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アメリカ製保健室【毎週ショートショートnote】
今日は保健室登校できなかった。
ここに来てから1日も休まず頑張っていたのに。
ビビットカラーの内装に、床は白黒チェック柄で、ベッドを囲うパーテーションは星条旗。
彼は最初、なかなか周囲に溶け込めていなかった。
少し個性的で、主張が強いところがあったせいで、みんなから距離を置かれていた。
でも元来は明るい性格だから、徐々に友達が増えていき、最近は学校に来るのが楽しそうだった。
だから勝手に大丈夫なんだと思っていた。
毎日、彼に会えるのが当たり前だと思っていた。
一体、何があったのか。
もしも、立ち直れないほどつらいことに直面しているのなら、どうやって手を差し伸べればいいのだろう?
「おはようございます!」
保健室と仲の良い理科室が登校してきた。
「田中先生、今日はアメリカ独立記念日で向こうだと祝日だから、保健室は休むみたいですよ」
そうか、よかった。
体調を崩したわけじゃなかったのか。
養護教諭の田中は、がらんとした空間に立ち尽くしたまま、胸を撫でおろした。