わざと草の中で葉物を育ててトウ立ちを防ぐ方法はあるか?他
「鉄の古代史(奥野正男)」と言う本を読んでいたら、弥生時代の畑作集落の話が出ていました。
どうも、稲作が普及すると、畑作集落も出現すると言うことのようです。
稲作が普及し人口が増える、新たに水田にできるような場所を開発し、集落を作ると言う中で、高地で稲作がしずらい場所にも集落が生まれ、畑作が行われるようになると言うことのようです。
さて、見沼菜園クラブでは2月植えのジャガイモが順調に育っています。ジャガイモの畝の間に生えた草を取ったら、中から丸々太ったチンゲン菜が出てきました。
どうやら、こぼれ種で発芽したものが育っていたようです。
興味深いのは、2月まきしたチンゲン菜が折からの暖かさの中で花を咲かせてしまっていて、こんなに丸々太るに至らなかったものが多いのに、草の中で太っていたと言うことです。
どうやら、草の中で日の光が当たりにくい環境にあったために、トウ立ちせずに育ったようです。
日の光がまったく当たらないほど、草に埋もれてしまえば、葉物は育たないと思いますが、ある程度、日が射す状態なら、育つようです。そして、草がない環境で育つよりもトウ立ちしにくいとすると、春野菜の栽培に応用できるのではないかと思います。
雑草にせよ野菜にせよ、背が高い植物が生えていて、そこに当たる光の量をI(0)とし、その植物の葉が吸収した後、下に透けていく光の量をIとすると、両者は対数関数の関係
ln[I/I(0)]= KCl
で表す事が出来ます。
Kは吸光係数と呼ばれる定数、Cは葉の密度、lは光が吸収される葉が生えている場所の厚みです。
これをランバート・ベールの法則と言います。
つまり、高い位置に葉が茂っていればいるほど、地表に達する光の量は減ると言う当たり前みたいなことを数式を使って書くとこうなるわけです。
雑草が茂っている状態で、雑草の葉の間から透けていく光の量Iが、チンゲン菜が育つのに必要な光の量I(C;これを「限界光量」と呼ぶ事にします)を上回っていれば、チンゲン菜は育つはずです。
I(0)> I(C) ・・・ ①
(透過光量がチンゲン菜の限界光量より多ければチンゲン菜は育つ)
他方、春にトウ立ちをするのは、日の長さに関係しています。日が長くなる(暗い時間が短くなる)ことに反応して花芽をつける植物を「長日植物」と言います。
チンゲン菜のようなアブラナ科植物は「長日植物」です。チンゲン菜の周りに雑草が茂っていて、チンゲン菜が花芽をつける反応を起こさないほど、「暗い時間」が長ければトウ立ちは起きないでしょう。
先の①式、つまり、雑草の間から透けていく光の量がチンゲン菜が育つのに必要な光の量を上回っている状態が、日中は維持されるけれども、朝夕は成り立たず、チンゲン菜は「暗い」と感じている時間帯が長い場合、チンゲン菜は花芽をつけないとします。
チンゲン菜が花芽をつけようと反応し始める明るい時間の長さを T(C0)
実際の明るい時間の長さをTとし、
その明るい状態の時には、チンゲン菜は光合成を行える(①式が成り立つ)、その時間帯がある程度長ければ、チンゲン菜は生育できる(この時間の長さをT(C)とします)
T(C0)> T > T(C) ・・・ ②
が成り立つような状態
つまり、チンゲン菜が育つには十分な日照時間だけれども、花芽をつけるには不十分な日照時間になるように雑草が茂っていれば、チンゲン菜は花芽をつけずに育ってくれると思われます。
このチンゲン菜が生育できるけれども、花芽をつけない程度に日照時間を短くする雑草の茂り方を「最適雑草繁茂度」と呼ぶとすると、
「最適雑草繁茂度」になるような茂らせ方を考えればよいと言うことになります。
なんかやたらと数式や用語が並ぶ記事になってきました。
僕は理工学部化学科卒・工業物理化学専攻です。
化学科的、工業物理化学的な考え方で雑草の茂り方を観察してみると、こういう感じになるわけです。
とにかく、この「最適雑草繁茂度」となるような雑草の茂り方が存在すると言う「仮説」に従って、トウ立ちしにくい春の葉物の栽培法を検討してみることにしたいと思います。
2週間予報は、雨の降らない日の頻度が昨日段階より多くなっています。
ただ、5月中旬にかけて、やはり雨の日は多いようです。
晴れれば高温、雨や曇では平年並みと言う気温の状態で「梅雨」と言うものをどう考えるべきなのか?、毎日、そんなことを書いているような気がしますが、この点についても改めて考察していきたいと思います。
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