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あじわう。 あじわう。 あじわう。



例えばここにストーブがある。





近くにいたら温かい。熱を感じる。
手をかざしてみる。あたたまる。
上に載せたやかんのシュンシュンと沸き立つ音もする。



だけどそれだけじゃない「なにか」を
目を閉じてより繊細に受け取ってみる。


少し離れたら寒いと思っていた場所からもほのかな熱は感じられるし
やわらかさや丸さ、目には見えない火のジワジワジワジワ。。という熱エネルギーの波のようなもの、お湯が湧いてポコポコ弾ける圧のようなものも伝わってくる。

それを受け取ると同時に、冷えて縮こまっていた身体のあちこちがジュワジュワと溶けて、少しずつ血が巡って行くとともに細胞がジーンと震えているような。




例えばここにカップに入ったミルクテイーがある。



口に含めばいつもの大好きな味。
ほのかな甘さにアールグレイの爽やかな風味。
ほっとする感覚。


そこで一息吐いて、もっともっと。
目には見えない、表面上の感覚だけではないもっと深くを味わってみる。


カップの質感を伝わってくる確かな熱や
湯気から顔に浴びる湿気
舌を通して味わう風味。
静かにそこにある、安心の感覚。

それら全てがじゅわ〜〜〜っと身体の内側へ。
飲んでいるのは口であり舌であり食道・胃なのだろうけれど
それ以外の細胞にも染み渡っていくような。


おいし〜〜〜〜ぃ♡





今日は近くの海へ。





1月とは思えないほど温かい日差しと、まるで天国かと思えるような穏やかな海岸線。

裸足になって浅瀬に浸かる。
冷たいけど澄んだ水の感覚に、砂や小石からの刺激。キラキラ光りゆらめく波紋。
足首に寄せる波の振動。


もっと感じたい。

もっと味わいたい。

見えるものも見えないものも、表面上で受け取るものも、もっと奥に隠れてるものも。





ただ、かんじ

ただ、みる

ただ、ある



すると足首だけで受け止めていた波の振動が、
わたしの前でとまらず胸の中にも入りこんできて。胸いっぱいをゆらす。





瀬戸内の波はとても穏やか。身体の中に入った波も心地よく揺らいでいるよう。


だんだんと胸からお腹、頭の方へもゆらゆらが広がっていって



わたしはうみになる。









うみになったわたしがいて
わたしになったうみがある。


ひとしきり味わったら
さぁ帰ろう。



「ただ、ある」感覚はずっとここにある。




最近は自然の中に行くときはもちろん
料理をするときも、子供と触れ合うときも、目覚めたその瞬間も
「あじわう」の奥深さを今までよりもより噛み締めています。



世の中はたった数%の目に見えるものと、
95%以上の目に見えないものでできていて。


人の顕在意識と潜在意識の比率も同じ。



その数%の目に見える(表面上受け取れる)ものだけを味わって満足しているだけじゃなくて、
自力で目の前のことをなんとかしようとするだけでもなくて

もっともっと受け取っていいし、委ねてもいい。





「ない」「足りない」と思っているそこにこそ
すべてがある。


それを自然が教えてくれるし
このことの意味を、くらしの中でも今までよりももう少し、味わえている気がします。







くろかわさいこ
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