高い枕を買ってQOLが高まっている
今月は自分の誕生日月だ。
前々から枕がだいぶ悪くなってきていたので、誕生日プレゼントとして枕を買おうとなった。
ショッピングセンターを見て歩いていた時の完全な思いつきである。
ぼくは昔からアホみたいに肩こりがひどく、眠りも浅い。
古い枕は大抵ニトリとかの布団セットについてくる綿の枕だったが、これがすぐ潰れて低くなったり頭の熱がこもったりで、かといってたまに遠出した際にホテルに泊まると枕が今度は高すぎて首が疲れたりといった弊害があった。
そろそろ買い換えないとなあと思って歩いていたらショッピングセンターの中にちょうどオーダーメイド枕の店があった。
なるほど、試しにこれ合わせてみてもらおうと軽い気持ちで入ってみたのだった。
にこやかな店員さんに首の角度やらなんやらを調べてもらい、いい感じの高さに調節した枕に頭を乗せた時であった。
「エウレーカ!!」
脳の中で古代ギリシャの哲学者がなんらかを叫んだ。
エウレーカという言葉になんの意味があるかはわからないがなんか叫んでいた。
明らかに枕がフィットしているのである。
オーダーメイドだから当たり前なのだが、まるで吸い込まれるように頭が枕に乗っている。
横を向いても肩へ負担がかかる感じではない。
真上を向いて目を瞑ったら2秒で眠れそうである。
店員さん曰く、正しい位置に頭を保ち続けるためには真ん中は凹んでいて、左右は高くなっていないとダメだそうだ。
これは寝返りを打って横を向いた時に肩の分の高さを逃がすためらしい。
なるほど、確かに横を向いても上を向いてもぼくのポテトヘッドは優しい貴婦人に優しく包まれ首への負担は消え失せている。
中に入れてある材質でも変わるとのことで、ストローを輪切りにしたようなやつとかそば殻とか好みで選べるそうだ。
これはいい。
というかこれをなぜぼくは知らなかったんだろう。
ぼくは「お値段いくらですか」と店員さんに聞いた。
「2万5千円です」
そうかーーーーーーーーSwitchくらいしちゃうかーーーーーーーーーーー
他に価格帯があるか聞いてみたところ、1万円のと、3万5千円のがあるらしい。
1万円ならなんとか、と1万円の枕を先ほど同様に高さを調節して置いてもらい、試しに横になった。
ああーーーーーーーーーーーこれがお金の味かーーーーーーーーーーーー
悪い枕ではない。決して悪い枕ではないのだが、明らかに違う。
しかもその違いが「そうね、確かに安くなったわね」とわかるレベルなのだ。
先ほどの2万5千円のマーヴェラスを味わった後にこれをお出しされても、今まで食べていたケーキ屋さんのケーキが急に駄菓子に差し代わった感がある。
駄菓子は美味しいが、やはりパティシエが作ったものの方が完成度とかなんか全体的に高い味がするだろう、そういう感じだ。
しょぼしょぼと起き上がったぼくに店員さんは「今度は3万5千円の方です」と別の枕を用意した。
言われるがままにそこに頭をのせる。
これは…?宇宙?いやぼくはここに?目を閉じれば億千の星夜空に光るお前がいる?大親友のパスタ殴ってベタ惚れ?
頭を置いて寝かけた。
こんなにか。こんなにお金の量で味が変わるのか。
2万5千円の枕が街の評判のケーキ屋さんのケーキとしたら、これは帝国ホテルのアフタヌーンティーで出てくるケーキだ。
格が違うのだ。
結局ぼくは3万5千円の枕を注文した。
枕は3ヶ月に一度店に持っていくと中綿の調整などをしてくれてベストな形にしてくれるそうだ。
いいものを手に入れたと思う。
注文後1週間ほど待ってようやく家に届いた枕を設置し、ぼくは毎日眠っている。
寝付くまでの時間が劇的に変わったわけではないが、寝て起きた後の首の違和感は格段に減った。
あと何時間寝ても寝疲れしにくくなったのも大きな発見だ。
首への負担がないせいか非常に寝疲れしにくい。
ただ高い枕を買ってしまったせいで今度は敷布団の悪さが際立ってきたため、こちらを買い換えないといけないと感じ始めた。寝具沼ってあるんだな。
みんなもぜひ騙されたと思って一度オーダーメイド枕を試してきてほしい。
ぼくの日々のゼロカロリーコーラに使わせていただきます