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誤読のフランク 第25回 テレビ矢印銀行工場、そして69

Television studio - Burbank, California

ロバートフランクを手引きした(サポートした)人たちはどういう繋がりだったんだろ? たぶん1人じゃない。
例えば、当時カメラマンがどういう社会的な認識で捕らえられてるかよく分からないけど、ちょっとテレビの現場見せて、あ、あ、いいよ、って入って行けるものなんだろうか?
もしくは何度も出てくる民主党大会の会場にするりとはいってて、ゲッティンハイムの奨学金がどの程度のものなのか分からないけど、ホント色んな所に出入りしてていろいろ考えさせられる。今度はテレビ収録(中?)のスタジオ。なんのテレビだろうか。

しばらく調べてたけど出てこない。仕方がない。そのうちに何かしら出てくるだろうか。
この写真、フレームインフレーム。構図の面白さ、空間配置の妙。前のページのセットみたいなディスプレー(まだ映画のセットの線を疑ってる)。首のない人形から首だけのボックスへ。メディア。権力。シークエンスのつながりはわかる。吊るされた変わった装飾が前のページの吊るされた写真とつながり、台形の装飾が次の→へとつながる。
うーん、なんかそれでも、しっくりこない。うーん。
諦めて次へいく。

Los Angelos

あ。うそ。。。。まさか。次ぎに行く。

Bank - Houston, Texas
うん。うん。

Factory - Detroit

そうだな。
仮説です。誤読です。でも今気がついて、まさか!って思ったことがあって、それを書きます。
この4枚。あとその前の「Store window - Washington, DC」も入れて5枚の写真。ひとつのシークエンスで、こんな遊びをやってるなんてと思う。手元に写真集がある人はよくみてください。めくり直してみて。

最初のStore window - Washington, DC。
斜めの対角線ラインのアイゼンハワーの顔。視線はその対角線上の写真に行きます。そこからページをめくった Television studio - Burbank, California 。モニターテレビと照明と人の影の三角形の中に吊るされた正方形(斜めから撮影しているので台形に見える)が、女性の顔に向かっての矢印のようになってるのが見える。アイゼンハワーの顔から、矢印で女性の顔へ視線が動く(言ってることわかるかな? 分からなかったら写真集を何度もめくって確認してみて)。そして、その顔からテレビへ視線が動く。
Los Angelos はモロ矢印のとおり、女性の顔からテレビへの視線の動きを、反復していて、その矢印から人、人の影から Bank - Houston, Texasの手前の机の黒い部分に続き、そこから電話をかけてる人への下から上の視線の動き。Factory - Detroit は上から下へ垂直へ落ちてくる視線の動きを誘導している。
思わず、上上下下左右BAと押してしまいそうになったよ。

これって写真集のページがまるでレイヤー構造のように視線の動きをコントロールしている。まさか、いや、そうに違いない。きっとそうだ。と小躍りした午前2時。おまけにそれぞれの写真に多くのイメージを持たせずあっという間に通り過ぎる。Chinese cemetery までの重々しさからPolitical rally の目へ行き、「見ること見られることが問題定義されてないかな?」って書いたんだけど、自分ですっかり忘れてた。そうだ。見ることなのだ。視線の動きがこの4枚の写真で提示されてるのだ。

そうだそうだ。この写真集を読んでみようかな、なんて思った動機のひとつが、この部分以降の写真が、ちょっとよくわからなかったんだけど、なんかとっかかりをみつけた気がする。なんでこんなところにあるんだ?みたいな。おまけ? 消化試合? みたいな印象があって、今回も二日三日スタジオの写真でどうしたものかと思考が混乱してた。

というのも前のシークエンスまでの重たさから一転、それぞれに意味のないただの写真がここにあるように見えるからだ。
このデトロイト工場の黒人は、ちょっと前に出てきた同じデトロイトの工場内部の写真とつながっているが、この対比には意味がない。

このアメリカンズは、アメリカ人が見てる光景を描いて行ったという仮説を書いたけど、そこからだんだん重たい現実の力に押しつぶされそうな感じで進み、そして、アメリカンズの目の写真で、一転した。ただの写真、それはロバートフランクが見たままのアメリカの姿、意味を持たない意味の重さに囚われない視覚の楽しみとしての写真が並ぶ。
だってこのシークエンスの最後。

Department store - Lincoln, Nebraska

この写真、重なり合った安っぽい十字架がシックスナインしてる。ここにきて死や神自体を相対化しているように思える。

右下の箱は墓を飾るリースだろうか。お墓に置くための花輪だろうか。
なにはともあれ、この十字架は今まで出てきた十字架とは意味が違うと思う。Remember your Loved Onesって書いてるから大切な家族のための墓石? でも69セントだよな。むしろ単なる装飾品の目的のための、プラスチックの十字架みたいに見える。
そのチープさは聖フランシス(ファーザーセラ)が手にした十字架とは違う。どうみても安っぽい。

69セントって今(2018年)だとどのくらい?って思って間違って日本語で検索したら1955年って1ドル360円の変動為替以前の時代で、1ドル1000円ぐらいした!って計算になって、そりゃ違う違う。ちゃんとドル対ドルで計算しなきゃって、探したら、あった。合ってるかどうか、よくわからないサイトだけど。
Inflation Calculator The Changing Value of a Dollar
https://www.dollartimes.com/inflation/
というところで計算してみた。

Amount=0.69ドル / From:1955(とりあえず)/ To:2018
だと $6.37 
Adjusted for inflation, $0.69 in 1955 is equal to $6.37 in 2018.
Annual inflation over this period was 3.59%.

やっすー。安い愛の記憶。酔って目覚めたラブホで貰ってきたライターみたいな十字架。お互い誰だっけ? ってベッドの上で顔を見合わせ、せっかくだからとりあえず、もいっかいやっとく? みたいなのって、お酒飲めないから僕には残念ながら経験ないけど、やっぱやった後の一服っていいよな〜と2人並んで床に座って「おはようモーニング」とかみてんの。ビールで湿気ったライターの代わりにポケットに入れて、その子の名前も思い出せないのに、ホテルの「ブルーシャトー」って古くさい書体だけいつまでの記憶に残ってる。そんな十字架。
もしこんな十字架を親の墓に置いたら、逆に忘れられないよね。ばかばかしくて安っぽくて。って書いてたら、ペットのお墓なのかな? って考えもあるか。とはいえね〜。

少し戻って考えてみる。
首のない(首だけの)政治家(人形は動かない)。椅子に座った女性。動くけど首だけテレビの中(フレームインフレーム)。首のない工場地帯と見える通りを通る人影。(頭をうつむき加減に歩いてるだけのようにも見える)
お金持ちの銀行家(椅子はバラバラ=椅子4人1人)と貧しい労働者(全部で5人)。上にのぼる構図、下に落ちる構図。
十字架だらけのイメージは時としてダークで陰惨なイメージを生む。
もしかしてロバートフランクはこの十字架に陰惨な歴史を思い出したのかもしれない。でも6ドル37セントの安売りされた思い出は僕らの陰惨なイメージを打ち消す役割を、皮肉にも持ってしまう。それは写真のある意味健全な役目なのかもしれないのだ。

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