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リーダーはやさしいだけじゃだめなのよ。安心感を築きながら部下の挑戦もサポートしていますか?

最近、人との信頼関係を高めるにはどうしたらいいか? 信頼関係がどのような成果を生み出すか?について、考えています。

スイスのビジネススクール、IMDのジョージ・コーリーザー教授らが書いた、『セキュアベース・リーダーシップ ――〈思いやり〉と〈挑戦〉で限界を超えさせる』<https://goo.gl/1pL9tN>は、ただ優しいだけのリーダーになるのではなく、それとともに、部下のチャレンジを促し、パフォーマンス向上をサポートするアプローチが紹介されており、示唆が多い一冊でした。

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本書の中では、心理学で用いられるジョン・ボウルビィとメアリー・エインスワースが提唱した愛着理論「人は生まれつき、守られている感覚を提供してくれる人に、親密さと安らぎを求める」(p.25)からヒントを得て、セキュアベース(安全基地)リーダーシップという、コンセプトを提示しています。

本書でいう、セキュアベースとは「守られているという感覚と安心感を与え、思いやりを示すと同時に、ものごとに挑み、冒険し、リスクをとり、挑戦を求める意欲とエネルギーの源となる人物、場所、あるいは目標や目的」(p.26)と定義し、例えば、公園で子どもが遊んでいるのを見守る母親が、近くにいることで安心を提供しつつも、遊びに行くことを促すことで、主体性を育てている、という風に例示しています。

そして、このコンセプトを応用した、セキュアベース・リーダーシップを、「フォロワーをおもいやり、守られているという感覚と安心感を与えると同時に、ものごとに挑み、冒険し、リスクを取り、挑戦を求める意欲とエネルギーを持たせる。そうすることで、信頼を獲得し、影響力を築く方法」(p.39)と定義しています。

つまり、安心感を与えるだけでなく、「冒険し、リスクを取り、挑戦」を促すことも、リーダーシップの重要な要素と捉えています。確かにそれがないと、現状維持だけで、パフォーマンスの向上には繋がりにくいのかも知れません。

安心感をしっかりと醸成できているからこそ、挑戦させることができ、パフォーマンスが上がっていく。

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こうしたセキュアベース・リーダーの特性として、次の9つのポイントが挙げられていました(p.61)。

①冷静でいる
②人として受け入れる
③可能性を見通す
④傾聴し、質問する
⑤力強いメッセージを発信する
⑥プラス面にフォーカスする
⑦リスクをとるように促す
⑧内発的動機で動かす
⑨いつでも話せることを示す

本書では、各特性について、具体的な事例が示されているのですが、

「⑤力強いメッセージを発信する」という箇所で、

「彼はこんなメモを書いて渡してくれました。『君は間違いなく正しいことをやっているよ』。メモ用紙にかいてもらったこのひと言が、わたしにとってはとても大きかったのです。本当に大きかった。いつまでもその紙を持っています」(p162)

まさに、承認することによる安心感と、チャレンジを励まし、モチベートする言葉だなと思います。

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リーダーシップと組織の研究者であるミーヒャ・ポッパーとオフラ・メイスレスのこんな言葉を紹介されていました。「リーダーが安心感を提供することによって、冒険などの他の行動システムが動き出すようになる。すると、フォロワーの人々がリスクをとり、クリエイティブになり、これが学びや成長につながる」(p.41)。

この一つのリーダーシップの形を呼び水としたとき、ご自分のリーダーシップのあり方をどの様に感じますか? 優しいだけになって、挑戦はさせていないということはないですか? 逆に、安全基地がないままで挑戦ばかり、強いていませんか?

リーダーシップの発揮の仕方に絶対の正解はなく、自分自身のキャラクターや周囲の状況も考慮する必要はありますが、一つのヒントとして、自分自身のリーダーシップのあり方について内省する、いい機会になる一冊です!


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