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熱化学のウラ技!?


以下の問題が熱化学の代表的問題。

水素(気),炭素 (黒鉛),プロパンC3H8(気)の燃焼熱は,それぞれ 286 kJ/mol,394 kJ/mol,
2219 kJ/mol である。このとき, プロパンの生成熱を求めよ。

一般に熱化学の問題の解法は3つあります。順に紹介します(なお解法3が裏技です)。

解法1: 熱化学方程式による代数的な計算

熱化学方程式の利点を利用。熱化学方程式は以下のように立式できます。
水素(気)の燃焼: $${\rm{H_{2}(気)+\frac{1}{2}O_{2}(気)=H_{2}O(液)+286 kJ}}$$ ……①
炭素(黒鉛)の燃焼: $${\rm{C(黒鉛)+O_{2}(気)=CO_{2}(気)+394 kJ}}$$ ……②
プロパン(気)の燃焼: $${\rm{C_{3}H_{8}(気)+5O_{2}(気)=3CO_{2}(気)+4H_{2}O(液)+2219 kJ}}$$ ……③
目標-プロパンの生成:$${\rm{3C(黒鉛)+4H_{2}(気)=C_{3}H_{8}(気)+Q kJ}}$$ ……④
①×4+②×3−③: $${\rm{3C(黒鉛)+4H_{2}(気)=C_{3}H_{8}(気)+(286×4+394×3−2219) kJ}}$$
これを④と比べることで, Q=107 kJと求められます。

解法2: エネルギー図

本質的かつ図で表せば良いので楽。難問にも対応できます。ただ慣れるまで書くのが難しいと感じる人は多いです。ポイントは
バラバラほどエネルギーが大
これを意識してエネルギー図(注 エンタルピーもエネルギーの一種)を作ると以下の感じ。

解法3: 裏技 (代入法)

燃焼熱代入法: 目標となる式に燃焼熱の値をそのまま代入
生成熱代入法: 目標となる式に生成熱の値×(-1)を代入

上の例題で言えば, 燃焼熱が与えられているので, 目標となる式(プロパンの生成:$${\rm{3C(黒鉛)+4H_{2}(気)=C_{3}H_{8}(気)+Q kJ}}$$ ……④)に燃焼熱の値を代入すればよいです。3×394+4×286=2219+Q よりQ=107[kJ/mol]と求められます。解法1では方程式を丸ごと代入しましたが, 結局化学式は自然と合うようになっています(不要なものは消え, 必要なものだけ残すようにする)ため, 数値だけ代入すれば良いということになります。燃焼熱と生成熱で+なのか−なのかが違う理由としては, 物質Aの燃焼熱では A + … = …+ Q すなわちA = ….. + Qとなりますが, 物質Aの生成熱では ……….= A + Q すなわち A = ……. − Q となるからです。ここで……..の部分は他の物質を表しており, たしたり引いたりするとどうせ消えます。

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