店では売れ残りロスが発生していたそうです。自宅近くのスーパーやコンビニでも多く陳列されていました。そもそもどうして多く作ってしまうのか、考えてみました。

戻ってきた恵方巻ロス

 まずはこの記事を見て頂きたい。
 この記事は食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんが調査された記事です。2020年から行われている調査で3年目になり、私自身も毎年どうなっているのか気になっている記事です。
 今年は昨年に比べて売れ残り本数や完売店舗率も悪化していて売れ残りも多くなっており、その経済的損失額は10億円程度になると記事は報告しています。
 また下記の記事ではそもそもの原因はなんのかも論じています。

井出さん: まず、販売店側の「販売チャンス(=売上)を失いたくない」という思いが非常に強いことが大きいです。お客さまが来ているときに売り切れが起きないよう、メーカーに多めに作らせ、仕入れています。 さらに、そうした「欠品は許さない」という店側の要求に、立場の弱いメーカーや卸業者側は従うしかないという事情もあります。 要求された量を用意できなかった場合、取引停止を言い渡されたり、罰金を払わされたりといった例さえあります。

2月の風物詩!?恵方巻大量廃棄のウラにある構造
 CHANTO WEB 2/25 Yahoo news配信より

 つまり販売店側のチャンス損失や販売構造が起因する部分もあると論じていますが消費者側にも非があるとも指摘しています。

井出さん:食べ物は、動物や植物の命を犠牲にしてできあがっているものですから、適量を作ったらあとは「売り切れごめん」が当たり前、というのが理想です。 それには、消費者側も季節商品に対する考え方を変えていく必要があります。
 日本は1人あたりの食品ロスが世界6位と多いほうです。理由のひとつとして、日本は他の国と比べて、食品の安全性や品質、さらには見た目に対するこだわりが強いことがあげられます。それが店の品ぞろえを左右しています。

2月の風物詩!?恵方巻大量廃棄のウラにある構造 
CHANTO WEB 2/25 Yahoo news配信より

 日本人の食べ物に対する価値観や見た目が良いものを優先的に買いたがる意識がそうさせていると指摘されてます。確かに見た目が良いものや命を頂いている意識が薄い点があると思います。
 私の話で恐縮ですが昔コンビニの夜勤で働いていた経験があります。10年も前になるんですけど、消費期限の切れる直前の商品ですが結構捨てて勿体無いなとも思いました。あと牧場での作業を1週間手伝った経験もあるんですが、かなり重労働ですし、慣れないとストレスの溜まる環境でもあると感じたんです。見えない環境の中ではその苦労だったり、まだギリギリ食べられるものを捨てる異常性を感じられない部分もあるとは思います。
 横道に逸れてしまいましたが、その点もあると。ただ私の考えでは他にも原因があると思います。それがクレームという存在です。

クレームという存在

 クレームで辞典で調べるとこのような意味になります。

商取引で、売買契約条項に違約があった場合、違約した相手に対して損害賠償請求を行うこと。
苦情。異議。「クレームをつける」「クレームの処理をする」

https://kotobank.jp/word
コトバンク
 デジタル大辞泉クレームより引用

 ここでいうクレームは苦情、異議の意味になります。近年ではクレームについてカスタマーハラスメントという形で悪質化してきています。東京都の労働産業局が調査した「中小企業における消費者等からの苦情対応に関する実態調査」によると

消費者による悪質(迷惑)クレームで被った損害・被害内容(複数回答)は、「風評被害」が 23.0%で最も高く、次いで 「生産性低下」が 17.8%、「売上減少」が 17.4%、「賠償負担」が 14.3%

中小企業における消費者等からの苦情対応に関する実態調査
東京都労働産業局統計調査より

 風評被害や生産性低下などを上げていますがこれはどういうことなのか。別の統計データから見てみましょう。古いデータになりますが2017年日本労働組合総連合(通称 連合)が調べた「消費者行動に関する実態調査」からですが

勤務先で消費者から受けたことがある迷惑行為を聞いたところ、「暴言を 吐く」(33.1%)が最も多く、以下、「威嚇・脅迫的な態度を取る」(28.5%)、「説教など、権威的な態度をとる」(19.2%)、 「何回も同じクレーム内容を執拗に繰り返す」(16.7%)、「従業員を長時間拘束する」(10.4%)が続きました。また、「セ クハラ行為をする」(3.5%)や「暴力を振るう」(3.3%)、「SNS・インターネット上で誹謗中傷する」(2.3%)、「土下座を強 要する」(1.7%)といった回答も僅かにみられました。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20171221.pdf?v0110
消費者行動に関する実態調査
 日本労働組合総連合

 つまりクレームから暴行事件や強要などの刑事事件として立件できるような事案が発生しており、そのようなことに対して対応する時間や労力がかかることが伺えます。
 また東京都の統計調査での詳しいクレームの内容については

消費者からの苦情・クレームの内容(複数回答)は、「品質」が 40.8%で最も高く、次いで「接客」が 34.1%、「サービス」が 33.4%の順である。

中小企業における消費者等からの苦情対応に関する実態調査
東京都労働産業局統計調査より

 品質やサービスが悪いとクレームを付けたくなることが統計をみてわかります。そうなると店側の心理として多く作っておいてクレームを付けられないようにしようと考えることが出来ます。

このようなことを無くすには

 恵方巻が大量に作られて捨てられることによって、環境や経済的には損失をしてしまう。一方で売り切れてしまい販売機会を逃してしまい、もしかしたら売上を立てられたのではないか。挙げ句の果て、売り切れてしまい一部の消費者から怒りを買って無駄な時間を過ごしてしまう。なのでリスク管理として作っておこうとする心理があるのではと私は思います。
 さて結びとしてある記事を紹介します。

 昨年配信された弁護士ドットコムのニュースですが、クレームをする人も「クレームに苦しんできた労働者」ではないかという記事です。つまり自分も理不尽な想いをしてきたんだから相手にも浴びせていいだろうという無意識の心理が駆り立てているのではと私はこの記事を読んで感じました。

 人というのは自分の思い通りに進んでほしいと感じてしまう生き物ではないかとこの記事を書いていて感じました。しかし現実はそう簡単には自分の思い通りにはなりません。思い通りにはいかなくなったときにどう考えるかです。井出さんが昨年の恵方巻廃棄の記事でこう結んでいました。

 あくまでTwitter上や店頭での反応しか見ていないが、ないならないなりになんとかしているようだ。恵方巻の代わりに具材を買って自分で手巻き寿司を作って食べたり、かぶりつくものとしてハンバーガーやホットドッグを買ってきたり、家の冷蔵庫にある残り物で乾杯したり、家にあるものを適当に巻いたり、恵方巻スイーツを買ってきたり。ないことで創意工夫が生まれるという面もある。
 恵方巻に限らず、その日しか売ることのできない食べ物をきちんと売り切ったことを店が誇り、お客である我々も店の売り切る姿勢を寛容することが大切ではないだろうか。

https://news.yahoo.co.jp/byline/iderumi/20210204-00220830
「恵方巻の大量廃棄問題」はどうなったか 124店舗調査と3年データ推移で探る
2021/2/4 Yahoo news配信より

 心の余裕を持っていくことも大事なのではないかと思います。
 以上駄文を読んで頂きありがとうございました。

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