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明日も頑張ろ

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2024年2月の記事一覧

彼とクラゲ~色なきもの~

薄暗く広い空間に 深く広い水槽がある 彼は水族館に来ていた 目の前には無数のクラゲ 悠々自適に泳いでいる それは泳いでいるのか 漂っているのか 水の流れに身を任せ それは自由に浮かんでいた クラゲに魅了された 何を考えているのだろうか どうやって生きているのだろうか その神秘的で美しい姿が目に焼き付いた クラゲは彼をどうみているのか 彼はクラゲをどうみているのか 果てしないはてなが渦巻く それは彼を現している 何を考えているの? どうしてそうなっちゃったの? その

私がサカナだったころ

頭の中はいつも想像の世界で出来ていた 俺はサカナで広い海の中を掛け泳ぐ 時には青い空を泳ぎ そしてある時は森の中を泳いだ 昨日は海の中を自由に泳いだなー 退屈な話を聞いている時 現実から離れたい時 俺はどこでだってサカナになって泳いでいた 俺のクラスの学級委員長は、真面目でどんな時もクールで皆から頼られている。 そんな委員長を羨ましくも思い、ふわふわ生きている俺とは別の世界の人間だと思っていた。 ある時俺は担任に呼ばれた。 毎回白紙で出す進路希望調査に担任のほうが困り

はちみつとソーダ

女の子は泣きながら座り込んでしまった お仕事を頑張っているお母さんのために 女の子は大好きな飴玉を買いに駄菓子屋さんに来た 「どれにしようかなー。お母さんは何色がいいかなー」 宝石のような色とりどりの飴玉を見て目を輝かせていた つま先を立ててかごをのぞく。 目に入ったのはキレイなはちみつ色とソーダ色の飴玉だった 駄菓子屋の外はさっきまで晴れていたのに雨が降りそうだったので急いで帰った 女の子しか通れないくらいの小さな隙間に入る 近道らしい。 道ではない道

涙が乾くように、風になりたい

スズメはいつも彼女のことを見ていた 同じ時間に同じ格好で 海が見える駅に座っている 少しして友達がやってくる 一時間に1本くる電車を待つ 二人は笑いながら本を読んで お菓子を食べる たまにパンを僕たちにくれる いい奴だ だから俺の歌を聞かせてやるんだ 二人はいつも喜んでる とっても寒い日の朝 いつも通り彼女がくる 少しして友達がやってきた だけど二人は無言のまま座り 無言のまま電車を待った 時折話しながら下を向く 電車が来たけど彼女は乗らない 友達だけ乗って二人

胡蝶の夢

胡蝶の夢を見て ゆめうつつを生きていく 夢と現実の間には 自分の世界があると信じる 夢の中で 自由に舞い踊る胡蝶(わたし) 私は人生で 何をしていたのだろうか 何をしたいと願っていたのだろうか 紫色の神秘的な夢の中 忘れかけていた気持ちを 奮い立たせる何かが そこにはあった 『生きる』ことを頑張っていると ふと不安になる瞬間がやってくる 本当にこれがしたかったのかな どういう人生を送りたかったのかな ふと見た夢の中で 自由に飛ぶ自分を うらやましく思い そうなり

彼とくらげ

虚しい日々だ。何をもって生きていると言えるのか。 幸せとは何か 自由とは何か 答えを探していた 水族館に行った。もっと生きていたいと言えるように。 生きがいとは何か。 生きる意味は何か。 答えを探しにいく 水族館は居心地がよかった 色とりどりの魚 美しい世界観 特に水槽の中を泳ぐくらげに惹かれた くらげの水中を漂う姿は 心の平穏や安らぎを象徴しているように映った くらげの無欲と無頓着な姿は 自分の存在に満足しているように映った 思わずくらげに話しかける 「君は