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新興国が世界経済の中心となる時代の農業、草刈り作業と「優占種」雑草の変化を捉えた農作業、ニラやネギを地下茎タイプの草と捉える菜園デザイン等

1990年代、日本は中東和平多国間協議の環境問題作業部会議長国でした。僕は中東によく環境調査にでかけました。

当時話題になっていたのは、日本がヨルダンに作った肥料工場です。

JA全農は、1996年、日本ヨルダン肥料株式会社を設立し、現地の工場を作りました。JA全農は、2011年にヨルダンから撤退、その後、中国のリン工場の株式を取得したとの事です。

リン肥料の原料となるリン鉱石は世界的に偏在しており、現在、第一位の産出国は中国です。アメリカ、モロッコ、ロシア、ブラジル、チュニジア、ヨルダン等の産出も多いようです。

ここに書いたリン鉱石産出国の国名には、いわゆる「新興国」がほとんどを占めています。

第二次大戦前に書かれたシュムペータの「資本主義・社会主義・民主主義」には、

「未開発国が発達をとげた暁には、今まで考えてきたような資本輸出は減退せざる得ないであろう。

その場合には、本国と植民地がたとえば機械製品と原材料を交換するといったような一期間が存在しうるかもしれない。

しかし、最後には植民地の競争力が本国に対抗しはじめて、工業製造家の輸出額さえも減退せざる得なくなるであろう。

(中略)

いずれにせよ、結局のところ、本国資本の侵入に対して植民地のドアは閉ざされるである。かくして本国資本は、もはや国内での利潤消滅をのがれて海外のより豊かな牧草地帯に進出し得なくなる。

はけ口の欠乏、過剰生産力、完全な停滞、最後には国民経済全般にわたる破産とその他の災禍との規則的反復、おそらくは資本家の真の絶望から生じる世界戦争までもが、確信をもって予見されよう」

第二次大戦後、多くの植民地は独立しました。旧植民地だった途上国には資源はあるが技術や資金はない、旧本国だった先進国には技術や資金がある、そこで先進国が途上国に投資して資源開発を行う、シュムペータ的な言い方で言えば、先進国と途上国の間で「原材料と機械製品の交換」が行われる状況が長く続いてきたと思います。

しかし、現在は、旧植民地の途上国が「発達を遂げた暁」で、旧本国の先進国の「資本輸出が減退」する状態になっていることは間違いないようです。

この予測を第二次大戦前に書いていたシュムペータの卓見には驚くばかりです。

さて、こういう状況の中で「完全な停滞」や「真の絶望から生じる世界戦争」を回避して平和的な発展を目指す方法はあるのかと言うと、たとえば、ニトリがアメリカから撤退して東南アジアに注力すると言う方針を打ち出しています。

このニトリの動きは、従来のように途上国を資本輸出先とか安い労働力の調達先と考えるのではなく、旺盛な消費力を持った地域として捉える、シュムペータ的な言い方をすれば、国内の利潤消滅を逃れてのものとは違う「豊かな牧草地帯」を新興国に求めていくことになるでしょう。

農業については、国内の下水汚泥からのリン・窒素の回収~肥料化、や地域で作られた堆肥を地元農家に提供する新潟県阿賀野市の施策、つまり、「途上国の資源に依存した農業のあり方」から転換していく動きが見られています。

今すぐ、石油がなくなると言うことはないと思いますが、やはり、中長期的には、広い意味で石油に依存している農業のあり方を見直す「脱石油」の農業を考えていく必要があると思います。

2週間予報は、徐々に日最高気温が平年値に近づいていく傾向を示しています。4-5月も例年より高温になるかもしれませんが、「10℃も高い」状態がずっと続くわけではなさそうです。

昨日は、ニラの植え替えをしました。

今年は気温が高いため、例年、4月に芽生えてくるニラが既に地表に顔を出してきました。

ニラについては、夏場に雑草ごと刈りたおしても秋にはまた生えてくる、

まだ残暑が厳しい時季には、刈りたおされた雑草残渣が地表を覆い、次の雑草が生えるのを防いでくれる

そういうやり方を昨年試してみたわけです。

実は、ニラとともに、ヒメムカシヨモギやコウゾリナなど、地下茎タイプの草が地表に出てきました。

雑草を刈りたおした時、地下茎タイプの草は、地上部がなくなるだけで地下茎は残っています。ですから、刈りたおすことだけをしていると、畑に地下茎タイプの草が残っていくことになり、年を経るごとに夏場に地下茎タイプの草が背丈高く伸びて畑を覆うようになって、よけい、草刈りの手間が増えていくと予想されます。

昨日は、ニラの芽生えた場所、植え替え先、ともに、地下茎タイプの草を地下茎ごと掘り起こしながら作業を進めました。

植え替え作業時には、少し手間がかかりますが、こうする事で地下茎タイプの雑草の「優占度」を減らす事で、夏場の手間を減らすことになっていきます。

ニラやネギと言うのもある意味「地下茎タイプ」の草で、そういう風に野菜自体を捉えて、菜園全体の「デザイン」をしていくことも「たんぽぽ農法」の重要な考え方です。

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