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海外在住相続問題(5) 調停空転

こんばんは。

海外永住者の争族問題の実体験を書いています。今回はちょっと長いですが、進行中の調停についてです。


Intro

調停とは調停委員が仲介して揉め事を解決をするものです。アメリカにもメディエーション(mediation)という似た制度があります。

相続の調停は正式には遺産分割調停と言います。名前の通り遺産を分割する調停です。分割で揉めたり、協議を拒否する相続人がいる場合に調停をします。調停は当事者のうち一人が申し立てます。

海外在住者でも調停を申し立てできます。また海外在住者は調停の出席がむずかしいので代理の弁護士のみの出席でかまいません。わざわざ日本に帰ることなく調停できるのです。

私は海外永住者ですが、日本在住の妹が分割協議に応じないので調停を申し立てました。調停は弁護士さんに任せて出席してもらい、毎回報告を受け取っています。

調停一回目 - 空転

調停ではまず相続人と遺産の範囲を確認します。

私の場合、遺産範囲でまず問題なのが、妹がちょっとしたマンションが買えるぐらい親の預金を引き出していた事です。

妹による直前引き出しの顛末はこちらです。

妹はさらに多額の立替金の支払いも要求しています。

遺産範囲の確認のためにはこれらの正確な額と裏付け資料が必要です。ところが妹は親の通帳などを隠してしまい、裏付け資料も来週には渡すなどと言い続けて何ヶ月も何も出して来ませんでした。

そして相続税申告の際に、親の資産情報は一切渡さない、そのために申告も個別にする。と弁護士を通して文書で通知してきました。

でも資産範囲が確定できないと相続がはじまりません。なので調停の前に親の通帳や立替金の資料を提出するよう要求しました。

私の弁護士さんによると、相手方も弁護士を立てている場合、調停の前に自らなんらかの資料を提供してくるのがふつうだそうです。

ところが妹側は無視。返事さえ送って来ませんでした。

なので調停一回目は相手方への資料の要求を繰り返すだけで終わってしまいました。

なお調停員によると妹は「分割協議をしたくなかった訳じゃない」とトンチンカンな主張をしていたそうです。

資料提出は拒否して主張書提出?

調停員の指示で妹は二回目期日の前に裏付け資料を送ってくることになりました。

ところが期限になっても資料を送って来ません。代わりに主張書なる書面を送ってきました。

妹の主張その一

妹が資料提出をブッチして送ってきた主張書の内容は3つありました。

一つ目は私が作成した財産目録の内容が間違っているというものでした。

妹は、正しい金額はこれこれだ訂正しとけ、と主張していますが、金額を並べただけで、なんの裏付けもありません。

いやいや、お前が親の金を引き出しまくったあげく通帳や遺産情報を隠すから正確にわからんのじゃとっとと資料出せこのボケ(意訳)と言う文書が弁護士さんから妹に送られているのですが。あくまで隠し通すつもりのようです。

妹の主張その二

二つ目は立替金です。

妹は多額の立替金をでっちあげて自分の取り分を増やそうとしていました。詳しい話はこちらです。

自分のカードで払うと運気がいいから立替てた、などと常識では考えられない嘘まで言い張っていた妹ですが、さすがに調停では通じないと思ったのか、ちょっとしたマンションが買える額の架空立替金は諦めたようでした。

ところがその代わり新しい立替金がある、と主張してきました。これもただ金額を並べただけです。領収書も何もありません。

妹の主張その三

そして三つ目ですが、妹は親の不動産の処分方法を細かく主張してきました。処分する時期まで指定してきています。

妹は遺産範囲を決めるための資料提出を拒否し、なんの協議もできない状況です。なのにそんなの無視で不動産の処分方法に話が飛んでいるのです。

不動産執着の怪

実は妹は不動産処分方法へ異様に執着していて、これが私が弁護士を立てた理由の一つでした。

親の持っていた不動産は実家とマンション二軒でした。

実家は築60年近い古い家です。賃貸マンション二軒はこれまた古く小さなもので家賃収入は大した額ではありません。価値も半減しています。

なのに妹はこのマンション二軒の処分に異様なほどこだわっているのです。

そもそも妹は親が亡くなると相続登記も何も無視してすぐにマンションを売ろうとしていました。処分するためにマンションを妹名義にしろ、としつこく言い張り分割協議が先だと言っても聞き入れないのです。

