マガジンのカバー画像

物語り詰め合わせ

15
優しい物語りに浸りたい時がある。
運営しているクリエイター

記事一覧

春風のいたずら

春風が吹く 緑が芽吹き始めた葉っぱが ふわっと飛んでいった ゆらゆらと飛んでは 公園に座っているおじいさんの頭へ乗っかった もしかしてたぬきかもしれない 今度はぶわっと風が吹いて その葉っぱは野良猫の頭に乗っかった こっちがたぬきだったのか 最後は砂埃が立つほどの風が舞って おじいさんと猫は消え、葉っぱだけが残った あとがき たぬきと幼稚園の女の子のお話し 幼稚園の女の子目線でもう一度読むと キラキラした目の少女のワクワクが見える·͜·ᰔᩚ 〇と△シリーズ 好き

約束の付箋

電車で見つけた落とし物 真新しい小説が一冊 ちょこっとだけ顔を出している付箋 興味本位であけたページ 小説を読まない僕には ただの文字の羅列 どうして付箋をつけたかったのか でもすぐに分かった 左下の手書きの文字 「13時にいつもの神社で」 その隣に違う字で「OK」 僕は一安心した 返事が来ていることで二人は 小説がなくても出会えることができるだろうから 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 約束 × 付箋

誕生日嘘をついたページ/記憶の日記

「こうじさん、お誕生日おめでとうございます」 ふみさんが今年も誕生日を祝ってくれる。本当に僕は幸せ者です。 だけれど、彼女は僕を見ているけれど見ていない。 あなたは誰を見ているんだろう。 日記の一行目。 彼女の大切な人が自分ではないことに気が付いた。 手に持った彼女の日記の1行目。 誰か分からない想い人への一行目を、震える指で一文字ずつなぞる。 本当は知っていたし、わかっていた。けれど、彼女が彼女を演じる限り、僕は僕であるべきだとそう思う。 もう僕は知らなかった世界へ戻

キャンドルとハリネズミの森

星明かりが舞う夜の森  キャンドルの灯りが揺らめく 魔法の中に埋もれた ハリネズミの棲家 そこには夢の世界が広がり、 不思議な生き物がたくさん踊りだす しゃべるキノコや青い目のうさぎ、 巨大なありんこに足の短い鹿 時が止まったような静寂の中、 秘密の歌が響き渡る 光と影が織りなす魔法のように キャンドルの灯りが彩る森 夜の奥深くで、 大人びたハリネズミが歌う さぁ、新しい冒険の物語へ 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は ハリネズミ × 

追いかける風

人間は怖い。一昔前、人間の友達が出来た。僕は化けて人間と遊んでいた。冷やかしてやろうと思ったんだけど、すんごく楽しくていつしか友達になっていたんだ。 あの日は風が少し強くって、でも一緒に遊んでいたら突風が吹いて、僕は驚いて耳としっぽが出てきちゃったんだ。そしたら友達がすごく怖い顔をして大人たちを呼んで、僕を追いかけまわしてきたんだ。怖かった僕は森の中に逃げ込んだ。 友達だと思ってたのに、悲しかった。あれ以来人間が怖い。だらか僕は人間にちょっと悪戯をしては驚かすんだ。自分の

風に消えた友達

おばあちゃん家に行くと、 あの少年に会える気がするんだ。 小さいころ、一度だけ出会った、 あの特別な友達に。 見慣れないおばあちゃん家の裏、 森の中で一人遊ぶ。 木々のざわめき、風の音、 不思議な気配を感じた瞬間。 そこに現れた同じ年頃の子、 笑顔で近づき、「一緒に遊ぼう」。 無邪気な声に心躍らせ、 二人は森でかくれんぼ。 木陰の秘密、草のトンネル、 笑い声と蝉の声が響く、森の中。 初めての友達、特別な時間、 夏の日差しに包まれて。 帰ろうと思ったその時、 突然、風が

魔法の扉と不思議な冒険(後編)

※物語は無料で読めます(*'ω'*) 第2章:扉を開こう ドンドンと響く、冒険の鼓動と一緒に僕は扉を開いた。 今まで見たことがない世界に触れられる興奮と行ってもいいのかな、という不安が入り混じるけど、目の前に広がる世界を見たらそんなことは吹っ飛んでいった。なんてきれいな世界なんだろう。これは僕が夢見ていた世界そのままだった。 猫に兎にリスもいる。翼を持っていたり、色が虹色に輝いていたり、僕の心をワクワクさせてくれるなんて美しい世界なんだろう。森たちは歌を歌い、キノコたち

