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ボードゲーム制作プロジェクトレポート#6:試作期編その1

福岡のアフタースクールび場で行っているボードゲーム制作プロジェクト、2021年からはいよいよ試作期に入っていきます。

これまでのボードゲーム制作プロジェクトについては、以下のnoteをご覧ください。

「試作期」となる今回からは、いよいよ子どもたちが自分たちでボードゲームを作っていくプロセスに入っていきます。3月の末に、大人たちに対して自分たちの作ったボードゲームをプレゼンし、「その後」を現実的なもの(印刷や販売など)にすることを目指します。

初回となる先日のワークショップでは、1つのボードゲームデザインの事例として拙作「バナナはおやつに入りますか?」のデザイン過程を子どもたちに紹介し、後半には実際にそのプロセスを基に制作に取り掛かりました。

今回のnoteでは前半と後半、それぞれの様子を紹介していきたいと思います。


1、ボードゲームデザインプロセスの紹介(講義)

本プロジェクトのワークショップではこれまで、「特定のボードゲームをプレイする」→「ボードゲームの構造を学ぶ」という方法で子どもたちのボードゲームに対する理解を深めてきたのですが、今回は講師の講義を聞く、という時間をはじめに持ってきました。

講義の内容は、「ボードゲームのデザインプロセス」についてです。恥ずかしながら、そんなに販売数が多いボードゲームをデザインしたわけではないのですが、それでも講師自身がボードゲームを作っていく過程を今一度振り返り、子どもたちへの資料として講義をさせてもらいました。

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ここで、どういう話をしたかということ(僕が考えるボードゲームデザインのプロセス)についてはまた改めて別のnoteで詳しくご紹介できればと思います。要点となるスライドを1枚載せます。

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子どもたちは、具体例(「バナナはおやつに入りますか?」がどうやって作られていったか)を興味深く聞いてくれて、その後のやや抽象度が高く、用語が多い話題についてもしっかりメモを取りながら聞いてくれていたようでした。

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講義の進め方については、これまで「模倣期」で子どもたちが経験したことが、スライドの内容と関連づけられるように、少しずつ具体例を挟むことに注意しました。

「カタンでは○○○」とか、「宝石の煌きでは△△△」のように共通の言語で理解できることは強いですね!「模倣期」の体験がしっかりあることで理解が進みやすいなという印象でした。

ざっくりと全体を話したところで、後半戦は子どもたちの個人作業に入っていきます。子どもたちの「ボードゲームを作る」ということに関する心持ち=モチベーションや、実際の進行具合にこの時点で少しバラツキがあったので、後半戦は「アイデアの抽出・発想」&「コンセプト定義」の段階を行うグループと、「ミニマムサイクル」&「プレイヤーの目標設定」の段階を行うグループの2つに分けて進行することとしました。


2、「ミニマムサイクル」&「プレイヤーの目標設定」を考えよう!

2グループになったため、僕は「ミニマムサイクル」&「プレイヤーの目標設定」を考える段階にある子どもたちについて、制作をサポートしていきました。この段階の子どもたちは、ある程度ボードゲームの中に詰め込みたいアイデアの種を持っていて、それを言語化できているような子どもたちです。

最初に、その「アイデアの種」を聞いていくことになったのですが、「これをしたい!」は熱意を持ってよく伝わってくる一方で、「誰に対して?」とか「そのアイデアでどういう体験をさせたいのか?」といういわゆるコンセプトがまだあまり考えられていませんでした

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そこで、子どもたちのはやる気持ちをいったんは落ち着かせつつ、「どんな人に遊んでもらいたいか?」を考えてもらうことにしました。

これはいわゆるターゲットとなるペルソナの設定だったりするわけで、ここでどれだけ詳細に考えれられているかどうかがゲームをアピールするときに重要になることが多いのですが、まあ何しろ自分たちの「やりたい!」というアイデアベースから始まった子どもたちのゲームです。まずは、身近な誰かを楽しませたいという気持ちを確認し、次に進んでもらいました。

ちなみに、写真の男の子が設定したプレイヤーは「気難しい子どもと大人」、そんな気難しい人たちでも自分のゲームを遊んで笑顔になってもらいたいっていうコンセプトです。良いですよね!

さて、コンセプトについて少しだけ考えてもらってからは、アイデアをより具体的にしていくお手伝いをしていきました。それは、ゲームの中でプレイヤーが体験することをデザインしていくことです。ゲームに参加したプレイヤーがまず何をし、その結果どうなって、最終的に何を達成するのか?それを具体的にすることこそが「ミニマムサイクル」を考え、「プレイヤーの目標」を設定することに他なりません。

1人ずつ、インタビュー形式で説明を聞き、まだ具体化されていないなという部分について指摘したり、違う視点から考えるヒントを伝えたりというようにコーチングのような形で進めていきます。

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カメラを前に、自分が考えたアイデアを嬉々として話してくれるので、とても微笑ましく、楽しんで作っていることが感じられてとても嬉しく思いました。もちろん、伝えたい内容が言葉になっていないことや、本人の中で固まり切れていないところ、要素が渋滞してしまっているところは指摘しつつ、子どもたちの情熱を冷まさないように注意しながら進めていきます。

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そんなこんなで大体の「ミニマムサイクル」&「プレイヤーの目標設定」ができた子どもには、それらを他の人に伝えるべく図示してもらい、そこまでが終わったところで手を動かして実際の「モノ」を作る作業に入ってもらいました。

いよいよ形になっていく瞬間ですね!

この後には「テストプレイ」という難関が控えるわけですが、まずは1歩。次回に向けて準備開始、というところで今回のワークショップを終えました。


3、アイデアの抽出・発想をしよう!

さて、もう1つのグループはどういうふうにワークショップが進んだのか、一緒にワークショップを進めていただいている山里さんに伺った子どもたちの様子と子どもたちの作業したシートをこのnoteの最後に載せておきたいと思います。

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もう1つのグループでは、山里さんのファシリテーションの元、子どもたちの「好き・楽しい」を基準にマインドマップを作成し、出てきたワードから面白そうな組み合わせを作っていくというワークをしました。

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子どもが実際にワークの中で書いていったマインドマップです。なんだかボードゲームになりそうな、面白そうなワードがたくさん出てきてますね!子どもたちの「好き・楽しい」が可視化されて、ボードゲームの題材、アイデアの種になっていく様子を、自分に分身がいたら見てみたかったなと思いました。


4、次回以降について

今回のワークショップを実施してみて、子どもたちのゲーム制作の進度に少しずつ差が出てきました。元々、ワークショップを作っていっている自分たち講師側も試行錯誤しながら進めている取組でもあります。

子どもたちに寄り添いながら、3月のゴールまで導いていくことができたらと思います。

次回は早いところではテストプレイができるかな?その前に「1人回し」もしましょう。

次回もワークショップの様子を報告しますので、ぜひお楽しみに!

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