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恋の形

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実る恋  実らない恋 交わる恋  交わらない恋 どの恋も正解はなくて どれも素晴らしい ちょっと人にやさしくできないとき 読んでもらいたいお話しまとめてみました
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#天然石

雨とコーヒーと彼

雨は結構好きで 太陽とは違うあの、空気が重たくなるような感覚が ふわふわしている私の足が、地に着くような気がして落ち着く 彼は雨が降ると泣いている そんな自分を嫌っている 私はいつも彼に言う その涙もいつか虹に変わる、と。 彼の涙はいつも美しい すーっと涙を流す まるで絵画のように 人を惹きつける何かがあった 彼は画家になるのが夢だ 夢がない私とは正反対の星に生まれたようだ 絵を描いている時は一言もしゃべらない すごい集中力で描き続ける とても力強くでも繊細で

優しい憂鬱

雨の日は泣きたくなる どんよりとした重たい雲が 幾重にも重なり 太陽は消えてしまったのかと思うくらい 暗く深く黒くしんどい そんな時いつも君は言う その涙もいつか虹に変わる 彼女と出会ってから 幾度と降る雨の日 今日も朝から雨で 僕の目にも雨が滴る 挽きたてのコーヒーは彼女のこだわり インディゴブルーのマグカップに注ぐ 雨の日は湿度でより濃い香りが部屋中を駆け巡り 雨に滴る僕を魅了する さっきまでしとしと降っていた雨は ザーザーと音を立てて泣く 僕と一緒だ

一目ぼれモルガナイト

やってしまった。 1年のころからあこがれていた彼に初めて話しかけた言葉が 「さ、桜餅好きですか?」 人生最大にやらかしてしまった。 初めて彼を見かけたのは、入学式の日。 桜が優しい季節だった 式が終わり、私は大福やさんに行くからと母に言って 一人でゆっくり町並みを歩いていた そしてバス停の近くの桜並木に彼はいた 桜を眺める目がモルガナイトのように 淡く優しく光って見えた その瞬間、彼から目が離せなくなった あれから1年、桜舞い散る4月。 今日は金曜日、学校

桜餅モルガナイト

「さ、桜餅は好きですか?」 桜が舞い散るバス停。俺は突然の質問に笑ってしまった。 「桜餅?えっと、嫌いじゃないかな(笑)」 優しくあたたかい風に桜が舞い散る・・・ 俺はある時から不思議なことが起こるようになった それは優しい桜色の季節になると妖精が見えるんだ 本当にいるのかもしれないし 俺の想像かもしれない 桜の木の回りをキラキラと飛び回る 桜色のとても小さくて透明度の高い何かが あっちこっちと舞い踊っている あれは小学2年生の終わり頃 公園でみんなと遊んで

栞と赤い糸

みんなより1本早い電車 人が少ない朝の教室 放課後のあたたかな陽射しが入る図書室 塾の帰りによる小さな公園 僕はいつも本を読む 本の世界で会話をする もうすぐ冬も終わりを告げて 春らしいあたたかい日が続いていたけれど 今週は雨が続いていた 本が濡れるからあまり好きではない雨に少しイラついていた いつも通りの時間のいつもの席に座り本を読む 20分間のひと時を楽しむ 先ほどまで雨が降っていたのは嘘のように晴れ渡り 朝日が眩しかった 駅に着く 傘を忘れないように

風は桃色で吹く

私はピンクが好きです 桃のように柔らかくてあたたかなあの色が好きでいつも身に着けています ピンクのものがあれば集めたくなるし、ピンクの食べ物も大好きで 友達はピンクがあれば私に教えてくれるほどです 私は桃夏(とうか)18歳 来月からは大学生です 小さいころからピンクが好きで幼稚園は全身ピンクで登園していました 小さい頃はよかったのですが、小学生に入ると周りから全身ピンクで変な奴!! っていじめられていました ただピンクが好きなだけなのになんで嫌われるのかわかりませ