¥280

魔法の扉と不思議な冒険(前編)

あらすじ 第1章:どんぐりを追いかけた 「雨が降り出したね」って僕がお母さんに言ったら「また変なことばっか言って」ってお母さんはまた知らない人たちと話してる。僕は手を広げて確認するんだけど、やっぱり雨が降ったり止んだりしてるんだ。空を見上げても雲一つなくてお母さんたちも濡れていないんだよね。 なんでだろってあたりを見渡していたらどんぐりが、まるでヒマワリの種を植えるように落ちている。 僕は降っている雨からも逃げたくて、そのどんぐりを追いかけた。後ろではお母さんが話に夢中

¥100

夢の灯を持つリリイと夢を食べるドリアン

夢の灯を持つ妖精リリイと、夢を食べる魔法使いのドリアンがいました。リリイは美しい夢を人々に与える存在として崇められ、ドリアンはその夢を食べてしまう存在として嫌われていました。リリイはいい夢を見させて人々へ希望を配りつづけていましたが、ドリアンはそんなリリイのことをよく思いませんでした。 世界ではリリイのように人に夢を与えられるのが正義です。 人の夢を食べるドリアンは誰からも好かれず、一人彷徨っていました。ある日、リリイの作った夢を見ている一人の少女がいました。その夢は、白馬

【物語】時計の契約紹介

製作し始めてから2か月以上たちまして、やっと完成ました! 記念に動画作ってみました(*´ω`*) 物語りのご紹介 5歳の時、颯空はじいちゃんを亡くし、その深い悲しみに心を閉ざしていた。しかし、一冊の不思議な本と共に彼の人生は大きく変わり始める。過去の痛みと向き合いながら、彼らは時の本の秘密を解き明かすため奮闘する。物語の中で浮かび上がるのは、失われた家族への思い、過去への後悔、そして新たな希望。自分たちの心の闇と向き合いながら、真の強さを見つけ出す。 「時の本と悪魔」——

僕の車輪は脱線したんだ

「わー、待って待って!それは僕が思ってたんと違うー」 線路を走っている車輪が外れた音がした 脱線。 車輪が線路から外れると、僕はそのまま動けなくなった 歩き方を知らない僕の物語り。 「あいたたた、ここはどこだろう。」 こんにちは、君はどこからきたの? ここは、しいて言うなら、【天国】かな。 「て、て、天国?それは困るよ」 なんで困るんだい?天国は楽しいよ、きっとね。 「僕はちょっと間違っただけなんだ、人生の選択を。なんだかすべてが嫌になっちゃったんだ。だから、いつ

¥300

真っ赤な傘の下で

昔、おかしなことばかり言う女の子がいた 「おばあちゃん、明日しんじゃうよ」 「あなたの赤ちゃんもう長くないわ」 村人たちは気味悪がりました。その少女の言う通りになるからです。 あの子は魔女の子だわ、村中で噂になりました。 そんな女の子の不思議なお話し。 彼女には家族はなく、いつも一人でいました。おかしなことばかり言うので村人からは毛嫌いされています。彼女は2つ目の村に住んでいて、1つ目の村からは不吉な少女として村長から追い払われました。 彼女は不吉な予言をし、いつも真っ赤

解放される音

「私は違う人の人生を生きてる」 理想の世界が現実と交差する お金持ちの一人っ子として描かれた私の夢物語り しかし、現実は予期せぬ道を辿る 自由とともに生きる美少女、それが私の理想的物語り 予定と違う現実が私を縛り付ける だからこれは私じゃない だっておかしいじゃん、こんなはずじゃなかった 幼い頃に思い描いていた夢とのギャップ 私の物語りの主人公は 金持ちの一人っ子 白くて長毛のボルゾイを飼って 不自由なんて知らない 自由とともに生きる美少女 それが何一つ叶わない世

彼女の色

ワクワクってどうやるんだっけ ドキドキってどういう気持ちだっけ 感情を忘れるためにかけたフィルターは 何枚何十枚いろんな色を重ね カラフルだった心はいつしか 限りなく黒に近くなった 「どうしたの?」 柔らかい笑顔で見つめる彼女に声をかけた 「桜の花びら持ってきてくれたの?」 僕の肩にそれはついていて 「手にしてみたいかなって思って」 桜を彼女の指にそっと乗せる 咄嗟に出た言葉だった 「触りたかったの、ありがとう」 そういって満面の笑みを浮かべる 梅雨のある雨の日に会い