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夜の静寂が訪れる頃、 一陣の風が、過去の記憶を運んでくる 何の前触れもなく、胸に触れるその風は 忘れたはずの痛みや後悔を呼び起こす 心がざわめき、かつての感情が蘇っては 吐きそうになる自分が風に乗って 嫌な思い出に一瞬で胸を支配される 心の平穏が揺さぶられ、不安が顔を覗かせる 怯えにも似た感情が覆いかぶさり 過去に縛られるみたいだ 先ほどまで緩やかに流れていた風が 酷く冷たく、荒く吹く フラッシュバックは自分をどこまでも沈め 言葉にならない感情で埋め尽くされてしまう
かつて、せせらぎのように清らかに流れていた川 その水は透き通り、魚たちは跳ね、虫たちは舞い、 動物たちが水を飲みに訪れる場所だった。 川は誇らしげに言った、「私がここにいるから皆が助かるのだ」と。 だが、その声の中には不満があふれていた。 魚が来れば、川はその泳ぎを非難し、 虫が舞えば、川はその羽音を嘆き、 動物たちが水を飲むたびに、川は愚痴をこぼした。 不満と嘆きが積もるにつれて、 川の水は次第に淀み、澄んだ色を失っていった。 かつての透明な流れは、今や濁った泥の色に変わ
沈む、沈む、浮かび上がろうと、また沈む 昨日までの僕が、僕を沈める こんなに静かな朝だというのに、変わろうと決心したのに まだ同じ世界線にいる僕は、昨日までの「僕」にまた静かに沈まされる 口笛を吹いて新しい世界へ生まれ変わりたいと決意したけれど すり減った僕の何かは息苦しいままだった だから、「同じ道を歩こう」と僕の中の僕が言う 地に足をつけたはずだったけど、この浮遊感はなんだろう まるで砂時計のようにこぼれ落ちていく僕の夢は そこにあるのに掴めないような感覚に陥る 「そ
君が欲しかったものは何だい 君が望んでいた世界はどこだい 君がそれを目にしたとき その美しさに、涙を流すほどの 感動が手に入らないのは なぜだと思うかい 近道しようと縮めた空間は 悲しいだけで何も生まれないよ ふわふわと浮遊しながら泳いでは 意味がないと嘆くことを もう終わりにしよう 一筋の揺れる光は、心の中にあって まるで君の信念のように揺れてしまっているよ 月を見てはため息をつく君は 自分の世界に閉じこもり 頭の中は理想で埋めつくされ 独りよがりの世界に浸り 侵入者を
「わー、待って待って!それは僕が思ってたんと違うー」 線路を走っている車輪が外れた音がした 脱線。 車輪が線路から外れると、僕はそのまま動けなくなった 歩き方を知らない僕の物語り。 「あいたたた、ここはどこだろう。」 こんにちは、君はどこからきたの? ここは、しいて言うなら、【天国】かな。 「て、て、天国?それは困るよ」 なんで困るんだい?天国は楽しいよ、きっとね。 「僕はちょっと間違っただけなんだ、人生の選択を。なんだかすべてが嫌になっちゃったんだ。だから、いつ
普通は難しいと彼女は嘆く 人々が期待する通りに生きること 同じ道を同じ速度で歩くこと 彼女は異なる色を持つ鳥のよう 風に舞い、空を翔ける 普通の枝になんてとまらない 彼女のファッションは芸術 色と形が交差するキャンバス 普通の格好ではなく、自分を表現する 絵を描く時だってイメージをそのまま 偏見ではない心の色で塗りたくる 普通の中で輝こうとすれば彼女は その窮屈さに嫌気がさす 彼女は自分を愛し、自由に生きる こぼれる涙が「ふつうは難しい」って嘆いている こちらのス
飲み込む、苦いコーヒーのような味 味わうこともなく、一気に飲み干す 望まれているように、望んだ形で 言葉と感情が裏返し まるでオセロのように 言葉が光なら、闇が黒で 一面を黒が覆う 飲み込む言葉があるたびに 感情が一つ、また一つ 僕の3手先をいつも読み 四隅を埋める為に僕を追い詰める 逃げ場をなくした僕は中に逃げ込み 自ら四面楚歌となる ゲームは終わってないけど 勝ち誇り四隅から満足げにニヤついている だから僕は弱気な顔のまま 少しずつ白くする そうして打つ手なくな
「廃棄物」 これが私のなまえ。 本当に 本当にちょっとしたことだったと思う なんでそうなったのかなんて 私にはわからないけど 何が悪かったのかな 気に障ったのかな 友達だと思ってた子達は 目も合わせてくれなくて無視するわけでもない 私が存在しないかのように 居場所がなくなっていった あぁ、空気に溶けたい そのまま消えてたい この時間 この場所で 過ごす私の解決法 あぁ、重く苦しい空気は 喉の奥でつっかえる それでも ここにいなくちゃいけなくて 何度も話しかけようと試みたが
「大丈夫」それは一種の呪いだった 一人で平気? 「大丈夫です」 これもお願いできる? 「大丈夫です、やっておきます」 今から飲み会だけど来るよね? 「大丈夫です、すぐ行きます」 今日は彼氏に言われた 最近疲れてるけど大丈夫? 「大丈夫です、あ、うん。大丈夫」 大丈夫って言えば丸く収まる 全部うまくいく 大丈夫、大丈夫だよ、大丈夫だからね 自分への呪い 避けて、避けて、壁を作って 言葉に隠れて、心を守って 「大丈夫」のマントを纏い 真実から目を背けて 静かな声で囁く
鏡よ教えて、あなたは誰? 過去の面影、未来の願いよ あの時に戻れるなら私は 何が正解で、何を選ぶべきだったのか 彷徨う想い、答えは鏡の中にはない 映し出すは、今の「私」 鏡よ教えて 私は誰? あなたの世界は何を映し出す どこにもない正解を探して まだ見ぬ世界を目指して 選択し続ける自分を信じて あとがき 過去を変えることも 未来をみることもできない だから悩み、もがく それでいい、それでいいんだ それがあなたを作り出すのだから 過去の選択もこれからの選択も