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『ポジショナル・プレー』というコンセプトを

最近はもっぱらサッカー関連の記事や雑誌を読み漁るのが楽しみな私。

気になるキーワードが出てくれば調べて、それをバレーボールに置き換えて考えてみる。こうした一連の流れが、これまでのバレーボールの見方にパラダイムシフトをおこしてくれている。いわば私にとっては革命とも言っても過言ではないかもしれない。

さて、そんな革命の真っ只中にいる私にとってまたもや刺激的なキーワードが出てきた。

それは『ポジショナル・プレー』である。

『ポジショナル・プレー』とは

バレーボール界で『ポジショナル ・プレー』という言葉を聞いたことがあるだろうか(いや、ないだろう。ぼくはこれまでなかった)。

様々な定義や解釈があるが平易な表現をしているのを見つけたので紹介する。

ピッチ上のどこにボールがあるかを踏まえて、選手たちが正しいポジショニングをしていこうとする考え方。

by ペップ・グアルディオラ(スペイン王国出身の元サッカー選手。サッカー指導者)

この定義であれば、バレーボールをする人にはイメージしやすいだろうと思う。ピッチは「コート」に置き換えていただければ幸いである。

『ポジショナル・プレー』における3つの優位性

さて、ここからポジショナル・プレーについてもう少し踏み込んでいきたい。ポジショナル・プレーの定義はしてみたが、その目的をずばり一言で言うならば、「相手チームに対する優位性を保持した上でプレーをすること」である。

そして、その優位性は3軸から成り立っている。ここからは、サッカーでの考え方をバレーボールに完全に当てはめることは難しいという前提に立った上で、バレーボールに当てはめて考えていきたいと思う。

▶︎量的優位性(数的優位性)
相手チームに対して数的優位を創り出すためのポジションをとること。

例:セッター以外の5名が攻撃に参加することで、ブロッカー3枚に対して数的優位が生まれる

▶︎質的優位性
マッチアップする相手(個人)に対して能力的に優位であること。

例:アタッカーとブロッカーがマッチアップ(1vs1)する際に、ブロッカーの身長が相対的に高く、かつ、アタッカーのモーションを見てコースを予測するスキルが高いといったケースにおいて優位は生まれる

▶︎位置的優位性
相手チームの嫌がるポジションをとることによって優位性を生み出すこと。
例:クロススパイクの得意なアタッカーに対して、クロスコースをブロッカーが完全に防ぐことで、相手の得意な攻撃を防ぐことができる

分かりやすい例を考えると、アタッカーとブロッカーという関係性のものばかりになってしまったが、これ以外の関係性においてもポジショナル・プレーは成立するだろう。

ネットの向こう側の相手との関係性を意識する

バレーボールはネット型スポーツ。

それ故なのか(?)、特に小学生の育成カテゴリーなどの下位カテゴリーでは、ネットの向こう側にいる相手チームとの関係性の中で、どうやってチームとしてポジショニングするのかということを考え、プレーすることが軽視されているように感じる(パターンを覚え込ませて動いているようなチームは一定数存在していると思うが)。

そして、相手チームとの関係性を意識することなく、自チームで直接的にコントロールできること、つまり『オン・ザ・ボール』にほとんどの意識を向けているような印象を受ける。

『オン・ザ・ボール』にばかり意識が向いていては、ボール・コントロールがまだ未熟なカテゴリーにおいては勝てたとしても、上位カテゴリーになっていくにつれ(ボール・コントロール能力が成熟していくにつれ)勝てなくなっていくだろう。

『オフ・ザ・ボール』への意識を高めよう

先にも書いたが、日本の育成現場において『オン・ザ・ボール』に対する意識の高さは目を見張るものがあると思う。ボール・コントロール能力(オン・ザ・ボール)については育成カテゴリーだと世界トップレベルといえるのではないだろうか。

『オン・ザ・ボール』のミスに対してコーチング(お叱り?)する場面にはよく出会う。しかし『オフ・ザ・ボール』、即ちポジショナル・プレーのミスに対するコーチングの場面に出会うことはあるだろうか(いやたぶん、かなり少ない)。

ブロッカーのポジショニングを見て、アタックコースを読んで、完璧なディグ・ポジショニングをし、最後に残念ながらディグを弾いてしまったプレーヤーに対してコーチはむやみに怒ってはいけない。

「最高のポジショニングだったねっ!最高だよ!あとは、ボールコントロールだけだね。」

こんなコーチングができるといいなと思う。

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。