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物語り詰め合わせ

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優しい物語りに浸りたい時がある。
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2024年6月の記事一覧

追いかける風

人間は怖い。一昔前、人間の友達が出来た。僕は化けて人間と遊んでいた。冷やかしてやろうと思ったんだけど、すんごく楽しくていつしか友達になっていたんだ。 あの日は風が少し強くって、でも一緒に遊んでいたら突風が吹いて、僕は驚いて耳としっぽが出てきちゃったんだ。そしたら友達がすごく怖い顔をして大人たちを呼んで、僕を追いかけまわしてきたんだ。怖かった僕は森の中に逃げ込んだ。 友達だと思ってたのに、悲しかった。あれ以来人間が怖い。だらか僕は人間にちょっと悪戯をしては驚かすんだ。自分の

風に消えた友達

おばあちゃん家に行くと、 あの少年に会える気がするんだ。 小さいころ、一度だけ出会った、 あの特別な友達に。 見慣れないおばあちゃん家の裏、 森の中で一人遊ぶ。 木々のざわめき、風の音、 不思議な気配を感じた瞬間。 そこに現れた同じ年頃の子、 笑顔で近づき、「一緒に遊ぼう」。 無邪気な声に心躍らせ、 二人は森でかくれんぼ。 木陰の秘密、草のトンネル、 笑い声と蝉の声が響く、森の中。 初めての友達、特別な時間、 夏の日差しに包まれて。 帰ろうと思ったその時、 突然、風が

魔法の扉と不思議な冒険(後編)

※物語は無料で読めます(*'ω'*) 第2章:扉を開こう ドンドンと響く、冒険の鼓動と一緒に僕は扉を開いた。 今まで見たことがない世界に触れられる興奮と行ってもいいのかな、という不安が入り混じるけど、目の前に広がる世界を見たらそんなことは吹っ飛んでいった。なんてきれいな世界なんだろう。これは僕が夢見ていた世界そのままだった。 猫に兎にリスもいる。翼を持っていたり、色が虹色に輝いていたり、僕の心をワクワクさせてくれるなんて美しい世界なんだろう。森たちは歌を歌い、キノコたち

¥280

魔法の扉と不思議な冒険(前編)

あらすじ 第1章:どんぐりを追いかけた 「雨が降り出したね」って僕がお母さんに言ったら「また変なことばっか言って」ってお母さんはまた知らない人たちと話してる。僕は手を広げて確認するんだけど、やっぱり雨が降ったり止んだりしてるんだ。空を見上げても雲一つなくてお母さんたちも濡れていないんだよね。 なんでだろってあたりを見渡していたらどんぐりが、まるでヒマワリの種を植えるように落ちている。 僕は降っている雨からも逃げたくて、そのどんぐりを追いかけた。後ろではお母さんが話に夢中

¥100