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恋の形

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実る恋  実らない恋 交わる恋  交わらない恋 どの恋も正解はなくて どれも素晴らしい ちょっと人にやさしくできないとき 読んでもらいたいお話しまとめてみました
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#彼女

赤い靴の夢幻

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ 赤い靴を履いた少女は砂時計を片手に少年の前に立つ。曲がったネクタイを整えて、さぁ映画館に入ろうか。 まるで熟したトマトのような色の靴は映画のシーンとともに、かわるがわる色を反射する。一コマ一コマを堪能するように靴もそれに応えるように。 透明な吐息は鋭い映像と同化し、まるで蝶が回っているように両方のスピーカーから聞こえる音は儚げだった。私ルールに縛られた

彼女の色

ワクワクってどうやるんだっけ ドキドキってどういう気持ちだっけ 感情を忘れるためにかけたフィルターは 何枚何十枚いろんな色を重ね カラフルだった心はいつしか 限りなく黒に近くなった 「どうしたの?」 柔らかい笑顔で見つめる彼女に声をかけた 「桜の花びら持ってきてくれたの?」 僕の肩にそれはついていて 「手にしてみたいかなって思って」 桜を彼女の指にそっと乗せる 咄嗟に出た言葉だった 「触りたかったの、ありがとう」 そういって満面の笑みを浮かべる 梅雨のある雨の日に会い

彼女との幸せな日々

夕暮れの空を見上げながら 「幸せだなー」 ご飯を食べに行く道すがら 「あー、幸せだなー」 近くの公園で風に吹かれ 「幸せだね」 夜の公園を歩く道でも 「やっぱり幸せだ」と微笑む彼女 朝の光が窓から差し込む時 彼女の笑顔が僕を優しく起こす 「おはよう」という声が心地よく 新しい一日が幸せで始まる 彼女とのんびり カフェで過ごすひとときも コーヒーの香りと共に 話すことが、何よりの幸せ 夜、星が瞬く空の下、まだ肌寒いベランダで 未来の夢を語り合う その瞬間、僕に

Heart's Canvas

白いキャンバス、二人の絆を映す 忘れ去られたバラ、色あせても美しく 彼女はボンドを手に、花びらを貼り付け 「絵を描かないの?」と彼が問う 彼女は微笑み、答えた「これはあなた、私の中で永遠に」 彼は見つめる、彼女の手が紡ぐ愛の行方を、 ドライフラワーとなったバラに、新たな命を吹き込む 「形に残してくれるんだね」と彼は言う 白いキャンバスに刻まれた二人の物語 枯れたバラさえも、彼女のアートで咲き誇る 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は

86%の彼

放課後の教室 この後どこ行くかワイワイ話してる いつもの光景、いつものメンバー 女の子2人男の子3人は中学からの仲良し5人組 私の居場所だ 彼はいつも通り私の隣の席に座っていた 「今日はいい天気だね」私に話しかける 「カカオ86%だよ。君の好きなやつ」 彼はそう言って私にチョコを渡す 彼は私の目を見て笑った この少年のような笑顔に私は弱い。 中学の時から身長が20センチ伸びた彼は サッカーをしていたから筋肉もあって 更に優しい。 学校でモテモテだ。 そし

優しい憂鬱

雨の日は泣きたくなる どんよりとした重たい雲が 幾重にも重なり 太陽は消えてしまったのかと思うくらい 暗く深く黒くしんどい そんな時いつも君は言う その涙もいつか虹に変わる 彼女と出会ってから 幾度と降る雨の日 今日も朝から雨で 僕の目にも雨が滴る 挽きたてのコーヒーは彼女のこだわり インディゴブルーのマグカップに注ぐ 雨の日は湿度でより濃い香りが部屋中を駆け巡り 雨に滴る僕を魅了する さっきまでしとしと降っていた雨は ザーザーと音を立てて泣く 僕と一緒だ

