写真写り悪っ!目瞑りすぎ!(馴れ初め⑨)
「なんでそんな写真写り悪いの…」
「目を瞑ってるやつばかりで、何回撮り直すんだぃ!」
あーるくんに言われた。
私は、傷ついていた。
そんなこと、自分が1番よくわかってる。どうやればいいかわからないんだから仕方ないじゃない!
私たちの誕生日は、6月で4日違い。
お互いが少しずつ、恋愛対象として見始めてから、初めて一緒に祝った誕生日。
2人で景色のいいところで写真を撮っていたときに言われた。
せっかくの誕生日会なのに…と言われた言葉に凹んでいたが、写真写りがよくなりたい!という気持ちは、前々からあった。
「こりゃ、自撮りで自分のよく見える角度を研究するんだな。」
あーるくんは、自分がどうやったらかっこよく見せれるのか熟知している。言葉にすると、ナルシストなのか?と思われるかもしれない。
でも、今まであーるくんがモテる姿を見てきたが、自分の見せ方を知っているからという部分も多いのであろう。モデルと同じで。
整っていてかっこいい顔なのももちろんあるのだが…
「自撮りで?」
今まで私は、自撮りなんかしたことがなかった。そんな恥ずかしいことができるかと否定的な気持ちを持っていた。
「そう。それで俺に見せてみてよ。練習すればするほどうまくなるし。アドバイスもできるしさ。」
1人でやったことないことを頑張るよりは、あーるくんに送ることが目的となれば、頑張れるかもしれない。私は、その条件をのむことにした。
せっかく、服装が女性らしくなってきたからこそ、自分の魅せ方を学ぶのも大事かもしれない。
時間がある時は、自撮りをたくさんして自分が1番いいと思ったやつを送るようにした。
その度にあーるくんは、素直に感想を言ってくれた。
「これは可愛い。」
「これはあんまりかな。こうしたらどうかな?」
最初は、お気に入り写真が撮れるまで何十枚も撮った中から選んで送っていた。
それが少しずつ撮る枚数が減り、送るスピードが早まってきた。
そのうち、自分がよくみえる角度を見つけることができた。
その角度は、たまたまではあるが、あーるくんと全く同じ角度であった。
ツーショット撮る時にだいぶ撮りづらいことになってしまった…笑
それでも、撮り始めたときより、かなりよく撮れているツーショット写真も増えていった。
あーるくんは、外見だけではなく、中身や魅せ方まで女性らしくプロデュースしてくれた。私もみるみる変わる自分を見て楽しんでいたし、あーるくんもその成長を楽しんでくれていた。
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