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【一日一捨】 おいしい赤飯

うちには電子レンジがない。
という話をすると、たいてい「嘘でしょー」と驚かれるのだけど、本当に持ってない。結婚しているときはあったけど、離婚したときに彼女が持って行った。結婚前もずっと電子レンジはもっていなかった。別に強いこだわりがあるわけではない。何度か買おうと思ったこともあったけど、いつも「まあ、なくても特に困らないしな…」と、結局、買わないままに終わった。あればあったで便利なのは間違いないのだけど、普通にフライパンや鍋で料理はできるし。

コロナの頃、ひとり暮らしだった僕を心配して、実家の両親が食べ物をダンボールに詰めて送ってきた。「スーパーやコンビニで買うから必要ない」と言ってるのに、当時入手困難だったマスクと一緒にインスタント食品や果物なんかを送ってきた。いくつになっても親とはそういうものなのか。その中に、このレンジでチンする『美味しい赤飯』3個パックがあった。

親もまさか息子の家に電子レンジがないとは思いもしなかったんだろう。
白米ならばまだ冷たいまま炒めてチャーハンにしたりもできるけど、赤飯だとそうもいかない。『湯煎も可』だけど面倒だしな…と思っているうちに、賞味期限が過ぎた。が、捨てるのは躊躇する。子供の頃から「お米一粒には7人の神様が住んでいる」と言われ、お茶碗にご飯一粒残さないよう食べてきた。なので、お米だけはどうにも捨てにくい。捨てもせず、食べもせず、キッチンの下に入れたまま時は流れた。消費期限でなく賞味期限だから、多少過ぎても大丈夫だろうけど、さすがに2年以上過ぎると食べるのは憚れる。7人の神様、ごめんなさい。捨てます。

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