見出し画像

アダム・スミスの国富論は、「労働はすべての商品の交換価値の真の尺度である」と述べています。

すなわち、

人が富んだり貧しかったりするのは、人間の必需品、便益品及び享楽品をどの程度享受できるかによる。だが、分業がひとたび徹底的に行き渡るようになった後は、一人の人間が自分の労働で充足出来るのは、このうちのごく小さい部分にすぎない。
つまり、彼は、自分が支配できる労働の量、または他人から購買できる労働の量に応じて、富んだり貧しかったりするに違いない。
したがって、およそ商品の価値はそれを所有していても自分が使用または消費しようとせず、他の商品と交換しようと思っている人にとっては、その商品でかれが購買または支配できる他人の労働の量にひとしい

ひらたく言うと、「商品を作るのに、これだけ手間がかかっている、だから、この値段になる」と言う話なわけです。

ところで、ソビエト社会主義共和国連邦=略称・ソ連は、1991年に崩壊しました。
ソ連崩壊について、マルクスの「労働価値説」の間違いだったと言う人がいるようです。

自分は8時間働いた、だから8時間分のお金をよこせ的な理屈だと、いや、それ4時間で出来たと言う人との間に競争が働かない、社会が効率化されず行き詰まったと言うわけです。

実は、マルクスは「平均的な水準」について述べています。
つまり、あることをするのに、8時間かかる人もいるかもしれないし、4時間でやっちゃう人もいるだろう、

だけど、まぁ、普通は6時間ぐらいってのが平均的な水準なら、それが相場になるだろうと言う話です。

そして、マルクス以前に、そもそもアダム・スミスなど、いわゆる「古典派経済学」が「労働価値説」を採用しているのです。

スミスの言っていることは、こうです。

自分が大根がほしいと思ったとする、その大根の値段は100円だとする、そして時給1000円で働いていたとするなら10分の1時間=6分間の労働をしないとその大根は買えない、ところでその大根が「商品」になるには、大根が作られ、運ばれ、店に並べられなければならない、大根を作るには、種とか肥料とかの原材料費もかかるだろうし、地面を耕して、種をまいたり、肥料をまいたりする「手間」もかかるだろう、原材料の種とか肥料とかもそれを生産するには、誰かの「労働」を必要としている、大根を作る人は、自分で種を取るより、買ってきた方が安いと言う判断をして種を買っている、でまぁ、大根を仕入れて運び、店に並べる流通や小売の人達も自分で大根を育てるより農家が育てた物を買った方が安いと言う判断をしている・・・

そういう風に、みんなが「この方が安い」と言う判断をしている結果として、「大根1本100円=時給1000円で働く人の6分間の労働」と言う事が成り立っている

と言うことなわけです。

そして、マルクスが問題にしたのは、その通りかもしれないけれど、現実には1本100円の大根が買えない貧しい労働者がいる、なぜ、そうなるのか?

と言うことです。

スミスもマルクスも1000本の大根を8時間で作る人と、4時間で出来る人の間に競争が働かないと言う話はしていないのです。

さて、この話を延々しているのは、なぜかと言うと、

大根を作るために地面を耕す人がいる、
手に鍬を持って耕すより、トラクターで耕した方が短時間の「労働」で済む、
トラクターを買うのにも、燃料の「石油」を買うにも、お金がかかるが、

仮に大規模化して、大面積を耕すなら、千本じゃなくて、1万本、場合によっては1万本の大根が作れるかもしれない、

すると、トラクター代や石油代を考えても、手作業では1本200円でしか作れなかった大根が1本100円、いや50円にできるかもしれない

そうすると、1本200円よりは1本100円、1本100円よりは1本50円の大根の方が競争力があるから、売れるようになり、大根の価格も1本50円が「平均的な水準」として定着するはずだ

そうなると、大根1本=6分間の労働ではなく、大根1本=3分間の労働と言う交換比率になる、

すると、3分間の労働分だけ労働者は「贅沢」が出来るようになる

ファミリーマートでドーナツが1個買えるようになるかもしれない・・・

と言う図式がどうやら怪しくなっているんじゃないかと言うことです。

仮に、労働価値説を誤解して、同じ物を作るのに4時間かけようが8時間かけようが、極論すれば800時間かけようが、かかった時間分の価値があるんだと考えて競争原理が働かない社会を作り出して、「ソ連」が崩壊したのだとします。

しかし、昨日まで6分間分の労働で買えていたものが、12分間分の労働、いや1時間分の労働でないと買えない、明日には1日分、ヘタをすると1週間分の労働とか1ヶ月分の労働とかでないと買えなくなるかもしれない・・・

そういう危機が迫っている可能性を頭の片隅において、「労働価値説」について、少し考えてみようと言うことなのです。


昨日の最低気温は予報値-3℃を下回り-4.6℃にまでなりました。ただ、2週間予報は2/10前後に最低気温-3℃から-4℃の日が出ると言うのから「高め」に変わっています。

やはり立春に春野菜種まきをスタートさせるべきか?
って、もう今週末が節分なのですが・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?