高額な不動産なら執着するのはまだわかります。(それでも十分変ですが)でも古ぼけた小さな中古マンション二軒です。他のもっと高い額の資産は無視。売却した額をどう分割するかも無視。とにかく今すぐ自分名義にして売らせろ、なのです。

もちろん私はそんな事に合意しません。すると妹は「自分に一任したとみなすぞ」と繰り返し言ってくるようになりました。

このゴリ押しぶりは不気味でした。書類を偽造して登記変更をするぐらいはやりかねない、と危惧するレベルです。なぜこれほど異様に執着するのかさっぱりわからず、これが私が弁護士を依頼した理由の一つでした。

この妹のマンション処分への執着ぶりは弁護士を立てたらぱたっと止まっていたのですが、調停でまた出現したのでした。

調停二回目 - 再空転

そして二回目の調停が開かれました。

妹は主張書を送ればそれで済むと思っていたようです。しかし当然ながら要求された資料を出さないのでまたしても全く何の進展もありません。

さすがに私の弁護士も調停員に抗議しました。法的な場で求められる裏付け資料を出さずに主張を続ける妹に調停員も呆れていたようです。

妹は三回目の調停の前に今度こそ裏付け資料を出すことになりました。

なお、妹が新たに主張してきた立替金ですが、裏付けのある正当な立替金以外は拒否すると伝えました。すると妹は怒って「それなら他の立替金を追加する」と言っていたそうです。

正当な立替金なら最初から主張するはずですし、調停員もまともに取り合ってないようでしたが。

Too Much Credit

ところで私は妹が資料を出さないのは、調停を空転させて引き延ばす戦略だと思っていました。

もちろんそんなことをして妹になんの得があるかはわかりません。
でもわからないだけにそこにはいかにも狡猾な謀略がありそうじゃないですか。

というか、絶対あるに決まってますよね。

ところがですよ、妹が調停でまた不動産処分にこだわってきたのを見て考えが変わりました。

不動産が処分できるのは調停が終わり相続手続してからです。空転が続く今の状況ではいつになるか見通しもつきません。

妹は不動産の処分にこだわり、処分する時期まで主張しているのに、自分で調停を空転させて処分をできなくしているのです。

どう見てもまともな考えがあってやってるとは思えません。

深い謀略があるかと思っていましたが、実は全く何も考えていなかった可能性がここで急浮上してきました。

どうやら私は妹を買いかぶっていたようです。

ちなみに妹を買いかぶっていたというのは英語で I gave my sister too much credit と言います。

まとめ

正直なところ相手が良識のある人間ならここまで揉めないと思いますが、残念ながら私の場合は相手が悪すぎるようです。親の遺産情報をひた隠しにされたりなど、おそらく海外在住者の相続では最悪のシナリオではないでしょうか。

でも私は自分が海外在住なのをいい事に相続で嘘をつかれ隠し事をされ権利を踏みにじられるのを良しとしません。

相手のこれまでの行動を考えると弁護士を立てずに相続をするのは無理だったと思いますし、調停になるのは避けられなかったと思います。

幸い相続調停は私のような海外在住者でも申し立てできます。日本の相続法は柔軟で、海外在住者や外国籍だからといって調停で不利になることはありません。日本の相続人と揉めても海外在住だからとあきらめる必要はないです。

また日本に行く必要もありません。私は弁護士さんに代理出席してもらって日本に行かずに調停をしています。

ただ調停自体は速く進むものではないです。私の場合のように相手が出すべき資料を出さなかったり訳のわからない主張をしだすとすぐに何ヶ月も遅れて長引きます。それなりの覚悟は必要です。

さて、かたくなに裏付け資料を出さない妹ですが、次回の調停ではついに裏付け資料が出てくるでしょうか。

ではまた。
おやすみなさい。

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