#37 和声分析と演奏表現①和声の推移を見る/和声音と和声外音
こんにちは!
今月もオンラインレッスンサロンnote のご購読ありがとうございます。
新型コロナウイルスの影響で、学校がお休みになったりコンサートや発表会が中止・延期になったりと、サロン会員の方にも影響が出ているかと思います。
もどかしい思いもあるのですが、ウイルスの影響を受けないオンラインで、このサロンのほうでもどしどし演奏をお送りいただいたりご相談を投げたりしていただければと思っております!
さて、今月1本めのテーマは「和声分析と演奏表現」です。
和声分析ができたところで、それを演奏表現に結びつけなければいけませんよね。
ある意味、クラシックを演奏する上で永遠のテーマですので、これまでも、そしてこれからも何度もテーマにあがってくると思いますが・・・!
ひとまず今回は
・ベートーヴェンのピアノソナタ第10番 第1楽章の冒頭を例に
・和声の推移のスパンを見るということ
・和声音と和声外音について
のミニ解説動画を撮りましたので、ご参考にしていただければと思います。
※和声外音は、非和声音とも言われます。
1.ベートーヴェンのピアノソナタ第10番冒頭の和声分析
和声分析については、サロン会員の方からも「苦手です」というお声を何度かいただいているので、継続的に取り上げる予定です。
今日は、ベートーヴェンのピアノソナタ第10番の冒頭8小節の和声を見ていきます。
この部分は、右手が16分音符単位で細かく動いているので、迷いそうになるかもしれませんが、左手を見ればシンプルに和声分析できます。
転調も借用もないので、和声の基本を学んでいればすぐにわかると思います。
2. 和声の推移のスパンについて
和声分析ができたら、今度は「どのくらい和声が動いているか」というのを見てみます。
この曲の場合、以下のようなことがわかります。
・冒頭の8小節をフレーズ分けするときは「2小節+2小節+4小節」という分け方になりますが、実は後半の4小節のほうが細かく和音が入れ替わっています。
・1-4小節目は「2小節・2小節」→ 5-8小節目は「1拍ずつ(4小節)」という単位で和音が変わっていますね。
・ただし、和音の進行は自然なカデンツの流れであって、どんどん転調していったり発展していったりという急激なドラマ性は少ないです。
これだけの情報でも、音楽がどのくらい動いているか、落ち着いているか、というのをある程度見分けることができます。
たとえばショパンのスケルツォ第1番の始まりの速い部分でも、音がめまぐるしく動いていますが、実は大きな和音は動いていなかったりします。
このように、和声進行のスパンを見ることで、大きな音楽の枠組みがわかり、演奏のヒントの一つになります。
ここまでを動画①(約6分)にまとめました。
動画はこのnoteの下のほうでまとめてご紹介しています。
3. 和声音と和声外音について
和声分析を演奏に役立てる上で避けて通れないのが、「和声外音」の存在です。
和声外音とは、和音の外の音、つまりその部分の和音の構成音でない音のことです。「和声に非ず」と書いて「非和声音」とも言います。
・和音の響きをまずイメージする、決める
・和声外音はその周りにある音と捉える(かけ離れた音にならない)
・和声外音は表情、主張、彩りなどを加える大事な要素である
・和声音は調和を大事にし、「和声外音→和声音」で響きが落ち着くのを感じる。
これらに留意した上で、どう演奏するか、探ってもらえればと思います。
ここまでを動画②(約5分)にまとめました。
動画はこの下でまとめてご紹介しています。
ここまでの解説&実践ミニ動画(2本…6分/5分)
ここまでを2本の動画にまとめましたので、ご覧ください。
動画① 和声分析と、和声の推移のスパンを見る(約6分)
※ショパンのスケルツォの例は動画ではお話していません。また機会があれば取り上げます!
※「02:31」の部分で「1度の第1展回」と言っていますが正確には「第2転回」でした。訂正してお詫びいたします(解説動画でつい言い間違えてしまうことが多いです…すみません!)
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