桜餅モルガナイト

「さ、桜餅は好きですか?」 桜が舞い散るバス停。俺は突然の質問に笑ってしまった。 「桜餅?えっと、嫌いじゃないかな(笑)」 優しくあたたかい風に桜が舞い散る・・・ 俺はある時から不思議なことが起こるようになった それは優しい桜色の季節になると妖精が見えるんだ 本当にいるのかもしれないし 俺の想像かもしれない 桜の木の回りをキラキラと飛び回る 桜色のとても小さくて透明度の高い何かが あっちこっちと舞い踊っている あれは小学2年生の終わり頃 公園でみんなと遊んで

栞と赤い糸

みんなより1本早い電車 人が少ない朝の教室 放課後のあたたかな陽射しが入る図書室 塾の帰りによる小さな公園 僕はいつも本を読む 本の世界で会話をする もうすぐ冬も終わりを告げて 春らしいあたたかい日が続いていたけれど 今週は雨が続いていた 本が濡れるからあまり好きではない雨に少しイラついていた いつも通りの時間のいつもの席に座り本を読む 20分間のひと時を楽しむ 先ほどまで雨が降っていたのは嘘のように晴れ渡り 朝日が眩しかった 駅に着く 傘を忘れないように

優しい風

ピンクが好きだという女子が嫌いだ。 俺は風和(ふうわ)21歳大学生。 アパレルでバイトをしている。 黒と白だけで構成されるダークなファッションが好きだ。 風和の母は40歳。友達のお母さんの中では若いほうでいつも派手だ。 ピンクが好きでなんでもピンクにしたがる。 父は45歳公務員で見た目も普通。母とは対照的な人だ。 俺はそんな父のDNAを受け継いだようだ。 いつも明るい母と口数の少ない父。なんで母を選んだのかとても不思議だ。 俺が小さいころから母は何かとピンクの物を

夕焼けシトリン

神社の階段に座っていた 3つ上のお姉さん 中学に入ってから全然話してなかったけど 声をかけずにはいられなかった それほど繊細で儚い横顔だった 黒く長い髪が風で揺れる たわいもない話しをした 笑っているけどあまりこっちを見ない 時折すする鼻と 時々震える声に きっと彼氏に振られたんだと 僕は思った 少し赤い目もとに夕焼けが映り込む とても美しいと思った シトリンの石のように優しく美しい 夕焼け色の涙を見て 僕は胸が苦しくなった お姉さんは笑って別れたけれど 僕

もっともあたたかいブルー

彼はいつも冷たく見える 淡い青色のような指先で 私に触れる 彼はいつも冷たく聞こえる 深く青みがかった声で 私に話しかける 私は彼の心が知りたい 彼の色が知りたい あなたは何色なの? 付き合って3年目の記念日に プレゼントをくれた 「キーホルダーなんて使わないよね」と 彼が言った 私は微笑んだ 「ありがとう」 普段見せない照れくさそうな顔に 彼の優しさを感じた おそろいのキーホルダーに心が溶けていく かっこよくみせたくて 冷たくなってしまったんだって ずるい

クリームソーダと彼

クリームソーダのように 甘くてさわやかな 彼の笑顔に惹かれて 私は恋に落ちた クリームソーダのように 深くて神秘的な 彼の瞳に見つめられて 私はときめいた クリームソーダのように 泡立っては消える 彼の気持ちは不安定で 私は傷ついた クリームソーダのように 色あせてしまう 彼との思い出は雲になって 私は見上げた クリームソーダのように 冷たくて切ない 彼との別れは雨になって 私は咲いた *.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚* 甘くて切

クリームソーダとくらげ

彼はくらげのような人だった いつもふわふわした人だった 透明感のある瞳に光が差す 触れると冷たいけれど 見とれてしまうほど美しい 彼はクリームソーダが好きだった 甘いシロップと泡のハーモニー グラスに注がれた夢のような色 飲むと幸せになれると言っていた 彼のことを思い出すたびに クリームソーダを飲む 彼のようにふわふわと生きたいと願う 彼のように自分らしくいたいと思う クリームソーダとくらげ 私の心に残る二つのもの 彼から教えてもらった 人生の希望となるもの