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子供から大人に 映画「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION」感想

TOHOシネマズ上野にて鑑賞。一応デジモン映画ではあるので子供が対象ではあるとは思いますが、私が観た回には子供はいませんでした。さすがに初代主人公ということもあるのでターゲットはおそらく私を含めた初期デジモンブーム世代なのだと思います。思い出補正が多く乗るとは思いますが感想を述べていきます。ネタバレが入るので注意してください。

この作品はかなり初代映画、特に細田守監督の作品「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」を意識した作りになっています。ボレロが流れる演出やインターネット空間での対決、太一、ヤマト、光子郎、タケルの4人を軸に話が進む点はそのまま僕らのウォーゲームを彷彿させる演出です。ただその時から時間は経ち太一らが大学四年生になっています。そのため太一と大和がビールを飲みながら焼き肉を食べ将来について相談していたり、太一は一人暮らしを始めエロDVDを部屋に放置したりなど時間の経過を感じます。他の登場人物らも医学部に進み実習を受けていたり、華道の道にすすんでいたりネット通販を営んでいるなど昔は一緒に遊んでいたメンバーが疎遠になりそれぞれの道を歩みだしています。スマホなどがある世界観にも関わらずみんなで密に連絡を取り合ったりせず、仲が悪くなったわけではないけど高校、大学に進学して別の人間関係の中で生きている感じは誰もが通る道だと思いました。デジモンアドベンチャーの最後の締めくくりとしては非常に良いテーマになっていたと思います。

最後のバトルも私にとっては最高の結末だと思えました。このあたりもぼくらのウォーゲームとの対比構造になっていたと思います。ウォーゲームではみんなの力を合わせてラスボスを倒すという協力がテーマになっていたのに対して、この作品ではこの戦いによってたとえ親友ともいえるデジモンたちと離れ離れになることがわかっていても前に進まなければならないという決断をする決別、独立がテーマという対比です。そして進路に悩む主人公たちの問題に対する答えとなっているというのが素晴らしかったです。前述の 焼き肉を食べているシーンで"子供の頃のほうが良かった。大人になりたくない"(正確なセリフを忘れました)という声が入るのですが、このセリフは振りになっていて、主人公らは楽しかった思い出に囚われ閉じこもるのではなく一歩を踏み出すことことを決断しラスボスに勝利します。この戦いの終わらせ方は非常に好みなものでした。下手に締めくくりだからと言って全員集合、デジモン アッセンブルのような形で俺たち最高のチームだ、のような終わらせ方は作中でのみんながそれぞれの道を歩み始めている世界と削ぐなわかったと思います。

戦いのあとデジモンとの別れシーンは思わず涙しました。デジモン初代世代であれば鑑賞中にいろいろな思い出が蘇ってくるとてもよい作品でした。

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