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【ボドゲ製作者インタビュー】アニマルコレクティングのゲームデザインノート

こんにちは。
こちらのnoteは、先日twitterでパフューマリーなどのゲームデザインで知られる戸塚中央さんの企画、「 #ボドゲ製作者インタビュー 」の参加記事として書いています。

戸塚さんの元となるnoteはこちらからご覧ください!

戸塚さんが考えてくださった、インタビューの各質問があるので、それに応えつつ、拙作「アニマルコレクティング」のゲームデザインに関して書いていければと思います。

ゲームデザイナーについて

Q1. デザイナー名、サークル名を教えてください
ザイツコウスケ、サイコロ塾です。
「サイコロ塾」は、ゲームを制作するサークルとしての名前でもあり、子どもたちにボードゲームを使った学びを提供する活動の屋号としての名前でもあります。
「サイコロ塾」をsaikorojukuと普通に書いたり、psycho(心理)+logic(論理)と書けたり、3156109と語呂合わせで書けたりすることが気に入っています。
ロゴは最近ちょっと字体を変えたりしてみました。

サイコロ塾ロゴ2_2021



Q2. ボードゲームにはまったきっかけとなるゲームはなんですか?
人狼です。
大学の授業で「人狼」を使ったときに良いなと思ったことがきっかけです。


Q3. 好きなボードゲームやジャンルを教えてください
好きなジャンルは、競りゲームです。ハグルも好きです。
綺麗な、まとまったルールからプレイによって多様な展開が生まれるようなゲーム、プレイヤーが創造性を発揮できる余地が大きいゲームが好きです。


Q4. 所持ボードゲーム数はどれくらいですか
100個前後くらいです。


Q5. ボードゲーム製作を始めたきっかけを教えてください
「面白い!」と思うメカニクス(前作バナナはおやつに入りますか?)を思いついたことです。
いろいろな研修やワークショップで、ゲームを使ったアクティビティを考える機会があったので、ハグルを作ったり、オリジナルゲームを作ったりしていたこともあります。


Q6. 普段はどのような環境で製作してますか
これといって特徴のあるような環境ではないです・・・
アイデアは散歩やシャワー浴びてる時とか、電車に乗ってるときに降ってくることが多いですが、制作自体は普通に机の上で紙と鉛筆を広げて考えてます。


Q7. 製作に関して、ポリシーやこだわりがあれば教えてください
「新しさ」「納得感」「違和感」「驚き」「発見」みたいな、プレイする人にとってフックになるような体験ができるように、プレイしてみて初めてそういうことが起こるように、デザインしようとしています。


アニマルコレクティングについて

Q8. アニマルコレクティングのルールやテーマを簡単に教えてください

アニマルコレクティング_ボドゲフリペ_2

アニマルコレクティングは、トランプゲームの「オーサー」を元にしたセットコレクション・推理のゲームです。
6種類の動物(+ネコ)が1種類につき4色のシルエットで描かれたカードを用います。
プレイヤーは、他のプレイヤーに「動物」か「色」を尋ねて手元に同じ種類の動物カード4枚を集めてセットにしていくことを目指します。
基本的には、たくさんの動物のセットを作った人が勝ちになりますが、ゲーム開始時に中央に伏せて置いた1枚のカードの「動物」を推理して当てることで、一発逆転勝利!をすることもできます。

簡単に概要のわかる動画を制作していますので、ぜひご覧ください!

