20190828平家物語_淡路島論

「天の浮橋」で和合があったと言う平家物語神学

平家物語・剣の巻でイザナギ・イザナミが登場するまでの神々の系譜を見てきました。

いよいよ、剣の巻での「国産み」の様子を見ていきたいと思います。

第七代伊弉諾・伊弉冉より天の浮橋のもとにてはじめて和合のまじわりあり。

それまでは体がない、体があっても顔つきがない、顔つきがあっても男女の別がない、性別があっても交わりがない神々しか登場してこなかった。

イザナギ・イザナミに至って、はじめて男女の交わりが行われた。平家物語・剣の巻はそう語ります。

そして、その交わりは天の浮橋において行われたとしています。

しかし、日本書紀本文では天の浮橋で交わりがあったとは述べていません。

伊弉諾尊・伊弉冉尊、天浮橋の上に立たし、共に図りて曰く、底下に豈国無けむやとのたまひ、猶ち天之瓊矛を以ちて指し下ろして探りたまひ、是に滄溟を獲き。

イザナギ・イザナミは天の浮橋の上に立ち、アメノヌボコでその下を探ったところ、青海原があったと述べています。

そして、

其の矛の鋒より滴瀝る潮、凝りて一島に成れり。名付けて磤馭慮嶋と曰う。二神、是に彼の島に降り居し、因りて夫婦となり、洲国を産生まんと欲す。

つまり、天の浮橋の上から海原を探った矛からシズクが滴り落ちて、オノゴロ島になり、そこで夫婦になろうとしたと述べています。

古事記を読んでも、イザナギ・イザナミの和合は、天の浮橋では行われていません。

つまり、天の浮橋で男女の交わりがあったと言うのは、平家物語・剣の巻独自の展開なのです。

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