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恋の形

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実る恋  実らない恋 交わる恋  交わらない恋 どの恋も正解はなくて どれも素晴らしい ちょっと人にやさしくできないとき 読んでもらいたいお話しまとめてみました
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#毎日note

見えない彼女と見える僕

僕は僕で生きる世界があって この世界に流れる風は、どこまでも冷たい 幾千の星々は、そんな僕にも笑いかけ でもやっぱり、朝になれば泡のように消えていく そこら中を見えないモノたちが潜んでいて 願い事を託す、彼らにはこの世が まるで穴が開いた空のように映っているんだろうか 嫉妬と焦りと闇が漂う世界に何を望むだろうか 冷たい空に見える君を、僕はどうすることもできなくて 海が見える踏切で一人考えてしまう 君に近づく方法は何通りあるのだろうか。 君を見つけてから、灰色であるはずの

飴色の夕焼け

空が遠い。僕には手の届かない場所。 陽が落ちるこの時間帯は、なぜ物悲しい気持ちになるのだろう。 まだ落ちないで太陽よ、月よあと少しだけ待っててよ。 見送りたくて、バス停まで君と肩を並べて歩く。 話したいことが頭の中で文字になって舞い上がっている。 ふわふわする頭と心と足をどうにか地につけて、 消える太陽を見る君を僕はのぞき込む。 夕日が反射する美しい瞳に何かが割れる音がした。 ふわりと体が浮くような感覚に、胸が痛みだした。 飛び回る鳥を見て僕も一緒に飛びまわれたら この痛

つながるそらにきみがいる

つまづいて転んだ僕を なみだを流して笑う君 がさつに心に入っては ルビーのような瞳を輝かせ そして美しい君をそばで ラベンダーの香りを感じる にやつく僕をまた笑って きこえる声は遠い場所でも みえる景色が違っていても がむしゃらに生きる姿を いつかくる二人の日は るり色のような人生の僕たち。 あとがき 遠距離になるけれど、君は君のままでいてくれる。 いつか帰って来た時には、結婚しようという話です。 結婚を瑠璃色に例えてみました 言葉遊びシリーズ 君とは空でつながっているか

うみといちご

久々のデートはいちご狩りだった。 黒いTシャツで気合十分の彼女は、食べきれないほどの苺を一粒一粒おいしそうに食べる。まるで食べるのがもったいないように一粒にひとつの幸せをのせて。 いちご狩りからの帰りは近くの海辺に立ち寄った。 春先のあたたかな空気が潮風とともに波の音を静かに包み込む中、彼女はいちごを取り出した。 俺は不思議そうに彼女を見つめ 「海でいちごを食べるの?」 すると彼女は微笑んで「いちごの赤色と青い海って美しくない?広大な世界で食べると、その美味しさがより一層引

赤い靴の夢幻

言葉の羅列から生まれるストーリー 無造作に無作為に言葉を羅列する そのままの順番でストーリーを作る 今日はこの羅列↓↓↓ 赤い靴を履いた少女は砂時計を片手に少年の前に立つ。曲がったネクタイを整えて、さぁ映画館に入ろうか。 まるで熟したトマトのような色の靴は映画のシーンとともに、かわるがわる色を反射する。一コマ一コマを堪能するように靴もそれに応えるように。 透明な吐息は鋭い映像と同化し、まるで蝶が回っているように両方のスピーカーから聞こえる音は儚げだった。私ルールに縛られた

マスクの奥の微笑み

僕のバ先の店長は誰にでも優しくて 誰にでも平等で ちょっと嫉妬しちゃうほどお人よし そんな店長をみる僕は不愛想で表情もなくて 自分でもがっかりするほどだ いつもマスクをしているから余計に感情が見えなくて だいたいの人に誤解されるが仕方がない 店長だけが僕のことを理解してくれて それだけで救われる 店長の優しさに触れるとマスクの下で 誰にもバレないように、ニヤついてしまう 真っ赤なほっぺもマスクで隠れてる ゆるキャラみたいな店長は僕の癒しで どんな状況も笑って解決あの姿を

左目の言葉たち

「先生、質問です」そばにいるだけでよかったけど、 私の心の原石は、音もなく崩れていく 映画を見に行こうって待ち合わせた昼下がり、 最初の言葉に愛があふれる 手のひらに書いた「人」の字を左目だけで見つめる 姿勢の悪い先生の授業の中の長い沈黙がすき 帰り道の鳥居、小さい頃よく来た懐かしさに浸る 手を添えてまた明日 つま先に力を入れて、遅刻寸前の坂道を走ろう メガネ姿に細い目の先生と話したくて、制服のスカーフを直す 三本目の木の下、街路樹にいる先生の仕草が無邪気で そして穏や

天気予報

「明日の天気は 晴れ、ときどき包み込む愛が降るでしょう」 甘く溶ける愛に溺れて 心は甘い蜜に包まれる 彼の笑顔は陽射しのように 暗闇を照らし 心を温かく包み込む 彼のそばにいると 時間が止まったようで 永遠に続くような幸せを感じる 二人の関係は甘く キャンディのように色鮮やかで 愛に溺れていたいと願う 晴れ、ときどき包み込む彼の愛 私の心はいつも彼のそばで 甘く溶けていたい

誕生日嘘をついたページ/記憶の日記

「こうじさん、お誕生日おめでとうございます」 ふみさんが今年も誕生日を祝ってくれる。本当に僕は幸せ者です。 だけれど、彼女は僕を見ているけれど見ていない。 あなたは誰を見ているんだろう。 日記の一行目。 彼女の大切な人が自分ではないことに気が付いた。 手に持った彼女の日記の1行目。 誰か分からない想い人への一行目を、震える指で一文字ずつなぞる。 本当は知っていたし、わかっていた。けれど、彼女が彼女を演じる限り、僕は僕であるべきだとそう思う。 もう僕は知らなかった世界へ戻

泣き声の向こう側

もし心の中を見える力があれば 嘘ばかりつく君を守ってあげられるのに 頼ってほしいけど甘えることが苦手な君を あなたを泣かせるものから遠ざけてあげるのに 何で見えないんだろう 君は本当に嘘がうまい 僕が帰った後 泣いていることを知ってるから ドア越しに君のすすり泣く声を感じてる 今すぐにドアを開けて抱きしめたいけど それは僕ではなかったことに 君が見つめる先を知ってしまったら 僕の心はまた一つ、ひびが入る 君の幸せを願うのは正しい でも本当は君を僕だけのものにしたい で