優しい風

ピンクが好きだという女子が嫌いだ。 俺は風和(ふうわ)21歳大学生。 アパレルでバイトをしている。 黒と白だけで構成されるダークなファッションが好きだ。 風和の母は40歳。友達のお母さんの中では若いほうでいつも派手だ。 ピンクが好きでなんでもピンクにしたがる。 父は45歳公務員で見た目も普通。母とは対照的な人だ。 俺はそんな父のDNAを受け継いだようだ。 いつも明るい母と口数の少ない父。なんで母を選んだのかとても不思議だ。 俺が小さいころから母は何かとピンクの物を

3月8日

もうすぐ春が来るというのに雨が続いていた 何日目の雨だろうか いつもなら憂鬱な気持ちだけど今日は違う いつもより1本早い電車に乗る ガラガラの電車はいつもの電車ではないかのように静かだった ゆっくりと座って本を読む 早起きと活字で眠気に襲われる 本が逆さまだって気づかないくらい本を読まない私が なぜ本を読んでいるか それは先月のこと、どうしても学校へ早く出ないといけない日だった ギリギリセーフで乗った電車はガラガラだったので ドアの一番そばに座った 上がった息を整える

妖精と赤い実

よいしょ。よいしょ。 深い深い森の中 赤い木の実を運ぶ 森の妖精か 風の妖精か ほんの少し黄色がかった何かが 小さな小さな木の実を運ぶ りすくん りすくん 木の実を見つけたよ りすには聞こえない 風がびゅっと吹いたと思ったら 小さな赤い木の実がりすの手の中に ぽん りすは口の中へ ぽん そんなりすの目の前には妖精がいて でもその妖精はりすには見えなくて それでもよくて 妖精はにっこり微笑む 幸せそうなりすの顔を見たら 妖精まで嬉しくなって また明日っ

夕焼けシトリン

神社の階段に座っていた 3つ上のお姉さん 中学に入ってから全然話してなかったけど 声をかけずにはいられなかった それほど繊細で儚い横顔だった 黒く長い髪が風で揺れる たわいもない話しをした 笑っているけどあまりこっちを見ない 時折すする鼻と 時々震える声に きっと彼氏に振られたんだと 僕は思った 少し赤い目もとに夕焼けが映り込む とても美しいと思った シトリンの石のように優しく美しい 夕焼け色の涙を見て 僕は胸が苦しくなった お姉さんは笑って別れたけれど 僕

もっともあたたかいブルー

彼はいつも冷たく見える 淡い青色のような指先で 私に触れる 彼はいつも冷たく聞こえる 深く青みがかった声で 私に話しかける 私は彼の心が知りたい 彼の色が知りたい あなたは何色なの? 付き合って3年目の記念日に プレゼントをくれた 「キーホルダーなんて使わないよね」と 彼が言った 私は微笑んだ 「ありがとう」 普段見せない照れくさそうな顔に 彼の優しさを感じた おそろいのキーホルダーに心が溶けていく かっこよくみせたくて 冷たくなってしまったんだって ずるい

クリームソーダと彼

クリームソーダのように 甘くてさわやかな 彼の笑顔に惹かれて 私は恋に落ちた クリームソーダのように 深くて神秘的な 彼の瞳に見つめられて 私はときめいた クリームソーダのように 泡立っては消える 彼の気持ちは不安定で 私は傷ついた クリームソーダのように 色あせてしまう 彼との思い出は雲になって 私は見上げた クリームソーダのように 冷たくて切ない 彼との別れは雨になって 私は咲いた *.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚* 甘くて切

クリームソーダとくらげ

彼はくらげのような人だった いつもふわふわした人だった 透明感のある瞳に光が差す 触れると冷たいけれど 見とれてしまうほど美しい 彼はクリームソーダが好きだった 甘いシロップと泡のハーモニー グラスに注がれた夢のような色 飲むと幸せになれると言っていた 彼のことを思い出すたびに クリームソーダを飲む 彼のようにふわふわと生きたいと願う 彼のように自分らしくいたいと思う クリームソーダとくらげ 私の心に残る二つのもの 彼から教えてもらった 人生の希望となるもの