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ゲームで学び、ゲームを学ぶ(2)-ゲーム・ラリーの構造-

「バレーボールの戦術アプローチ」ゲーム・ラリーの構造

(1)ラリーの中断(課題)

バレーボール・ゲームは5セットマッチ(3セット先取)です。セットは25点マッチ(デュースあり)です。得点は、ラリーにおいて(基本的には)相手コートにボールを「落とす」ことで達成します。つまり、バレーボール・ゲームにおける「ゲームの課題」(目的)は、ボールを相手コートに落とすことによる「ラリーの中断」であることを意味しています(鈴木,2004)。したがって「バレーボール」の「戦術アプローチ」において「ラリーの中断」は欠かすことができないポイントです。

(2)ラリーの成立

次に「ラリーの中断」という「目的」を目指すために「ラリーの成立」が必要です。これは当たり前のことのようですが「ラリーの中断」を試みることができる程度の「ラリーの継続」が起こる工夫をしないといけません。そのためには、バレーボール・ラリーの特徴を捉える必要があります。

(3)ラリーの要素

「ゲームが最良の先生」になるためには、選手に適した「ラリー」をデザインする(教材を工夫する)必要があります。それは技能レベルに関わらないもので、そのエッセンスを工夫することで、初心者でもラリーが成立することを目指します。

① ネット
「ネット」があり、相手にボールを返球することで「ラリー」が成立します。つまり「戦術アプローチ」の最低限の成立状況は「ネット」です。「ネット」を隔てて、「攻防」する環境が整えば自然に「ラリーの中断」(目的)が保証されることになります。また、ある程度の「ラリーの継続」が起こるために「ネット」の「高さ」を工夫する必要があります。

② コート
ネット型スポーツにおいて「コート」という決められた範囲内に「ボール」を落とす・落とさないという本質的な部分は欠かせません。ボールがコートに対して「イン」もしくは「アウト」は得点方法の1つであり、それは「ラリーの中断」の1つです。また、ある程度の「ラリーの継続」が起こるために「コート」の「広さ」を工夫する必要があります。

③ ボール
 選手の体格・体力を考慮し、最低限の「ボール操作」(持つ・捕る・投げる・掴む・弾く等)ができる「大きさ」や「重さ」のボールを工夫する必要があります。初心者でも初日からボールを使ってゲームができるように工夫することが大切です。

④ プレーヤー
 「プレーヤー」の能力(判断力・体力)を考慮し、プレーヤーの数を工夫する必要があります。初心者の場合、プレーヤーの数は「少なく」して、たくさんプレーできる(ボールに触れることができる)ようにすることが大切です。また、プレーヤーの数が多くなると、誰がプレーするのか等、選択肢も増え、初心者にとって判断が難しくなることもある。

次回:ゲームで学び、ゲームを学ぶ(3)-「ゲームの構造」-に続く。

【参考文献】
・鈴木理(2004)ゲーム構造に依拠したバレーボール教材づくりのための基礎的研究,バレーボール研究,6,1

▶︎縄田亮太のプロフィール

バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。