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自らが招く「ママなのにすごい!」の呪いについて

母4年目、余裕が出てきて気がついた

2019年に産まれた息子も、間もなく3歳になる。つまり私は、もうすぐ母4年目だ。はじめての妊娠、出産、産後育児、育休と復職を経験して、転職もした。

産後の自己肯定感の低下と0歳児を保育園に預ける罪悪感から、一時は「専業母になってみるのもありかな?」なんて思ったけれど、結局自分自身を好きでいるために、毎日楽しく過ごすために働き続けることを選択した。

0歳9〜10ヶ月ほどで晴れて保育園入りを果たした息子は、月5ペースで小児科に通うことになった。もはや習い事である。小児医療費助成制度(住んでいる地域は所得制限なしで15歳まで医療費無料)の恩恵に預かり、納税しよう……!という気持ちが強くなったりした。

急な呼び出し電話や在宅勤務しながらの自宅保育、コロナ禍ゆえ長期休園も経験した。こちらが言わずともタスク調整してくれていたであろう職場に、同僚に迷惑をかけないよう、限界まで働いていたと思う(復職マザーみんな言うけど、何か記憶がない)。 

仕事や夜泣き(2歳過ぎまで2時間おきに泣いてた)が少し落ち着いた頃、ライフ&キャリアプランを考えて転職をした。

その前後から言われるようになった言葉がある。

「ママなのにすごいね!」

多分特に深い意味はなくて、ただ褒めてくれているんだと思う。私がママ属性を全面に出しているから、話題にしてくれているんだと思う。

そりゃ週1回は早退したり、インスタには病児ネタを書いたり、slackのステータスが「本日自宅保育」になっていたりしたら、大変(だと思って)そうな奴認定されてしまう。当然だ。

「ママなのにすごいね!」とは、

「ママ(業だけでも大変そう)なのに、(頑張ってて)すごいね!」

という、下駄を履いた評価なのだ。

決して仕事で成果を出しているわけでもないのに、ママだから、頑張っているだけですごいよ、と相手のハードルを下げたうえで引き出されたセリフ。

社会人なんて成果を出すのが当たり前で、成果が出なければ叱責されこそすれ褒められるなんてことはない。

もう、言葉をそのままポジティブに受け止められない、本当に面倒くさいやつで申し訳ない。

褒められたら、嬉しい。本当に毎日、頑張ってるから。それは本当。

でも、ママじゃないと、多分今の私は褒められない。

「ママなりに精一杯頑張ってる」。これが正当な評価だと思う。全くすごくないし、偉くない。相手に錯覚させてはいけないと思うのだ。

状況共有のさじ加減が難しい

この状況を防ぐには(防ぎたいなら)、無意識に行われていた「新米ママブランディング」を止めるのが肝要だと思う。

例に漏れず親バカ化していたslackのアイコンは、親子ツーショットのものからピンのドヤ顔()に変えた。

※逆に定時後MTGや多すぎる飲み会を入れられることを避けたければ、アイコンは子どもに、カレンダーは定時後ブロックしておくのが◎子供が1歳になるまでは、送り担当で夜時間が長い側の親もこうすることを推奨したい。

ネガ暴走しがちなSNSも、育児ネタはできるだけ「悩み」ではなくて解決できる課題感や試行錯誤の過程を。(根本ネガなので、ちょっとまだできてるか怪しい)

とはいえママである事実や、それゆえに勤怠がきったないデスクみたいになってしまう(※注:飲み掛けのペットボトルみたいにどんどん勤怠エラーが溜まる)ことは避けられない。

あとは「何で休んでるか(レスが遅いか)分からない」ことほど、同僚にモヤッと感を与えるものはないので、カレンダーやslackのステータス更新は必須だ。

ママだから大変感を出したいわけじゃなくても、育児してれば“大変そう感”を完全に消すことは結構難しい。

ママでも、ママじゃなくても

色々書いたけども要は自分の気持ちの問題と、あとは「ママでも金」を取ることが全てだと思う。(ヤワラちゃんとayuはすごいよほんと…)

おそらく「ママ/パパ」であることで周囲に遠慮されたくなくて、意識的に子供の話題を抑えている人も多いと思う。アカウントを分けたりするのも、一つのブランディング。

私は「ママ」である自分や、そんな自分が体験したエピソードを伝えることは大事にしたい。
けど、マミートラック(※)に乗らないと決めた以上、世間に甘えてはいかんのだ…!とも思う。そう思える、余裕が出てきた。

※マミートラック…復職後時短勤務など育児優先になる女性が、本人の意思とは関係なく乗ってしまうキャリアコースのこと。補助的な業務で仕事と子育ての両立はできるものの、プロジェクトの中心を担ったり、責任ある業務は任されにくくなり、時短勤務が明けた後も昇格・昇給は難しくなる。

「ママなのにすごい!」と言われた時に、卑屈にならず、相手がくれた褒め言葉をそのまま受け止められる自分になるために、真摯に仕事に取り組もうと思うのでした。

おわり

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