ゲームマーケット2021秋のページに詳しいルールを書きましたので、こちらもぜひご覧ください。

Q9. どのようなプレイヤー(年齢、趣味、好きなゲームジャンル等)に遊んでもらいたいですか
職業柄子どもたちに遊んでもらいたいという気持ちはあるのですが、実際にはじっくりと推理を楽しめるプレイヤーに遊んで楽しんでもらいたいと思います。
ゲームには、「ブラフ」の要素も入っています。よーく、他のプレイヤー同士のやりとりを観察していれば、どこでブラフが使われていたかがわかるようになっていますので、やり込むほどに少しずつコツが掴めるようなゲームです。
小箱なので持ち歩いてもらって、ちょっとした時間の嗜みとしてサッと出して遊んでもらいたいです。


Q10. 今回のゲームを製作するきっかけは何でしたか
アニマルコレクティングはもともと「オーサー」「カルテット」といったトランプゲームを元にしています。
実は、大学の講義の中で学生たちに「記憶」の仕組みを教える授業中に「カルテット」をしてもらったことがきっかけです。(もう7、8年前のことかな?)
トランプは4スート、13ランクですが、講義の中ではゲームの開始時に1枚をうらむきに抜き出してプレイするといったアレンジを加えていました。
元となる「オーサー」「カルテット」は微妙にルールが異なるのですが、講義の中では今にして思えばカルテットのルールを採用していたと思います。
元の2つのトランプゲームは適度に記憶も使うし、推理ゲームとしても完成度が高いのですが、「3枚集めた人が失敗した場合、次の人の番で狙い撃ちされて4枚セットを簡単に集められてしまう」ことや、「勝敗が途中でほぼ決してしまうこと」などがゲームとしては改善の余地があるのではないかなと思ったので、それを面白く解決したいというところから制作がスタートしています。

Q11. システム・ルール制作において、苦労した点や工夫した点はありますか
繰り返しになりますが、元となるゲームがあるところからスタートしていますので、いかに元となるゲームと差別化することができるか?が1番にして最大の課題と思っていました。
最初に思いついたのは、「トランプ」と同じスート・ランクの構成と差異をつけることでした。現在のアニマルコレクティングでは、カードには動物・色という2つの属性がありますが、動物・色は1対1で対応していません。

スクリーンショット 2021-10-22 10.54.23

このカードセットはなかなか他のゲームではないかもしれません。
初めは12種、9色など考えていたのですが、人間の頭がそこまでの情報の多さに耐えられない(今の状態も十分負荷が大きいのですが)ということをテストプレイで指摘されまくったので、(途中9種6色などを経て、)今の構成になりました。このカードセットのおかげで、なんとか覚えられるか覚えられないかという良い塩梅で記憶が混線したり、どっか行っちゃったりするようになっています。

次に工夫したのは、「3枚集めた人が失敗した場合、次の人の番で狙い撃ちされて4枚セットを簡単に集められてしまう」ということに対するものです。これには、「動物を尋ねたら、次は色を尋ねる」というルールを課すことで対応しました。「あの人がライオンを固めて持っている」ということがわかっても、それを即座に実行することができないようにしました。これにより「動物」を集めているのですが、一度は「色」を経由することになり、ゲーム中多くのプレイヤーが「なるほどねー」と漏らすことになります。この辺、独特な体験なのでぜひプレイして感じてみてもらいたいですね。(ゲーム中忘れやすいルールなので、下のような質問カードを追加で入れることにしました。全カードの一覧としても使えます。)

図1

最後に、「勝敗が途中でほぼ決してしまうこと」に対応したいと思っていましたが、これは実は早くからセットを集める以外の勝利条件「推理によって中央の動物を当てる」を設定することを決めていて、これに合わせるように「ネコカード」を使うことも決めていたのですが、その扱いについてはなかなかに苦労しました。

図1

実は「ジョーカー的な役割のカードを加えて、引き抜いた1枚のカードを当てさせる」というコンセプトは、ゲームデザインの初期の初期から思いついていたのですが、ジョーカー(ネコカード)をどう扱うかについては、何度もテストプレイを重ねて現在の形に落ち着いたという経緯があります。

初めは、「どんな条件でもウソをついて良い」という仕様でした。ただし、ネコカードを持っていると、中央の動物カードを当てるというアクションができないという制限を設けて、「カードを集める時にはネコカードを所持していた方が有利」だけれど、「中央のカードを当てようと思うと邪魔」というジレンマを生ませるための存在でした。

