1. 20歳の生誕の日が幸福であるように
《1》
私の息子、20歳の誕生日おめでとう。あなたの父は、あなたに向けて手紙を書いている。その理由は、通常の生活の中では、伝えるのが難しい事柄を話したいと思ったからだ。
飲み会のテーブルで私は、「若い頃にはこういうことがあったんだ」と語りかけるかもしれない。だが私がそのようなことをしたとき、おそらく翌朝、私は何も覚えていない。
私はそんな不誠実なやり方で人生の中核について話すことを好まない。
さて、状況を説明しよう。
特定の精液と特定の卵子が互いに固執する結果となった。あなたが生まれてくることになった。それは私を非常に喜ばせた。
同時に、私は人の親になることについて非常に不安を覚えた。あなたを適切に育てることができるのだろうか、と。
あなたが生まれる前に、私たち、マエダ家とヤマグチ家に起こった出来事を書き下ろしておく。あなたがもし、二十歳までこの世界に生き残ることができたのなら、この手紙を渡すつもりだ。
血のつながりについて話そうとしているわけではない。川原で拾った子どもであるとか、養子縁組としてやってきた子どもであるとか、そういう話ではない。心配しないように。
しかし、やや重たい話だと思う。死について他者がどのように考えているかを知ることは。
少なくとも、20歳の頃の私は、様々な人々の死と人生の観念をもっと知りたかった。それはそれである。が、私はあなたに伝えたい。
興味がなければ、この手紙を破って、バーベキューの火にくべる、新聞の代わりに使えばいい。長くなるかと思うが、あなたに読んでもらえるとうれしい。
以下、よろしく頼む。
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