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明日も頑張ろ

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大丈夫 あなたは素晴らしい 明日が遠く感じるあなたへ
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#詩

そして、動き出す

世界が止まった 僕の世界だけがぽんと放り投げられた 何もない場所、白い砂漠のような無の中で 時間が止まった 誰とも共有できない 永遠のような静寂の中で、感覚が麻痺していく 息が止まった 不思議と苦しくない 世界と離されて気づく 自分という何もない空っぽな存在 そして、静止した時間が動き出す あとがき 新たなスタートを切るために 一度止まって 自己を見つめなおし 前に進むための準備時間 それは、たくさんの時間を有するほどの停滞かもしれないし トイレ休憩くらいの短い時間

見えない光を掘る

安心する土の中 光は彼には眩しすぎるから そこでいい そこがいいんだ 彼の鼻先は敏感なセンサーで 心の波動を感じ取る わずかな感情の揺らぎも 手に取るようにわかってしまう 日の当たる場所は彼にとって 厳しい現実だった たまに地上に顔をだせば モグラたたきのように 出れば叩かれる世の中だ 暗闇は唯一の居場所で 土の世界は優しく 誰も彼を咎めない 彼はまるでモグラのように 土の中の自由を掴み 見えない光を頼りに 自分の世界を掘り進める 彼は決して孤独ではない 土の中の住

明日はどっちだ

明日の私は何をしますか 半年後の私は何を考えていますか 1年後の私はどこで何をしていますか 3年後の私は生きる意味を見つけましたか 何者でもない私が 人の役に立ちたいと願い 願うだけだった自分を変えるべく 挑戦し続ける けれど 何がしたいんだっけ 何になりたいんだっけ 自問自答を繰り返す日々 答えは見つかりますか? まだ目的が定まらず 足が少しだけ浮いています 浮かれた私を地に戻すには どうすればいいんでしたっけ 前に進むと決めたのに ちょうどいい言い訳を並べて 自

溶けてわたあめ(仮)

あの空の雲はわたあめのようにおいしそう ふわふわと浮かぶその姿に 疲れた体をゆだねてみたら きっと甘さに包まれて、私は溶けてしまう 雲の中は温かくて、柔らかくて ふわりと抱かれるその瞬間に 重さを忘れて、空へと溶け込む 甘さに染まる心と体 すべての疲れが溶け出して ただ軽やかに漂うだけ 風に運ばれて、どこまでも ふわりと広がるわたあめのように 私は空と一つになり、 無重力の夢の中へ 太陽の光が差し込むと 光の粒がきらきらと踊り わたあめの雲は虹色

雨の日の常連

雨だからしんどいのか しんどいから雨だったのか 悩ませる片頭痛は いつもそばにいて離れてくれない 今日は晴れだけど 明日が雨だからなのか頭が痛む あの子のそばで 一緒に頭痛に闘った 勝つことは出来ないけど 一人じゃなかったから 笑っていられた あとがき 小さいころは大人が「頭が痛いわ」っていうのに憧れるほど 頭痛とは無縁だった人生だったのに 今では片頭痛と生きてます( ノД`)シクシク… 梅雨はつらい だから猫を吸います ※あの子は猫

左手のドーナツ

左手をドーナツのように丸くして 左目から覗く彼女は 僕の心を読んでるんだって そんなので見えたら苦労しないよって 言い返すんだけど それでも彼女は 見える、見えるよーと言っては 僕を笑わせる そして必ず、明日も大丈夫って見える そう言ってなんの分析力もない言葉を 投げかけて微笑む彼女は 僕を笑わせる それはいつしか僕の中で おまじないのようなものになって 知らない間に、癖になっていた 今日も大丈夫 そうやって鏡の自分へ声をかける あとがき 彼女の癖が彼にも伝わり、日常

夢の灯を持つリリイと夢を食べるドリアン

夢の灯を持つ妖精リリイと、夢を食べる魔法使いのドリアンがいました。リリイは美しい夢を人々に与える存在として崇められ、ドリアンはその夢を食べてしまう存在として嫌われていました。リリイはいい夢を見させて人々へ希望を配りつづけていましたが、ドリアンはそんなリリイのことをよく思いませんでした。 世界ではリリイのように人に夢を与えられるのが正義です。 人の夢を食べるドリアンは誰からも好かれず、一人彷徨っていました。ある日、リリイの作った夢を見ている一人の少女がいました。その夢は、白馬

