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明日も頑張ろ

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大丈夫 あなたは素晴らしい 明日が遠く感じるあなたへ
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2024年5月の記事一覧

左手のドーナツ

左手をドーナツのように丸くして 左目から覗く彼女は 僕の心を読んでるんだって そんなので見えたら苦労しないよって 言い返すんだけど それでも彼女は 見える、見えるよーと言っては 僕を笑わせる そして必ず、明日も大丈夫って見える そう言ってなんの分析力もない言葉を 投げかけて微笑む彼女は 僕を笑わせる それはいつしか僕の中で おまじないのようなものになって 知らない間に、癖になっていた 今日も大丈夫 そうやって鏡の自分へ声をかける あとがき 彼女の癖が彼にも伝わり、日常

夢の灯を持つリリイと夢を食べるドリアン

夢の灯を持つ妖精リリイと、夢を食べる魔法使いのドリアンがいました。リリイは美しい夢を人々に与える存在として崇められ、ドリアンはその夢を食べてしまう存在として嫌われていました。リリイはいい夢を見させて人々へ希望を配りつづけていましたが、ドリアンはそんなリリイのことをよく思いませんでした。 世界ではリリイのように人に夢を与えられるのが正義です。 人の夢を食べるドリアンは誰からも好かれず、一人彷徨っていました。ある日、リリイの作った夢を見ている一人の少女がいました。その夢は、白馬

何度も消えた夢を、また今

綺麗で鮮やかな、花を見るたびに夏を思い出す。 ラムネの清涼感が喉を潤わせ、永遠に時間が止まるような感覚。 行くべき道を見つけるまで、夢中になって生きた時間を。 儚く何度も消えた夢を、また今追いかける。 消えてしまいたいほどの思いが、今まで何度あっただろう。 何度も諦めて、また夢見ては押しつぶされて。 それでもあきらめきれない夢を見たくって、あがいている。 夢を見た時、初めてみる空は、ほのかに明るく穏やかで美しかった。 枯れずに残っていた思いは、ずっと頭の隅に残っていて あ

見えない彼女と見える僕

僕は僕で生きる世界があって この世界に流れる風は、どこまでも冷たい 幾千の星々は、そんな僕にも笑いかけ でもやっぱり、朝になれば泡のように消えていく そこら中を見えないモノたちが潜んでいて 願い事を託す、彼らにはこの世が まるで穴が開いた空のように映っているんだろうか 嫉妬と焦りと闇が漂う世界に何を望むだろうか 冷たい空に見える君を、僕はどうすることもできなくて 海が見える踏切で一人考えてしまう 君に近づく方法は何通りあるのだろうか。 君を見つけてから、灰色であるはずの

君のこの人生を

君が欲しかったものは何だい 君が望んでいた世界はどこだい 君がそれを目にしたとき その美しさに、涙を流すほどの 感動が手に入らないのは なぜだと思うかい 近道しようと縮めた空間は 悲しいだけで何も生まれないよ ふわふわと浮遊しながら泳いでは 意味がないと嘆くことを もう終わりにしよう 一筋の揺れる光は、心の中にあって まるで君の信念のように揺れてしまっているよ 月を見てはため息をつく君は 自分の世界に閉じこもり 頭の中は理想で埋めつくされ 独りよがりの世界に浸り 侵入者を

寂寥

ぼんやりと月を眺める。 まん丸の月は満面な笑みで、微笑んでいるように見える。 私も思わず笑って、忘れたい感情を滲ませる。 泣けば泣くほど、不思議と笑顔になって空を見上げるのが こんなにも気持ちが良いなんて初めて知った。 昨日までの感情は地上へ残し空へと舞いあがりたい気持ちだ。 地上に残した感情の名前を知りたくて辞書を引いてみるんだけど 何が当てはまるのか分からなかった。 せめて答えだけでもわかったなら、心のざわつきも 少しは落ち着きそうなんだけどな。 映画なんてほとんど見な

赤いクレヨン

赤いクレヨンが一番になくなる 感情がぐちゃぐちゃになった日は ぐちゃぐちゃの心を絵にする 右から左へただ線を引くだけの作業は 私の心を落ち着かせるスイッチでもある 嫌なことがあったり、キツイこと言われたり 回りの気遣いでさえ、嫌味に捉えてしまう時だって そんな自分にため息をついた後は こんな世界におう吐したい気分になる だから気持ちを紙に殴り書きする 赤いクレヨンは私の血かもしれない それを見れば傷つけなくて済む気がして そんな私を2歳の姪っ子が 「いちご、いちご♪」って

心にペンギンを

心の住人ペンギン 心の海を泳ぐ スイスイと 孤独な心の海 彼はただ泳ぎ続ける 時には凍てつく風が吹き 大波に襲われ それすらも スイスイと 「こんにちは、ペンギンよ」 話しかけるとペンギンは お気に入りのサングラスを外してこっちを向いた 彼の目は海のように輝き 心を温かく包む 「やぁ、心の友よ」 ペンギンの声は海を通り抜ける 寂しさを溶かし 優しさを届ける 孤独な道を歩む時 ペンギンはすぐそばにいる 彼の存在が私を支え 自分を取り戻す助けとなる 心にペンギ