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海外在住相続問題(3) 立替金抗争

こんばんは。

海外在住者が直面する争族問題について海外永住の経験から書いています。


Intro

私の相続では妹の多額の立替金請求がありました。

家族の間のちょっとした貸し借りって当事者じゃないと知らない事が多いですよね。私みたいに海外在住者だとなおさらです。

そもそも日常の貸し借りや立て替えは家族同士で勝手にやってればいい話で、私には関係無いと思っていました。海外在住でなくてもふつうはそうですよね。

ただ相続には立替金を債務として扱う制度があり、立替金があれば親の遺産から精算できるようなっています。

私の場合も親が亡くなり日本在住の妹がこの制度による立替金の払い戻しを要求してきました。

立替金とは

立替金は債務、つまり借金なので相続財産から引かれます。遺産分割の対象にならず相続税もかかりません。

立替金の要件は、立て替えの事実と誰が払ったか確認できれば良いとなっています。領収書や記録があればいいのです。当たり前だけど。

でも相続の立替金ってけっこういいかげんで、相続人同士で合意すれば別に裏付けがなくてもいいのです。相続人全員でしめしあわせれば架空の立替金を計上することもできちゃいます。

妹が私に要求してきたのはこの架空立替金でした。

架空立替金

親が亡くなった際、ちょっとした立て替えはあるだろうと思っていました。

ところが妹が要求してきたのはちょっとした立替金ではなく、ちょっとしたマンションが買える立替金でした

ありえない金額で、しかもほとんどが実態の無い立替金です。

例えば両親が負担して申請した高額療養費(自己負担額を超えて払い戻される金額)を妹が過去何年も全額立て替えたことになっています。義弟が単身赴任の際に親に使ってくれと置いていった車のリース代も数年分もあります。

その他延々と、手当たり次第立替金として計上していました。裏付け資料はもちろん一切ありません。

妹は節税になるから、と実態が無いのをしきりに正当化してましたが、要は私の相続分から立替金という名目で金を渡せ、その脱税に加担しろ、ということでした。

もちろんそんなのまっぴらごめんです。
ちなみにまっぴらごめんだよは英語で Hell no! って言います。

確かに私の取り分が減れば私が払う税金も減るんですが、それって節税とは言わないですよね。あはは。と今では笑えますけど、その時は怒鳴りつけたいぐらい本当に腹が立ちました。

しかしこの時は妹による多額の直前引き出し金の事を聞き出し中でした。なのでぐっとこらえて当たりさわりの無いことをいって立替金の返事は引き延ばすことにしました。

それにしても直前引き出し金に続いてまた脱税させろかよ、とうんざりでした。ちなみに直前引き出し金の話はこちらです。

無いはずの立替金があった事に

私がいい返事をしないでいると妹は話を変えてきました。

次は「ほんとの事を言うと、自分は親の経済状況を知らなかったので金銭的に不安だろうと思ってなんでも立て替えていた」と言ってきたのです。

多額の立て替えは実はあったんだ、というふうに話が変わっています。

海外在住の私は状況を知らないはずだから、「知らなかっただろうけど実は…」と説明するふりをして押し切れると思っていたようです。

ところが私は親から経済状況を聞いて詳しく知っていました。もちろん妹も知っていて、私と妹で親の経済状況を話したことさえあります。

話と言っても競争心の強い妹が自分は親の経済状況をお前より把握している、と自慢して来たんですが。妹は忘れてたようです。

それを指摘して、そもそも相続税が発生するほど資産がある両親にこんなに立て替えをする事自体ありえない。と伝えました。

運気向上立替金?

すると妹はまた話を変えます。

次は「自分のカードで払うと運気がいいから親の経費はなんでも自分のカードで払ったんだ」と言いだしました。

実は妹は運気だの風水だのにハマっていて親にも当然のように押し付けていました。実家で何かが風水の通りで無いと怒って親に声を荒げていることもよくあり、一時帰国して居合わせた私がいい加減にしろと止めたこともあります。

ちなみに親は運気なんて信じていませんでした。特に父親は私と同じで興味も全く無く、運気のために妹にカードで払わせるなんてありえません。もちろん妹は払ったと主張するだけでカードの明細も一切見せようとしません。バカらしくて相手にもしませんでした。

ただ妹があまりにも「運気向上カード立替は当然!」と主張するので、もしや知らないうちに日本にはそういうおかしな習慣ができたの?とX(旧ツィッター)で念の為に聞いてみました。 

フォロワーさん達の反応は
「ポイントのためならまだしも、運気?なにそれ wwww 」でした。

日本がまともなままで本当によかったです。

父の日記

父は日記を書く人で、パソコンには引退してから過去20年分の日記がありました。

私は父が入院した時に日本に行ったのですが、その際にパソコンのデータを保全し日記類は全部目を通しました。妹が立替金を言い出す前から実際の状況を把握していたのです。

親と妹がお互いにお金の立替をする事はちょくちょくあったようですが、日常の立て替え金の範囲でした。それらはエクセルで記録をとってありました。

メール、日記、エクセルを合わせた何年もの記録を見ると、少額の貸し借りでも親は妹家族の迷惑にならないようにとすぐきちんと精算していました。

それはそうです。父はそういう人でしたから。

海外在住で見れなかった風景

妹はその後もあの手この手でなにがなんでも架空の多額立替金はあったと主張しつづけました。

最後はやぶれかぶれで親を甘やかしたらタカってきたんだ!と亡くなった親のせいにまでしてましたが、弁護士を通すようにしたらようやくパタリと止まりました。

私が父の日記に見たのは妹夫婦と孫を思いやる老いた親の姿でした。海外在住の私は直接見る事がなかった風景ですが、妹がなんと言おうが父は私の知る実直で几帳面な父でした。

そんな大切な思い出を踏みにじってまで手にしたいものって一体何でしょうね。

まとめ

海外在住で親の生活から遠く、相続の際に兄弟が多額の立替金を返してほしい、と証拠も無く言ってきたらどうすれば良いでしょう。

親本人に確かめる事はもうできません。親が立て替えさせたんだ、と言われたら自信を持って反論しにくいです。

私は父の日記があったから自信を持って対応できました。もし無かったら大変だったと思います。

今になって思いますが相続が視野に入ってきたら、親の日常と金銭の出入りは絶対に把握しておいた方が良いです。

また父のように日記を書く人は多く無いと思います。親が生きてるうちに兄弟との立替金の有無を確認しておくべきで、海外在住の人ならなおさらだと思います。

ではまた。

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