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少年が大人になる映画「ジョジョ・ラビット」(ネタバレあり)

TOHOシネマズ新宿にて鑑賞。何度か映画前の予告編で観ていた印象と実際に鑑賞したあとの印象が全く異なる作品だった。戦争をテーマにしたコメディ映画だと思って観に行ったら途中からの展開に思わず涙してしまった。そんな作品でした。

前半はナチスに憧れる少年と自分だけに見えるヒットラーの妄想の織りなすコメディー風のシーンと母親との日常が描かれるの対し、後半のイタリアが敗北し連合軍がドイツに迫ってきた後ではまるで違う映画のような印象を受ける。これはユダヤ人の迫害というテーマも含めて「ライフ・イズ・ビューティフル」を思い起こさせた。2020年代における再構築と言っても差し支えないのではないかと個人的には思う。

この作品は登場人物の印象が時間経過とともにどんどん変わっていくのも特徴。主人公はもちろん、妄想中のヒットラーは最初はコメディーキャラかと思いきや戦況の悪化とともにどんどん本物のような思想、発言に変わっていく。鑑賞後に調べて知ったのだがどうやらこの役を演じていたのが監督本人だったらしい。個人的に印象の変わる登場人物の中で一番スキだったキャラクターはサム・ロックウェル演じるクレツェンドルフ大尉だ。最初は負傷が原因で前線から退き少年兵の教官となり不貞腐れている駄目な軍人として登場する。そのまま駄目軍人として描かれるのかと思いきや、ゲシュタポがジョジョの家に来るあたりから印象が変わり、ジョジョとの最後のシーンはまさに「ライフ・イズ・ビューティフル」のあのシーンを彷彿させた。このシーンはぜひ実際に鑑賞して体験してほしい。

紐靴を結べなかった子供のジョジョが愛する人の紐靴を結び外の世界に踏み出していく最高の作品でした。タイカ・ワイティティ監督の作品ですが、この監督の作品は今まで観たことがありませんでした。これを機会に過去の作品を観る所存。

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