バリキャリではない私に“子どもを預けて働く価値”はあるのか?
私に「働く価値」はあるか?
育休明け直前、私は職場復帰をためらっていた。
「退職」
スッと産んでサッと復帰するつもりだった産前(今思うと無知すぎて怖い…)には、全くない選択肢だった。
特別、仕事人間!というわけではなかったけれど、仕事は楽しかったしやりがいも感じていた。
仕事を続けたかった。
4月。倍率10倍以上(!)の認可保育園にも奇跡的に合格し、会社からもありがたいことに「やってもらいたいことがたくさんある!」と優しい声をかけてもらっていた。
あとはいつ復帰するか、自分が決めれば良いだけ。
この状況で、何をためらっていたのか?
それは「自分に働く価値があるのか?」という問いに答えが出なかったからだ。
0歳児を預けて働く、理由がない
休業前、やりたいことがあり過ぎる…と悩んでいたのが嘘のように、半年間の育休を経て、私は自分の能力に対する自信を完全に失っていた。
産後、自己肯定感が異常に低くなっていることには既に気がついていた。
しかしそれとは別に復帰のハードルになっていたのが、0歳児を預けて働くことの罪悪感。
これがまじで尋常じゃない。
ワーママの復職は、子どもと離れるさみしさにフォーカスされがちだけど、「この選択は母親として正解なの?」という自分に対する疑念がめちゃめちゃ芽生える。
「一生に一度しかない期間限定のこの時間より、仕事を選ぶの?」
絶対に働かなければならない、経済的な理由はなかった。節約すれば大丈夫。
「毎日ものすごいスピードで成長していく我が子の、最初の一歩を見逃すの?」
その成長をひとつも見逃すことなく、思い出として語れない可能性が怖かった。
「一番母親を求めているこの時期の赤ちゃんを、誰かに任せるの?」
「大変だ」と感じている育児を委託するのは、母親の責任から逃げていると感じた。
*
この罪悪感を越えて「働くこと」を選択するには、自分の中で理由が必要だったのに、ひとつも見つからなくなってしまっていた。
そもそも私、そんなに仕事が好きなんだっけ?
クリエイターでも働きマンでもない私
働かなければならない理由がないのなら、働く意味が必要だった。
その葛藤を、ワーママの先輩にぶつけてみた。
(うだうだと結論の出ない話を根気強く聞いてくださった先輩には感謝しかない)
先輩はわかるわかる〜!と受け止めてくれた上で、こう言語化してくれた。
「私たちは子どもを預けて働くんだから、それ以上の価値を生まなきゃって思うよね」
そうだ。そうなのだ。引っかかっているのはそこだった。
果たして私は、この何物にも替え難い存在との時間に匹敵するほどの価値を、仕事で、生み出すことができるのだろうか?
大志ある経営者でもない、
唯一無二の作品を創り出すクリエイターでもない、
成果と成長を追求するビジネスマンでもない、
ただ何となく「仕事は辞めたくないなぁ〜」と思っている私。
比較にならなかった。
先輩のように、価値を生み出せるかどうかは自分次第だ!と、前向きに腹を括れなかったのだ。
復帰して3日で気付いたこと
決心はつかなかったが、「復帰する」という約束を破りたくない一心で復職日を決めた。
「働く理由」を、「社会人として約束は守るべき」に無理やり定めて、思考することを投げ出したのだ。
うん、考えても分かんない。分かんないのに結論出そうとするの、やめよ???(急にアホになることにした)
本当に無理ならその時また考えれば良いし、復帰すれば忙しくてそんなこと考えてる余裕なくなる、という諸先輩方の声にすがった。
復帰して3日で分かった。
本当にその通りだったのだ。
まず、社会復帰したことで「母親ではない自分」の時間と場所が生まれ、育児中の自分を客観視できるようになった。
視野が720倍くらいに広がり、これまで”真剣に考えているつもり”だったことが、ただ悩んでいただけだと気がついた。
恋に恋する乙女がごとく、悩みたくて悩んでいたのだ。
罪悪感に苦しむことによって、罪悪感を消そうとしていた。
そんなもん結論出るわけがない。
そして、毎日を「回す」ことに必死で、余計なことを考えている余裕がない。
家事→仕事→家事→育児→仕事→寝る→育児×∞
働く意味とは〜とか考えてられない。寝れるうちに寝ないと死ぬ。
働く価値を、自分の中に見出せるか?
復帰して半年が経った。
目覚めて即、息子がかわいい。
慌ただしくも充実の朝。
日中は仕事が楽しい。
(昼間も思い出しかわいい息子)
お迎えに行って抱きしめる息子がかわいい。
寝る時は、明日はもっと楽しくなるよね!って感じ。
なんかもう、それだけで良くないですか??
価値を生み出せるか?とか、
成長できるか?とか、
もちろん考えることが必要な時もあるけど、
それって目標設定の時に考えることで、子どもとは別の事象の話。冷静に、天秤にかけることではない。
そして一番大きな勘違いが、「働く価値」を自分の中に見出すことは無意味だと思っていたこと。
社会に貢献するとか、成果を上げるとか、そんなことではなくて、
メルマガ登録促してくる自己啓発サイトみたいなこと言いますけど、「毎日イキイキと過ごせる」これだけでものすごい価値じゃないですか。
それが経済的余裕によるものだろうが、居場所を見つけることだろうが、育児疲れからの解放だろうが、
笑って過ごす方法になるなら、それは私の働く価値になる。そう思えたのでした。
働いても良い、辞めたって良い
たしかに職場復帰しなかったら、別の幸せ?があったかもしれない。
他の誰かはそうかも知れない。
でも自分はこれが正解だった。
半年経ってようやく、自信を持ってそう言えるようになったので、このタイミングでnoteに書きました。
もし私のように、復職を迷っている人がいたら、
バリバリに成果を出すビジネスマンではなくても、あなたは働いて良いんだよ、逆に辞めたって良い。
積み上げてきたものは、そこで消えたりしないから。そう伝えたいです。
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