ただ、最初の仕様ですとあまりにも他プレイヤーの推理のノイズになる情報が溢れてしまっていました。テストプレイ中に、現在のネコカードの効果の提案をいただいて、現在の「限定的な状況(質問対象のカードを持っている場合)において、ウソ(ブラフ)をつくことができる」というようになりました。これにより、思わぬ副産物もありまして、例えばAさんに何かしらのカードがあるかどうか聞いた場合に「持っていません」という答えが引き出せた場合、「Aさんは絶対にネコカードを所持していない」という情報が得られるようになったということです。

なんとなく全プレイヤーの「推理」に対する情報が引き締まったような気がして、テストプレイをしてくださった方々に感謝です!

Q12. 今回のテーマを選んだ理由はなんですか。苦労した点はありますか
前の質問に対しての回答が長くなってしまったので、サラッと。
テーマは動物が12種のときは干支でした。その時もイレギュラーな存在として「ネコ」を入れるつもりでした。(ネコの出てくるゲームは一定需要がありますしね)
最終的に1つ目のカードの属性が6種にまで減ったので、干支にこだわる必要がなくなったので、テーマを「動物園から動物が逃げてしまったので、飼育員になってそれを集める」というように変更しました。ここでも「ネコ」の扱いをどうするかは一考あったのですが、そこまで苦労してないです。
ちなみに開発時のアニマルコレクティングの開発名は「あつめろ!動物の檻」でした。周囲に全力で止められたので、すごく無難な名称になりました。ぜひ、「あつおり!」・・・ではなく「アニコレ」と略してお呼びください。

Q13.イラスト・アートワークにおいて苦労した点やこだわりはありますか
僕は自分でグラフィックを描くことはできませんので、カードに商用フリーのシルエットを使うことは早くから決めていました。とはいえ、箱絵は、ゲームの顔でもあるので、友人であるみすゞさん(https://twitter.com/mi_ko)にカードのUIも含めてお願いしました。

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側面なので、ちょっと見にくいのですが、PTA(人数、時間、年齢)アイコンに職人気質を感じます!素敵。

また、説明書のDTPや箱裏の構成、販促用の動画などは奥さんにたくさんの力を貸してもらっています。手前味噌ですが、すごく良い動画、画像なので奥さんを褒めてください。

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Q14. アニマルコレクティングはどのようにすれば手に入れることが出来ますか

ゲームマーケット2021秋にて、頒布予定です。
11月20日(土)のみの出展です。

ブースは「オ11 サイコロ塾/ボドゲラジオ研究会」です!
ボドゲラジオ研究会さん(https://note.com/bodogepodcast)と共同出展になります。こちらは、ボードゲームのポッドキャストやラジオのパーソナリティの方にインタビューした内容など、要注目の記事が目白押しの同人誌になります。楽しみです。

大事なことなので、もう一度。

11月20日(土)「オ11 サイコロ塾/ボドゲラジオ研究会」です!

現在、以下のサイトで事前購入、当日お渡しの受付をしています。

また、当日の取り置き予約のフォームもありますので、ぜひ気になった方は予約してお越しください!

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdgOj_ED5QsYheXddVgry07xq68B2oEZg3IEq6Oov5JBWpROw/viewform


Q15. 最後に改めてアニマルコレクティングの魅力・強みを教えてください

アニマルコレクティングは、「論理的思考」+「記憶」+「ブラフ」を楽しむことができるゲームです!

どれか1つでもピンと来たという人はぜひ手に取ってください。小箱なので持ち運びがしやすく、小箱とはいえ本格的に推理を楽しめるゲームです。

先日のゲムマ出展者による事前試遊会では、制作者の方々に色々な感想をいただきました!

ゲームマーケット来場者の方限定で、アニマルコレクティングの別ルール(SideB)を配布予定です。ぜひぜひ会場に来て、そして買っていってください!

購入者特典


最後まで読んでくださりありがとうございました。
また、このようにまとまった記事を書くことができたのは、企画を考えていただいた戸塚さんのおかげです。末筆になりますが感謝いたします!

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