リーマンショックの引き起こした闇の一つ 映画「ハスラーズ」感想

TOHOシネマズシャンテで鑑賞。観ようと思っていたのですがいつの間にかに他の劇場でかからなくなっていたところたまたま日比谷シャンテでやっているを知ったので足を運んで来ました。この映画の元ネタになった事件事態は全く知らなかったのですが、知らないままでも十分に楽しめる作品でした。フィクションではあるのですが、ほとんどドキュメンタリーだと思えるような作品です。ネタバレ含みますが感想を述べていきます。

話の舞台ははリーマンショック前後のニューヨーク。ウォール街は潤っておりそこで荒稼ぎし金が有り余っている男たちでストリップバーで賑わっており、お金が文字通り「舞う」世界でした。しかしリーマンショックという重大な金融危機によってウォール街からお金がなくなりストリップバーは閑古鳥が鳴いている状態に。かつてそこで働いていた女性も他の仕事につくもお金に苦労する状態。そんな状態を脱するために薬を盛って男性を意識があやふやな状態にして金を巻き上げるという犯罪に手を染めていく女性たちの物語でした。

まず誰もが思うことだと思うのですがジェニファー・ロペスの圧倒的存在感は50歳になった今もなお健在であるということです。舞台がストリップバーなのでもちろんポールダンスを踊るシーンがあるのですがキレッキレのダンスを披露します。このシーンを含めてリーマンショック前の華やかさはまさにアメリカの絶頂期を表す印象的な演出でした。

ストーリーについても彼女らのやったことはもちろん犯罪であるのでやったことについて全面的に肯定するわけではありませんが、本作の主人公であるコンスタン・ウー演じるディスティニーとジェニファー・ロペス演じるラモーナには同情を禁じえませんでした。リーマンショックによる金融危機による不況による一番影響を受けたのはお金も学歴もない彼女らのような人びちだったのだと思います。すこしでもよい仕事を得ようと面接も受けるも経験も学歴もないことを理由に落とされるディスティニーは這い上がることができない社会構造の一端を観たような気がします。ディスティニーもラモーナも子供に不自由をさせたくないというその思いからなんとしてでもお金を稼ぐ必要がある。そのためにはこの事態を引き起こしたにも関わらず誰一人逮捕されていないウォール街の金持ちから金を巻き上げていくというのはある種の爽快感さえ感じました。

またこの映画は女性に向けた作品になっていたと思います。登場する男性は序盤のバーの経営者やガードマンのような無理やりチップを要求してくる男性やヒモになっているやつなどほぼ全員が女性を搾取するようなやつばかりです。そのようななか女性が男性に依存せず一人で自立してやっていくためのある種の義賊となるような話にも思えました。

この作品はストリップーバーでの音楽やダンスをより楽しむという意味で映画館で見れてよかった作品でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?