何度も消えた夢を、また今

綺麗で鮮やかな、花を見るたびに夏を思い出す。 ラムネの清涼感が喉を潤わせ、永遠に時間が止まるような感覚。 行くべき道を見つけるまで、夢中になって生きた時間を。 儚く何度も消えた夢を、また今追いかける。 消えてしまいたいほどの思いが、今まで何度あっただろう。 何度も諦めて、また夢見ては押しつぶされて。 それでもあきらめきれない夢を見たくって、あがいている。 夢を見た時、初めてみる空は、ほのかに明るく穏やかで美しかった。 枯れずに残っていた思いは、ずっと頭の隅に残っていて あ

見えない彼女と見える僕

僕は僕で生きる世界があって この世界に流れる風は、どこまでも冷たい 幾千の星々は、そんな僕にも笑いかけ でもやっぱり、朝になれば泡のように消えていく そこら中を見えないモノたちが潜んでいて 願い事を託す、彼らにはこの世が まるで穴が開いた空のように映っているんだろうか 嫉妬と焦りと闇が漂う世界に何を望むだろうか 冷たい空に見える君を、僕はどうすることもできなくて 海が見える踏切で一人考えてしまう 君に近づく方法は何通りあるのだろうか。 君を見つけてから、灰色であるはずの

君のこの人生を

君が欲しかったものは何だい 君が望んでいた世界はどこだい 君がそれを目にしたとき その美しさに、涙を流すほどの 感動が手に入らないのは なぜだと思うかい 近道しようと縮めた空間は 悲しいだけで何も生まれないよ ふわふわと浮遊しながら泳いでは 意味がないと嘆くことを もう終わりにしよう 一筋の揺れる光は、心の中にあって まるで君の信念のように揺れてしまっているよ 月を見てはため息をつく君は 自分の世界に閉じこもり 頭の中は理想で埋めつくされ 独りよがりの世界に浸り 侵入者を

寂寥

ぼんやりと月を眺める。 まん丸の月は満面な笑みで、微笑んでいるように見える。 私も思わず笑って、忘れたい感情を滲ませる。 泣けば泣くほど、不思議と笑顔になって空を見上げるのが こんなにも気持ちが良いなんて初めて知った。 昨日までの感情は地上へ残し空へと舞いあがりたい気持ちだ。 地上に残した感情の名前を知りたくて辞書を引いてみるんだけど 何が当てはまるのか分からなかった。 せめて答えだけでもわかったなら、心のざわつきも 少しは落ち着きそうなんだけどな。 映画なんてほとんど見な

赤いクレヨン

赤いクレヨンが一番になくなる 感情がぐちゃぐちゃになった日は ぐちゃぐちゃの心を絵にする 右から左へただ線を引くだけの作業は 私の心を落ち着かせるスイッチでもある 嫌なことがあったり、キツイこと言われたり 回りの気遣いでさえ、嫌味に捉えてしまう時だって そんな自分にため息をついた後は こんな世界におう吐したい気分になる だから気持ちを紙に殴り書きする 赤いクレヨンは私の血かもしれない それを見れば傷つけなくて済む気がして そんな私を2歳の姪っ子が 「いちご、いちご♪」って

心にペンギンを

心の住人ペンギン 心の海を泳ぐ スイスイと 孤独な心の海 彼はただ泳ぎ続ける 時には凍てつく風が吹き 大波に襲われ それすらも スイスイと 「こんにちは、ペンギンよ」 話しかけるとペンギンは お気に入りのサングラスを外してこっちを向いた 彼の目は海のように輝き 心を温かく包む 「やぁ、心の友よ」 ペンギンの声は海を通り抜ける 寂しさを溶かし 優しさを届ける 孤独な道を歩む時 ペンギンはすぐそばにいる 彼の存在が私を支え 自分を取り戻す助けとなる 心にペンギ

夜の01:08、魔法のライブ

春の風がそよそよと吹く夜、窓辺に佇む彼女はスマートフォンを手に01:08を待つ。今宵も、彼女の日課が始まる。その世界には顔も知らない、どこかの誰かの何気ない日常が小さな花を咲かす。 毎晩01:08から始まるライブ。たった一人か二人のファンのため、彼は歌い、語りかける。彼の優しい声が、寂しい夜を包み込む。彼女は居場所を求め、その時間に思いを浸す。 今日もやってくるいつもの時間。ささいな日常の話しから始まり、心の奥底に触れる言葉を綴る。時間はゆっくりと流れ、彼女はその音色に耳