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明日も頑張ろ

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大丈夫 あなたは素晴らしい 明日が遠く感じるあなたへ
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#世界

見えない光を掘る

安心する土の中 光は彼には眩しすぎるから そこでいい そこがいいんだ 彼の鼻先は敏感なセンサーで 心の波動を感じ取る わずかな感情の揺らぎも 手に取るようにわかってしまう 日の当たる場所は彼にとって 厳しい現実だった たまに地上に顔をだせば モグラたたきのように 出れば叩かれる世の中だ 暗闇は唯一の居場所で 土の世界は優しく 誰も彼を咎めない 彼はまるでモグラのように 土の中の自由を掴み 見えない光を頼りに 自分の世界を掘り進める 彼は決して孤独ではない 土の中の住

見えない彼女と見える僕

僕は僕で生きる世界があって この世界に流れる風は、どこまでも冷たい 幾千の星々は、そんな僕にも笑いかけ でもやっぱり、朝になれば泡のように消えていく そこら中を見えないモノたちが潜んでいて 願い事を託す、彼らにはこの世が まるで穴が開いた空のように映っているんだろうか 嫉妬と焦りと闇が漂う世界に何を望むだろうか 冷たい空に見える君を、僕はどうすることもできなくて 海が見える踏切で一人考えてしまう 君に近づく方法は何通りあるのだろうか。 君を見つけてから、灰色であるはずの

君のこの人生を

君が欲しかったものは何だい 君が望んでいた世界はどこだい 君がそれを目にしたとき その美しさに、涙を流すほどの 感動が手に入らないのは なぜだと思うかい 近道しようと縮めた空間は 悲しいだけで何も生まれないよ ふわふわと浮遊しながら泳いでは 意味がないと嘆くことを もう終わりにしよう 一筋の揺れる光は、心の中にあって まるで君の信念のように揺れてしまっているよ 月を見てはため息をつく君は 自分の世界に閉じこもり 頭の中は理想で埋めつくされ 独りよがりの世界に浸り 侵入者を

赤い金魚と僕の物語り

風が止み、夕焼けが空を染める頃、静かな町の一角に佇む古びた家。 早くに両親を亡くし、姉は嫁ぎ、広い家にただ一人。生きるために生きている。三十路を目前にし、僕は考えることを諦めていたそんな人生について向き合っていた。金魚鉢の前に座り、水槽の中で穏やかに泳ぐ「金魚」に話しかけて。それは、投影していたのかもしれない。金魚鉢で飼いならされる金魚と僕を。 姪っ子がお祭りで手に入れたその金魚は、飼い猫を理由に僕のもとへと託された。とても小柄で泳ぎ方が少しだけ変な真っ赤な金魚。定期的に水

不完全なパズル

ジグソーパズルのピースが一つ足りない それはまるで、私のよう 何かが欠けている、心の隅に 風景はほぼ完成しているけれど 最後の一片が見つからない 探し求める旅は続く 欠けた部分を埋めるために 一つ足りないピースは 私の中の空虚を映し出す 満たされない思い、静かな叫び 完全なるものへの渇望 だけど、その欠けた部分が 私を独特な存在にする 完璧ではないからこそ美しい 不完全な世界の中で、私は私

図書館と雨

雨が降りしきる街角で 図書館という居場所だけは暖かく 心の雨に濡れることなく 物語の世界へといざなう 雨粒が窓を叩く ページは静かにめくられ まるで時間が止まったような空間 読書のための、完璧な一日 図書館の中は、雨の存在を忘れさせ 本の中の冒険が心を奪う 外の雨さえも、雨粒の音楽隊 雨に打たれた街は、ひと息つき 図書館は私をあたたかく迎え入れ 静かで満ちた時間をくれる あなたの図書館はどこですか? 本を読むところはたくさんあって 図書館かもしれないし 本屋さんかも

雨と図書館

静かな窓辺に雨が降る、本めくる音が響く。 雨音は知識の海に溶けていく。 紙の香りと雨のリズム、時間さえもゆっくり流れる。 窓ガラスには雨粒のメロディ。 静寂という雨の中、世界との境界線となる空間。 知識を求める旅は、雨音に続く。 外の世界は雨に包まれて、中の世界は物語に包まれて。 二つの世界が、窓を通して存在する。 みなさん雨は好きですか? しとしと ザーザー 雨を不快に思うことが多いかなと思います 雨のおと 雨のにおい 雨のいろ ひとつひとつを丁寧に見ていくと

彼とクラゲ~色なきもの~

薄暗く広い空間に 深く広い水槽がある 彼は水族館に来ていた 目の前には無数のクラゲ 悠々自適に泳いでいる それは泳いでいるのか 漂っているのか 水の流れに身を任せ それは自由に浮かんでいた クラゲに魅了された 何を考えているのだろうか どうやって生きているのだろうか その神秘的で美しい姿が目に焼き付いた クラゲは彼をどうみているのか 彼はクラゲをどうみているのか 果てしないはてなが渦巻く それは彼を現している 何を考えているの? どうしてそうなっちゃったの? その

私がサカナだったころ

頭の中はいつも想像の世界で出来ていた 俺はサカナで広い海の中を掛け泳ぐ 時には青い空を泳ぎ そしてある時は森の中を泳いだ 昨日は海の中を自由に泳いだなー 退屈な話を聞いている時 現実から離れたい時 俺はどこでだってサカナになって泳いでいた 俺のクラスの学級委員長は、真面目でどんな時もクールで皆から頼られている。 そんな委員長を羨ましくも思い、ふわふわ生きている俺とは別の世界の人間だと思っていた。 ある時俺は担任に呼ばれた。 毎回白紙で出す進路希望調査に担任のほうが困り