脊椎の生理的運動 ~フライエットの法則~
脊柱はオステオパシーはもちろん、ピラティスやカイロプラクティックをはじめ、多岐にわたる分野で大切と考えられている器官です。
その主な理由は、脊柱の影響が脊柱はもちろん、身体の各神経や組織自体を、またはそれらを介して遠位へ影響し、さらに心身の動作にも影響するからでしょう。
さて、その重要な構造の一つである脊柱ですが、タイトルの通り、オステオパシーでは脊柱の動きに生理学的な動きの法則があると言われています。
これはフライエットD.Oが提唱したことから「フライエットの法則」と呼ばれ、3つの原理から成っています。
この3つの原理は「タイプ1・タイプ2・タイプ3」と呼ばれていて、これらの特徴はいずれも脊椎の動きに対してのことです。
(ちなみにタイプ3のみ、ネルソンD.Oが提唱したともいわれています。)
その内容は、
タイプ1
= 脊椎は、中立位の時、側屈時に逆側への回旋を起こす。
タイプ2
= 脊椎は、非中立位の時、回旋と同側へ側屈を起こす。
タイプ3
= 脊椎は、3軸のうちのいずれかの運動面に動きが起こると、他の運動面の可動性を低下させる。
というものです。
フライエットの法則をご存じない方の最初のクエスチョンはおそらく、「中立位・非中立位とは何を指すのか?」ではないでしょうか。
中立位・非中立位とは「脊椎の上下の椎間関節が、互いに接触しているか否か」で、「接触していない = 中立位」「接触している = 非中立位」となります。
解剖学的に脊柱は3つの領域に分けることができ、それぞれ頸椎・胸椎・腰椎と呼ばれています。
胸椎と腰椎は、解剖学的肢位(いわゆる良い姿勢、のようなもの)の時、椎間関節が接触していないと考えられていて、頸椎は解剖学的肢位の時を含め、常に椎間関節が接触していると考えられています。
つまり、胸椎と腰椎はタイプ1とタイプ2が存在、頸椎にはタイプ2のみが存在し、タイプ3は脊柱すべての関節に存在する、ということになります。
解剖学に明るくない方は、少し混乱してくるかもしれませんが、まだ少し細かい話が続きます。
人の頸椎は通常7つからできています。
(ちなみにこれは首の長いキリンのなんと1倍!なので、キリンさんの頸椎も人と同じ7つでできています!!……盛大な脱線ですね笑)
この7つからできている人の頸椎は、さらに上部頸椎と下部頸椎に分けられます。
これらは別名があり、下部の5つが「典型的頸椎」、上部の2つが「非典型的頸椎」とも呼ばれています。
ここでは細かい説明は割愛しますが、これを踏まえるとフライエットの法則のタイプ分けで頸椎は、
後頭骨と頸椎の1番目(OA)
= タイプ1のみ
頸椎の1番目と2番目(AA)
= タイプに対応しない(回旋がメイン)
2番目から7番目(C2~C7)
= タイプ2のみ
(※タイプ3は全てに適応)
となります。
頸椎だけややややこしくなりますね笑
中立位や非中立位、また3つのタイプにもそれぞれさらに細かな動きや特徴があります。
脊柱の動きは冒頭の通り、オステオパシーはもちろん、ピラティスやカイロプラクティックをはじめ、多岐にわたる分野での重要事項ですが、これは運動領域のオステオパシーとしても大切な要素の一つになってきます。
染谷 清行
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