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わかりやすいテキストってなんだろう?・2

 レシピサイトが、なぜわかりやすいか?また、普段文章を書くのが苦手な方でも、レシピサイトならなぜ書き込むことができるのか?その構造を説明してみました。
 では、いよいよ、まとまった文章を、わかりやすいものにするにはどうしたらいいか?今度は、同じように「ニュース記事」をベースに考えてみましょう。以下は、あくまで僕がでたらめに作ったニュースなんですが、おそらくこんな感じになるでしょう。

「茨城県H市の国道に牛が大行列」
 茨城県H市の国道で8月8日、意外な渋滞が巻き起こりました。原因になったのは牛。午後13時ごろ、H市K町を通る片側二車線の国道を牛たちが行進。普段ならスムーズに流れている時間帯にもかかわらず、牛のために大渋滞となりました。
 警察によりますと8日の正午過ぎ、国道を通行していた男性から「路上に牛が歩いてる」との報告がありました。その後近くの農家の敷地から牛40頭が逃げていたことが判明。H市の職員らが現場に出向き捜索した結果、通報から3時間後に全ての牛を捉えることに成功しました。怪我人や物が壊れたという被害はないということです。
 この農家では普段から電気柵で覆われた敷地内に牛を放牧していていました。H市では敷地内の電気柵が通電していなかった可能性があるとみて牛が逃げ出した原因を調べています。

 まず「タイトル」があって「本文」があるというのは、レシピサイトが「材料」「作り方」とフォーマット(定型)を決めているのと同じことです。新聞やテレビのニュースも含め、ニュースは皆このフォーマットで報道されますので、記事の場合をそのほうが理解しやすいですよね。
 さらに、読んでいただければお分かりのように、単語の難しさで言えば、唯一「電気柵」というのが普段使わない言葉ではありますが、小学生以上であれば、「電気」が流れている「柵」で、それによって牛を閉じ込めておくことができるものなのだろう、と想像できるレベルのものだと思います。しどんな事件が起きたのかも理解できると思います。あとは、地名以外、皆さんの知らない単語は出てきてこなかったと思います。
 さて、この記事で「どんな事件が起きて、どうなったのか」ニュースとしての役目ははたせていると思います。
 ニュース記事はある一定のルールを守ればレシピサイトとと同じように誰でもある程度の文章が書けるようになるはずです。もちろん、プロの記者は、そこにプラスアルファの情報をどうやって盛り込んで、独自性をだすか工夫する技術があるわけですが、事実をまとめるだけならばルールに沿って書けるものです。これこそ、「技術」で書く文章です。

ポイントは5W1H

 5W1H。文章講座では必ず出てくる言い方なのでご存知の方も多いでしょう。どんなことが起きたのか?その情報を伝えるには5つの「W」と1つの「H」という5つの要素を満たしていれば大丈夫という、基本的な文章の仕組みです。そのため大概のニュース記事では、わかっている限りこれら6つを網羅して書くことになります。今更とは思いますが、念の為、聞いたことがない人のために解説しておきます。

「When」
これは、時間に関連するワードです。日時や期限、タイミングを伝える事項です。
「いつ」「いつからいつまで」「何日前」「何時間後」
ニュースに限らず、イベントや、ライブ、教室の告知記事にも必要な情報です。また、季節を感じさせたい文章に入れ込むこともあるでしょう。
 またビジネスメールの場合であれば、具体的な「When」を入れることでトラブルを回避することができます。受け手は、「それまでに何をすべきか」と段取りを想像できるという効果もあるからです。

Where
場所や環境を示します。
「どこ?」「どんなところで?」
こちらもニュースに限らず、イベントや、ライブ、教室の告知には必要です。位置や状況を明確にすれば、受け手は自然に距離感、移動手段を想像しやすくなります。

Who
人物と役割、関係を提示します。ニュースの場合は事件の当事者や、事件に関わった人がどんな人か明確にした方が、読んだ人が状況を想像しやすく、情報としての精度が上がります。ブログなどで発信する情報の場合は「私が」という「主語」になるかもしれませんし、「どんな人と」という登場人物を明らかにすることで情報量をあげることができます。ビジネス文書の場合は社名や担当者、消費者など、それぞれの立場の違うも入れ込むこともあるでしょう。関わる人物を登場させ、立場を明確にさせていくと文章全体の意味がわかりやすくなります。

What
「何を」に当たり、物や事の対象物を表します。
対象物、商品、テーマや議題、コンセプト、サービスなど物理的に存在するものだけでなく、イメージなども含まれます。目に見えない考え方やコンセプトなどを受け手に分かるように表現するという意味では、一番難しいところかもしれません。

Why
「なぜ」といった理由を表す事項です。「なぜそうなったのか」「なぜそうするのか」を明確にするとゴールが見えやすく、読んでいる人の気持ちを誘導することができます。これは、企画を提案するとき、商品を売り込むときに大事な要素です。

How
「どのように」といった方法や手段です。「問題をどう解決するか」「どう作るか」「どうしたら改善できるか」など、いくつかの方法や手段を並べます。「情報」としてとても価値がある部分なので、作業の説明や、ハウトゥなどには欠かせない部分です。レシピサイトで言えばまさにここが「作り方」にあたる部分です。

 以上6つの要素が網羅されていれば大概の事件は理解できます。またニュースによっては現時点でまだ分かっていない事実もあるだろうと思いますが、その場合「書くことがないから削除」という考え方ではなく、文字数に余裕があるのであれば「不明である」ことを書き添えてきちんとフォローしておけば、さらに状況判断がしやすい文章になるでしょう。

 堅苦しいルールのように思えるかもしれませんが、実はこの5W1Hも読者が「知っている知識を組み合わせ、新しい情報として頭の中で想像ができるようにする」ための材料と言えるものです。だから絶対に守らなければいけないというわけではありません。便利なツールの一つと考えましょう。

 もう一度、例文のニュース記事を読み返してみてください。5W1Hの何かが欠けたとき、その記事がどのようにわかりにくくなるのか?想像して、文章の要素を考えてみるとよりこの仕組みの理解が深まることと思います。

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